【トップギア試乗】トヨタ bZ4X:優秀だけど、ルックス以外は際立ったUSPがない

「たいへん優秀な作品だし、このジャンルじゃよくできた例だ。だが、このルックスを除けば、際立ったUSPはない」

いいね!
見た目もよく、技術もそこそこで、すべての機能をカバーし、「ワンストップ・ショップ」のようなオーナー向けのパッケージを提供してくれる。オフロードも得意

イマイチ
スタイリングを除けば、確固たるUSPに欠ける。トヨタは、初のBEVで安全策に出た

概要

どんなクルマ?
トヨタ初の純電気自動車、bZ4X。トヨタとスバルの共同開発車(ハードウェアの大半はトヨタが担当)で、数ヵ月後にはスバル ソルテラの姉妹車も発売される予定である。bZ4Xは、新しいプラットフォームであるeTNGAをベースに、トヨタの電動化の冒険の始まりとなるモデルだ。名前の「bZ」の部分は、トヨタのゼロエミッション・パワートレインによる自動車戦略である「beyond zero」を意味している。で、もちろん、その中には水素も含まれている。2025年までに、欧州向けの7台を含む約15台のゼロエミッション車が登場する予定で、小型から大型のSUVまで、さまざまなボディスタイルの車が含まれている。ちなみにbZ4Xの車名の「4」は、四輪駆動ではなくサイズの表示で、最初からFFとAWDの両方がラインアップされている。

質問の答えが足りてないね
基本的な言い方をすれば、これはまた別の純粋な電気自動車で、5人乗りの中型SUVであり、最大の市場セグメントの1つに対して、鋭く鼻先を向けている。競合車種として挙げられるのは、アウディ Q4-eトロン、VW ID.4、フォード マスタング マッハE、シュコダ エンヤックの4車種だ。71.4kWHの中型バッテリー、250-280マイル(400-450km)のWLTP航続距離(未確認)、0-100km/h加速7.5秒または6.9秒、2WDまたは4WDなど、どの統計値でも驚かせずに参入できる条件をすべて満たしている。また、アングルを多用した印象的なスタイリングとファンキーな合成樹脂のホイールアーチが、ごく普通の外形寸法に視覚的なドラマを添えている。中型SUVの基本形でできることは限られているが、トヨタ/スバルは、少なくとも少しは違って見えるようにするために、適切な仕事をした。特に注目すべきは、前方向きのセンサーをすべてフロントの小さな黒い合成樹脂のヒゲの中に取り込んだことであり、これはすっきりと効果的だ。まるで、セキュリティカメラを轢きつぶして、ロアグリルに固定したようなクルマもあるからね。

バージョンは?
発売時には、204psのシングルモーターを搭載し、航続距離が最大450km以上の前輪駆動バージョンと、各車軸にモーターを搭載し、4輪駆動の218ps全輪駆動バージョンの2つのモデルが用意されている。当然ながら、その航続距離は400km(以上)とやや控えめだ。しかし、私たちが乗ったbz4Xは生産前のプロトタイプで、内装は非標準の仕上げ、ディスコをテーマにしたラッピング、最終的なスペックについては未確認のものがいくつかあったことに留意したほうがいい。また、最終的なスペックは未確定であるため、最終的な評価というよりも、このクルマから得られるであろうものをきちんと見ることが重要だ。そしてトヨタは、bZ4Xが競合車とは異なり、オフロードでも十分な性能を発揮するXモードを搭載していることを大々的にアピールしている。実際、私たちはbZ4Xで、入念に作られたいくつかのオフロードコースを進み、ヒルクライムし、クロスアクセルし、泥まみれになって走りまわったのである。しかし、夏用の「エコ」タイヤを装着し、気の利いたドライビングをしたとしても、bZ4Xは同クラスの75%以上のオフターマック能力を備えていることがわかった。それはやはりスバルと関係があることが関わってくるのかもしれない。

びっくりしたことはある?
まあ、あまりないね。bZ4Xは、高音を出さないようにする代わりに適切な音を出すという点で、ちょっと規則をきっちり守る四角四面な人のような存在である。バッテリーは適度な大きさで(現時点では1種類しかないが、トヨタは需要があればオプションも用意すると言っている)、広さは十分だが驚くほどではなく、性能も十分だ。乗り心地も操縦性も、有能で正確である。インテリアもナイスで、素早く効率的に作動し、技術もきちんと備わっている。実際、bZ4Xの個性を少しばかり高めてくれるかもしれないものを試せなかったことだけが、唯一の難点だったと言っていい。そのひとつは、オプションのソーラールーフで、メインのトラクションバッテリーを充電できるというもの。トヨタでは、十分に晴れた場所に住んでいる限り、1年間の走行距離を1,800kmにまで伸ばせると考えている。当然のことながら、現在のところ、このオプションはイギリスにはない。

もうひとつは、ヨーク式の「ワンモーショングリップ」というステアバイワイヤーシステムだ。前輪に直接接続することなく、バタフライハンドルで150度以上回転しないコントロールサーフェスを実現した。ステアリングコラムに接続する他のヨークドシステムとは異なり、このワンモーショングリップには接続部がまったくないので、簡単に回せないステアリングホイールと、感度を完全に一致させるように設定することができるのだ。ホモロゲーションに時間がかかっているため、その効果は未知数だが、とても興味深い技術で、ぜひ試してみたいものである。

海外でも買えるようにして!
bZ4Xでもうひとつ注目すべきは、所有の仕方だろう。なぜなら、このクルマは所有の見通しが揺らぐかもしれないからだ。トヨタは、ワンストップ・ショップでの所有/リース契約を提案しており、そうなるとパッケージで支払うことになる。この契約には、ウォールボックスの提供、アグリゲーションチャージ(1まとめの支払いという意味)、サービス、保険まで含まれる予定だ。トヨタが提供するのは、単なるクルマではなく、クルマの所有に伴うさまざまな要素を考慮する必要のないモビリティのパッケージなのである。一回の請求で、面倒な騒ぎもなく。このアイデアは新しいものではないけれど、トヨタという企業の力が背後にあると、より現実的なものに聞こえてくる。

結論は?

「たいへん優秀な作品だし、このジャンルじゃよくできた例だ。だが、このルックスを除けば、際立ったUSPはない」

最終バージョンではないので、完全な製品版に乗るまで絶対的な判断は少し控えるが、bZ4Xには気に入るところがたくさんある。この種のクルマとしては、きわめて有能で、よくできた例であり、見た目も実に印象的だ。唯一の問題は、見た目以上に際立つような、特別なUSPを持っていないことだ。主要な競争相手がすべて300マイル(485km)以上の航続距離を持つバージョンを提供していることも、言い訳にはならない。好むと好まざるとにかかわらず、航続距離は依然としてEVオーナーのこだわりであり、485kmのラインには心理的な安心感がある。しかし、これはトヨタの堅実な努力であり、画期的というよりは、中堅どころのゲームに参入したに過ぎないということだ。
ドクターアロマランス

トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2022/02/45686/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 063

アーカイブ