「To be, or not to be, that is the question.(このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ)」とは、ハムレットの有名なセリフ。ここでは、ウイングをつけるのか、つけないのか、それが問題だ。なぜなら、エンスーか、オタクに見えるかの分かれ道となるから。そんなオプションでウイングが選べる9台ご紹介しよう。
01
ポルシェ 911 GT3 ツーリング
ポルシェのハードコアモデルである911のエンジン上部にあるウイングは、20年前から着実に大きくなってきている。しかし、限定生産された911 Rの成功を受けて、ヴァイザッハは9,000rpmのエンジンと優れたマニュアルギアボックスを維持しつつ、固定式リアウィングを捨てて、ほのかにレトロなダックテールのバージョンを提供することになった。
02
ジャガー XE SV プロジェクト 8 ツーリング
ジャガーはポルシェのアイデアを気に入って、恥ずかしげもなく真似をした。300台を予定していた600bhpのスーパーチャージャーを搭載したプロジェクト 8のうち15台は、トランクに取り付けられたウイングを取り除いたものの、ダウンフォースの減少による安全対策として、322km/hの最高速度を300km/hにまで引き下げた。300km/hって、はるかに安全な数字なの?
03
ランボルギーニ ムルシエラゴ LP670-4 SV
ランボルギーニ ムルシエラゴ LP670-4 SV
あまり知られていない事実。ハードコア・ランアウト・スペシャルのムルシエラゴは、有名なリアウィングを装備する必要はなかった。ランボルギーニは、究極のトップスピードを求めるけれど、あまり外向的でないタイプの人たちのために、ウイングを取り払い、SVの後部に小さなダックテールを付けて、最高速度を6.5km/h上乗せした。うーん、ステルスだね。
04
ランボルギーニ カウンタック
そしてもちろん、ランボルギーニにはto-wing-or-not-wing(ウイングをつけるのか、つけないのか)の歴史がある。カウンタックのオーナーの多くは、この決断をしなければならなかった。伝えられるところによれば、工場は巨大なエアロフォイルの装着を好まなかったという。エアロフォイルは、ただでさえ狭いリアの視界をさらに狭め、実際には意味のあるダウンフォースを生み出さず、余分なドラッグのため、v-max時に遅くなるからだ。
05
マクラーレン F1 HDK
実は、これはマクラーレンF1 LMではない。これはマクラーレン F1 HDK(High Downforce Kit)である。5台の「F1 LM」のきっかけとなったル・マン優勝を受けて、マクラーレンは「F1」のパンフレットにエアロキットのオプションを追加した。
これは、フロントバンパー、前輪上の通気口、そして固定式のリアウイングがセットになったもので、HDKを装着したF1は、最高速度388km/hに到達できないようにしてある。そのためか、F1のLMよりも大きなダウンフォースが得られるにもかかわらず、このパッケージを装着して販売されたのはわずか2台だけだったという。1999年にHDKを装着したこの特別な1994年型車は、2019年のオークションで2,000万ドル(22億円)弱で落札された。
06
ホンダ シビック タイプ R スポーツライン
シビック タイプ Rは、目を見張るような性能を持つホットハッチだが、美しいとは言えない。実際、目障りだし、いくら「そうだけど、真のダウンフォースがあるんだよ」と言っても、その会話のコーナーから抜け出すことはできない。
ホンダは、この崇高な前輪駆動のヒーローを、より小さなホイールを履かせ、本棚みたいなテールゲートウィングをより小さなシングルデッキスポイラーに交換したスポーツライン仕様で、少しでも目に優しいものにしようと試みた。けれど見た目はあまり良くなく、シビックの妥協を許さない「何を言われても気にしない」という姿勢を裏切っているようにも思える。…で、みなさん結局、標準仕様を選んじゃうっていう…。
07
スバル インプレッサ WRX Spec D
日本は以前にも、「もっと繊細にして、おとなしい図書館員に売る」という手法を試みたことがある。スバルはインプレッサで挑戦したことを覚えているだろうか。青く塗って、金色のホイールを履いて、トランクリッドに立派な棚をつけてこそスバルだという陳腐な考えから抜け出そうと、2006年にこれを発表したのだ。WRX Spec D - DはDiscreet(控えめな)の意。
グレーでしょ?そう、だが、300台すべてのカラーオプションはそれだけだった。スバルらしさを排除したデバッジが施され、内装はフルレザー、そして何と言っても縮小されたエアロキットが自慢なのだ。ゴールドのブレーキキャリパー、巨大なボンネットの鼻の穴、クラシックな水平対向4気筒のルブドゥブブワァープ!というサウンドトラックなどで、繊細さを追求たが、誰も騙すことはできなかったとさ。
08
メルセデス C63 AMG ブラックシリーズ
ダメージの少ないウイングレスのもう一つのかたち:弾き飛ばすような走りと背の高いリアウイングを失ったブラックシリーズ。これは、おいしい。
AMGの6.2リッターV8は、この素晴らしいリアドライブ、ワイドアーチのクーペで、スタイリッシュに別れを告げた。ほとんどのオーナーは、標準のC63 AMGクーペの鼻をあかすために、純粋にウイングを選択していたのだろう。あるいは、本当にダウンフォースが必要だと思ったのかもしれない。
09
ケーニグセグ ジェスコ
ケーニグセグ・ジェスコ
皆さん、簡単な決断をしてほしい。クリスチャン フォン ケーニグセグの父の名を冠したスウェーデン製ハイパーカーなら、ラップタイムに優れていてほしいと思う?それならば、巨大なトップマウントのアダプティブウイングを装備したモデルを申し込もう。
最高速度483km/h以上を目指すストリームライナーをお望みなら、ウィングを捨てたジェスコ アブソリュートにチェックを入れてみて。
来週の消費者アドバイスのコーナーでは、夏の間、どこにスーパーヨットを停泊させるかを考えてみたいと思う。
=海外の反応=
「僕はポルシェだと別の獣(カレラGT)が好きなので、巨大なリアウィングのない3,4,5,それから9のジェスコは、この記事で紹介されている私のお気に入りのクルマだ(いつかは…)」
「フォード エスコート コスワースには、尻の部分にある巨大なプラスチックの塊がないモデルはあったっけ?」
↑「ああ、あったよ。僕はオリジナルの販売冊子を持っているけど、ダックテールの下の部分だけのがあった」
↑「工場出荷時にウイングなしで提供されていたかどうかはわからないけど、ウイングなしのRSコスワースの例もあるし。正直なところウイングがないと味気ない感じがする。実は、エスコート RS コスワースは、市販車で初めてフロントとリアに空力的なダウンフォースを与えたクルマなんだ」
「ランチア デルタ インテグラーレには、可動式のリアスポイラーがあり、これはクールだった。また、"燃えやすい"Zenvo TSRシリーズには、エアブレーキとコーナリングスタビライザーの役割を果たす多軸リアウイング、セントリペタルウイングが搭載されている」
「ウイングのないムルシエラゴLP670-4SVなんて、見たことないと思う」
「カウンタックのウイングについてだけど、もともとは付いていなかったんだよ。F1界の重鎮であるウォルター ウルフのためにワンオフのスペシャルオーダーとしてデザインされたもので、スポイラーも正式なオプションではなかったのだ。しかし、顧客からの要望は強かった。1976年頃、ランボルギーニは新しいエアロパーツを付けてホモロゲーションを取り直すことはしなかった。その代わりに、ウイングのない車を作り、組み立てラインから工場の駐車場に運び込んで、従業員がリアウイングを取り付けた。運搬車を待つ間に、電動ハンドドリルを使って。作業時間は約10分。このクルマはすでにフロントが軽かった。そのため、リアにこれ以上のダウンフォースを与えることは好ましくないと考えていたのだ。それを補うために、リアウイングの角度を変えて、ダウンフォースがまったく発生しないようにしたんだよ」
「正直なところ、私はウイングを手に入れたいと思っている」