ドライビング
道路ではどんな感触??
その前に、ちょっとおさらいをしておこう。RSのテストカーには、4輪ステアリング、エアサスペンション(RSに標準装備、クワトロの標準装備はノーマルアダプティブダンパー)、カーボンセラミックブレーキ(クワトロに標準装備のスチール製ディスク、RSに標準装備のタングステンカーバイドコーティング鋳鉄製ディスク)、電子制御式リアデフなど、あらゆるダイナミックなエクストラが装備されていた。よりシンプルなスペックのクルマを手に入れたら、またレポートするつもりだが、今のところは、これらのオプションの技術が素晴らしく機能しているということを確認できる。
21インチホイールでも乗り心地は魔法のようにしなやかで、グリップは別世界にいるようで(ただし、ロータリーでスピード出すのは違反だよ)、4輪ステアリングは、狭いスペースで駐車するときなんかのハンドルさばきには必需品だ。ブレーキペダルを踏んだときの最初の減速度(最大0.3G)はすべて回生されることを考えると、穏やかなドライバーであれば、実際にパッドをディスクに押し付けることなく、この1台で日常生活をこなし、走り回ることができるだろう。まあ、カーボン・セラミック・ディスクはやり過ぎのような気がするが…。だが、もしもコースに出ることがあれば、それなりの性能を発揮するはずだ。
ステアリングは速くて正確だが、特に魅力的なものというわけではない。0-100km/hのタイムを比較して、これがタイカン ターボやテスラ モデル Sよりも遅いクルマだと思っている人はいないだろううが…そんなことはない。少なくとも現実の世界では、そうではない。重要なのは、クルマがどれだけ速く走っているように感じられるかということで、RS e-tron GTの場合は、ロードカーで快適に走りたいと思えるほどの速さを感じ取ることができる。実際それ以上になると、気分が悪くなってくるもんだし。それに人間の感覚というものは、底なしのパワーの井戸のようなもので、いつでも自由に操ることができる - 回転数もギアも関係なく、右足をちょちょいとひねるだけで前方にテレポートする。何の努力もせずにスーパーカーの速さが体感できるのだ。
もしアウディが、この類のハンドリングに到達していなければ、退屈なものになってしまっていたかもしれない。だが、アウディは見事にクリアしている。この2.3トンのクルマのボディコントロールは、実際よりも約400kg軽く感じられるようになっているのだ。物理学的にサスペンションが、バッテリーの搭載位置と電気モーターの配置により、俊敏で警戒心も感じられる。タイカンよりもわずかにボディロールがあるのかって?おそらく、その違いに気づくには、2台を並べて運転してみないとわからない。アウディはR8よりも重心が低いと主張しているが、今回の試乗で、それを一瞬たりとも疑うことはなかった。
タイカンと同様、アウディはV8の轟音に代わるノイズの開発に力を注いできた。RSに標準装備、クワトロにオプション装備の「e-tron スポーツサウンド」は、トランク内の2つのコントロールユニットとアンプを使用して、車内に2つ、車外に2つのスピーカーを設置している。モーター回転数、スロットル入力、対地速度のデータを利用して、SFスタイルの合成音をキャビンに送り込んでくる(3段階の設定で音量を下げたり、上げたりすることが可能)。クルマの電源を入れると、外から驚くほど大きな音で脈打つブンブン音が鳴り響き、歩行者にこのクルマが近づいていることを知らせてくれる。