退屈なエコカーへの痛烈な皮肉。ベントレー スーパースポーツが新宿で光らせた緑の狂気

英国の由緒正しき名門ベントレーが、突如として日本のストリートカルチャーに噛み付いた。東京タワーを不気味な緑に染め上げ、ネオン管を怪しく輝かせたスーパースポーツが大黒PAを急襲する。お上品なラグジュアリーの仮面をかなぐり捨て、むき出しのパフォーマンスと狂気的なまでのストリートへの執着で、夜の東京を制圧した異端のイベントをレポートする。


英国紳士がストリートの不良に憧れた夜

ベントレーといえば、最高級のレザーの香りと、磨き上げられたウォールナットのウッドパネル、そして静寂の中で圧倒的なトルクを発生させる、選ばれし富裕層のためのグランドツアラーだ。だが、2026年6月23日に彼らが東京で決行したイベントは、我々トップギアが愛してやまない「頭のネジが吹き飛んだ」代物だった。

長年の日本市場における歩みを祝すという名目で、彼らは東京タワーを「ベントレー レーシンググリーン」にライトアップし、展望台にウィングドBのエンブレムを投影。タワーの麓に100名超のVIPを集め、ドライビングプレジャーの極致たる新型コンチネンタルGT Sをアジア初公開したのだ。だが、本当にヤバいのはその隣に鎮座していたもう一台のマシンである。

大黒PAを制圧した「ネオン管付き」のバケモノ

我々の目を釘付けにしたのは、並んで展示された新型スーパースポーツのジムカーナ仕様車だ。今年初めに公開された映像作品「Supersports: FULL SEND」で、エクストリームスポーツ界の狂人トラビス パストラーナが容赦なくタイヤを白煙に変えた、あの特別仕様のバケモノである。

この巨大な野獣は、お上品な東京タワーでの発表会の前に、あろうことか日本のチューニングカルチャーの聖地である大黒PAのカーミーティングに乱入していた。しかも、日本のストリートに敬意を表し、ボディやホイールのアクセントカラーと完璧に調和するグリーンの「アンダーボディイルミネーション」を装着して、である。英国クルーの本社工場で、一流の職人たちが大真面目にネオン管を仕込んでいる姿を想像してほしい。狂気以外の何物でもない。

さらに6月19日には、クリエイティブディレクターの生沢舞とともに新宿で「Cars & Coffee」を開催。DJのビートが鳴り響く中、東京のスーパーカーやカスタムカーが入り乱れるカオスな空間を作り上げた。そこには、日本最速の新幹線「はやぶさ」から着想を得たという、常軌を逸した特別ラッピング仕様の新型コンチネンタルGT Sも展示されていた。週末に先立ち、渋谷スクランブル交差点の大型LEDビジョン7面をジャックして「FULL SEND」の映像を垂れ流すという、徹底したストリートへの執念である。

優等生になりきれない内燃機関の咆哮

アジアパシフィック リージョナル ディレクターのデイブ ヘイターは「ブランドのスポーティな側面をさらに強化していく」と語気を強めるが、これはもはや「スポーティ」などという生ぬるい言葉で片付けられる代物ではない。

ベントレーは2035年までに全車電動化を謳う「ビヨンド100+戦略」を掲げるサステナブルなブランドであるはずだ。しかし、重くて退屈なエコカーが街を覆い尽くそうとする現代において、彼らがあえてストリートの毒を致死量まで注ぎ込んだジムカーナ仕様車を解き放った事実こそが痛快極まりない。「FULL SEND」仕様のスーパースポーツはこの後、英国に戻りGoodwood Festival of Speedで一般公開されるというが、果たしてネオン管を光らせたこのならず者を見て、保守的な英国の貴族たちは卒倒せずにいられるだろうか。我々としては、彼らがいつまでもこの「危険な遊び心」を捨てないことを願ってやまない。

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