誕生しなかったBMWの秘密 これらが実現していたら…

閉ざされたドアの向こうに:誕生しなかったBMWの秘密。新刊が発売された。BMWデザイン部門のカットされた製品たちにまつわる話だ。ここに挙げたプロジェクトは、実現する可能性があった。


「若い購買層をBMWの世界に引き込むゲートウェイとして、フルファットのドライビングエクスペリエンスを提供する」

これはかなり大胆な売り文句で、上の写真に写っているBMW 2K2の市販バージョンは、かなりのクルマになったかもしれない。それは、BMWで最も敬愛される名車である2002を2002年に復活させるというものだった。プロペラバッジのオーナーになるためのエントリーポイントを提供する、より安価でスリムな車だが、走りのスリルに手を抜くことはない。

「ラジオは付いていません。所有者が別のものを取り付けるだろうと考えられていたからです。コストを削減して、お客様にE46 3シリーズクーペの恩恵をシンプルなパッケージで提供できるようにするのが狙いでした」と、新刊『BMW Behind the Scenes』3部作の著者であり、90年代後半にBMWの取締役会を取材し、2K2を間近で見た数少ない人物の一人であるスティーブ サクスティは考えている。「ラジオは付いていません。所有者が別のものを取り付けるだろうと考えられていたからです。コストを削減して、お客様にE46 3シリーズクーペの恩恵をシンプルなパッケージで提供できるようにするのが狙いでした」

このクルマは世間を騒がす存在になりそうで、テストでもそれが証明された。そう、上のギャラリーにあるシルバーの車は、完全に走行可能なプロトタイプであり、歩くペースよりも速く小走りで移動することができない、スマートにスライスされたクレイモデルなんかではない。2K2を語る上で欠かせない人物であり、現在はロールス・ロイスの重役であるデザイナーのラルフ ラングマイヤーは、BMWのアッシュハイムテストコースでテストしたときのことを覚えている。

「私たちは全員、膝の上に消火器を置いた状態で座り、BMW 330dディーゼルの高トルクモデルとのベンチマーキングを行いながら走り出しました。2K2には低減済みのディファレンシャルギヤ比がついていたので、本当に加速が良く、180km/hまでは3シリーズを打ち負かしました」このクルマの発端には、何人かの異なるデザイナーと90年代後半のBMWの政治的駆け引きが何度も行われた。しかし、肝心なのは、当時BMWが、ローバーの所有権っを保持していたことだ。BMWは、扱いづらい3シリーズコンパクト以上にバイヤーを魅了する新しいコンパクトカーを求めていたが、取締役会が最終的に承認したのは経営陣は1台しか承認せず、新しいローバー R30への投資を選んだ。

「2K2の年間生産台数は約3万台だったと思われます」とスティーブは推測した。ハッチバック市場なら、即座に100,000台ということになる。ローバーでなければ、おそらくこれを作っていただろう」歴史に詳しい人でなくても、BMWは20世紀の変わり目前にローバーを手放しており、R30がショールームに並ぶことはなかったことを知っている。そのため、ラングマイヤーは、2K2プロジェクトを復活させるチームの一員となった。ただし、今度はより収益性の高いハッチバックとして。そして、そのハッチバックこそが、BMW 1シリーズなのだ。

ラングマイヤーは学生時代に2002年型カブリオレをレストアした経験があり、迅速かつ少量生産のコンポジットスペシャルのコンセプトを証明したいと考えていた。この時代のBMWコンセプトデザインでは、リアヒンジの「オケージョナル(時々使用する)」ドアの可能性が何度も浮上したが(上記参照)、完成車ではスキップされ、生まれ変わったミニ クラブマンとBMW i3に少しだけ登場する程度にとどまった。

BMWの当時のデザインチーフであったクリス バングルは、新型コンパクトはやはりクーペとして発売されるべきであり、よりオーソドックスな3ドアと5ドアのボディスタイルをその後に追加するべきだと主張していた。マーケティングは彼を押し切ったものの、最終的に登場した1シリーズクーペ(2007年発表)のサイドプロポーションには、2K2の亡霊が見え隠れしている。高性能の1Mは6気筒エンジンを採用し、2K2のシンプルで効率的な4気筒エンジンの地位を捨てたが、オリジナルコンセプトの巨大なパンチングパワーは少なくとも生き続けている。ただ、その価格は「エントリーポイント」という概念を逸脱するものであり、1Mがすぐにクラシックというステータスを獲得したおかげで、今でもそうなのだ。そこは、残念。

80年代から90年代にかけてのBMWは、実のところ素晴らしい創意工夫に満ちていたようだ。市販のZ1ロードスターが象徴的なドロップダウン・ドアでワイルドだと思ったなら、その未公開の兄弟車を垣間見れば、目を疑うことだろう。これらはすべて、BMWの新部門Zukunft Technik(未来技術)から生まれたものだ。元ポルシェで、後にアストンマーティンも手がけたウルリッヒ ベズが率いるこの部門は、別会社として運営されていた。「彼らのゴールはロードカーをデザインすることではなく、斬新なエンジニアリングコンセプトを生み出す自由奔放なスカンクワークスとして機能することでした」とサクスティは言う。

仮想的なZファミリーには、次のようなものがあった。ロードスター、クーペ、サルーン、そしてEVやモーターサイクル、さらには現代のX2よりもはるかに頑丈そうな(そして魅力的な)、信じられないほど先進的な小型クロスオーバーのコンセプトモデルまで。しかし、私たちが最も残念に思っているのは、Z1の派生モデルではない。テクニックのチーフエンジニアであるハーム ラガイはモータースポーツ愛好家であり、BMWのM12エンジン(80年代のフォーミュラ ワンで使用された1.5リッター4気筒ターボ)がZ1にうまく収まることをすぐに察知した。彼の提案は、この2つを合体させて、曲がりくねった12.42マイル(20km)のパイクスピーク ヒルクライムにアタックするというものだった。

「BMWは1987年にF1を引退することを選びました」とサクスティー氏は言う。「それでもM12エンジンは、予選仕様で1,000馬力以上に調整されていました。その動力ユニットを、当時のF1マシンとほぼ同等の軽量の単座席Z1に載せれば、大々的に注目を集められることは明らかでした」

しかし、残念なことに、ラガイのアイデアの真のスカンクワークス精神が完全に成熟することはなかった。逞しいコンセプトは、視覚的な評価と風洞テストのために詳細なスケールモデルとして作られたが、アリ ヴァタネンの痛々しいほどクールなクライムダンスのビデオのおかげで多くのエンスージアストのレーダーにパイクスピークが映し出された頃、プロジェクトに対するテクニックの熱意は冷めてしまっていたのである。


しかし、我々が皆心から望んでいた車はただ一つ。それは、M部門の初代モデルであるウェッジなM1に匹敵する、正真正銘のスーパーカーである。先駆的なi8ハイブリッドの複合構造も、あと一歩のところまで来いた。

サクスティの調査によると、M1のグラマラスなハロー効果を再び呼び起こそうとした公式の試みは少なくとも10回あり、いつかはその試みだけで一冊の本が書けるかもしれない。しかし、最近の試みはそれに近いものだったようだ。2019年のビジョン M ネクスト コンセプトによってプレビューされ、プラグインハイブリッドのパワートレインを用いてM部門の将来的なフィロソフィー(特に次期M5のフィロソフィー)を示すのに役立ったが、そのピースはうまく組み合わされた。3人のデザイナーがエンジニアリングチームと協力し、12カ月という短期間でコンセプトをほぼ現実のものとしたのがi16である。

そのサイドウインドウはi8とDNAを共有していることを示すが、プロポーション、特に切り詰められたテールには巧みな細工が施され、まるで新型モデルのようだ。それも、よりパワフルなものとなっている。i8が1.5リッター3気筒エンジンを搭載し、最高出力369bhpを発揮したのに対し、i16はBMWのモジュラー式B48型2.0リッター4気筒ターボにeモーターを組み合わせることで、600bhpに近い出力を発揮し、0-100km/hを約3秒で走破すると予想されていた。


「BMWはM1を復活させたがっているのですが、インスタグラムで2万人のファンを熱狂させるのは簡単でも、2万人の顧客を見つけるのは難しい。だからこそ、XMのようなパフォーマンスSUVが登場するのです」とサクスティー氏は言う。「ポルシェがカイエンでこの路線を切り開し、ランボルギーニ、アストンマーティン、マセラティ、フェラーリも次々と参入しました。確固たる地位にある既存メーカーが手を広げている最中に、BMWが新たにスーパーカー分野に参入するのは大きなリスクでした」

i16の開発が2020年になだれ込み、世界的な大流行という不測の事態に見舞われたことは言うまでもない。BMWの現在のデザイン責任者であるドマゴイ デュークは、最近の投稿で「歴史は作られることはありませんでした」と嘆いている。「私たちがプッシュしている間に、2020年に世界は変わってしまいました。プロジェクトは残念ながら中止せざるを得なかったのです」

「しかし、人生はそういうものです。デザイナーとして、私たちはこうしたプロジェクトのねじれや曲がりなみは慣れ親しんでいます。それでも、私たちは夢を諦めることはなく、新しい可能性を探り続けます。そして、いつも次のプロジェクトが待っているのです」

*スティーブ サクティーの新しいBMW Behind the Scenes 3冊ボックスセットでは、これらのストーリーをはじめ、多くのストーリーが語られている。詳しくはstevesaxty.com/bmwをご覧ください。

【日本特集】次期GT-R RX-7 LFA MR2/ケータハム プロジェクトV/日本のボルボオーナー:トップギア・ジャパン 060






=海外の反応=
「スレ違いタイトル:ここ5年BMWが作るべきだった車」
「ドマゴイ デューケってどんな奴か知らんけど、
きっとスタジオで部下に説教垂れてるんだろうなって想像しちゃう。たぶん、こんな感じ↓
部長!Zを現代風にしてみたんですけど!
若いもん!鼻の穴はどこだ!
いや、社長、EVだと吸気量も少なくて…
鼻の穴が必要だろ!立派で潤沢な鼻の穴で空気を吸い込んで環境と一体になれ!BMWは鼻の穴だ!
辞めます!親父の言う通りエンジニアになってればよかった!」
「BMWはこんなにかっこいい車を設計したままお蔵入りさせてるのに、XMとか他のキモいデカグリル車ばっか市場に出してる。これが企業の自殺ってやつか」
「簡単にお客のせいにすんなよ?車の開発、商品の開発ってのは市場の穴を埋めるか、新しい穴を作るかのどっちかなんだ。追従者になるか、先見者になるかって話。で、ま、ポルシェはカイエンで先見者だったわけだし、残りの羊たちはすぐに追随した。もしBMWがXMが先見的な瞬間だと思ってたとしたら、大間違いだ。

よく言われる話だけど、客は自分が何が欲しいのかわかってない。メーカーが、客が欲しくなるような商品を作ってやらないといけないんだ。で、高級SUVが流行ってるってのはわかるけど、今はどんな瞬間も世界と共有しなきゃいけない時代だろ。だから難しいけど、スーパーカーが欲しいように仕向けて、「俺はこれくらい稼いだんだ!くそったれ!」ってエゴイズムの欠片を売りつけることは不可能じゃない。

BMWは昔からドライバー向けの車を作ってるって自負してるのに皮肉な話だよな。スーパーカーはそういう車の頂点だ。自分を満足させるために運転するんだろ。世界に自慢したり、派手な内装で友達に自慢するもんじゃない。ソーシャルメディアやエンゲージメントとは無縁の、人間関係とは全く関係ない代物だ。マイバッハのふわふわサスペンションとは真逆のね」
↑「X5、ML500、RX300…ポルシェは売れそうな車を考えてSUVの流れに乗っただけだろ。別に先見者でもなんでもない」
「スポーツカーしか作らな」メーカーで最初にやったから、先見者だって言ってるんだろ。その後他社も追随したわけだし」
↑「俺は反対だ。大抵の場合、熱狂家向けの車は商業的に失敗する。Z3クーペ、Z4クーペ、86とか。バイクも同じだ」
↑「言いたいことはわかるけど、GT86を失敗例に出すのはどうかなと思う。あれだけバリエーションあったら、「スポーツ」ユーティリティだらけの世界で結構頑張って売れたんじゃないかと思うけど。俺がそう思うだけだけどな」
↑「全ては相対的なんだよな。トヨタは86からもっと売れると思ってたって話を覚えてる。
追伸: 俺も86買おうと思ったんだけど、Z3クーペ買ったんだ。40万円くらい安く済んだし。あれは10年前の話だけど」
↑「ポルシェはカイエンで先見性を発揮したって、2002年発売だろ。BMWは3年前のX5発売で、ランドローバーを1994年に買収してSUVの作り方を学んで、2000年にフォードに売却した。これ全部偶然かよ」
↑「ところで、XMは売れてるのか?Mが開発した2番目の車で、性能はX5 Mに簡単に超えられるのにチグハグな点だらけなのに売れてるの?」
↑「え、全然売れてないと思うけど」
「BMWが50年代60年代の懐かしいデザインを復刻してレトロEVを出したら面白そうだな。今レトロデザインがトレンドだし、いいチャンスかも」
「BMWにはNAZCAの後継車を限定車でも良いから出して欲しいわ。チャレンジしろよ、頼むから」

トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2024/05/70564/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

HP Directplus -HP公式オンラインストア-

ピックアップ

トップギア・ジャパン 061

アーカイブ