GTモータリングの傑作。素晴らしくて、リラックスできるクルーザー…この奇抜さに慣れたらね
いいね!↑
革新的で、時代を先取りしてて、最高にリラックスできて、広くて、ゴージャス。
イマイチ↓
…ブレーキがちょい曲者。あと、ステアリングも。あと、メンテナンスも。あと、…。
概要
どんなクルマ?
シトロエンの大いなる愚行、駄作だ!なんて言う人もいる。まあね、会社を破滅の道へと突き進ませて(1974年に経営破綻)、プジョーとの合併を余儀なくさせたときにいたクルマだもんなぁ、そう思われても無理ないか…。でも実は1935年にシトロエンをピンチに陥れたのは野心的なトラクシオン アバンなんだよね。「歴史は繰り返す」ってこういうことか。
当時フランス人がラグジュアリーなグランドツアラーを好まなかったのは本当で、このクルマの開発がスパイラルに陥っていたのも事実である。SMのルーツは1961年のプロジェクトS。大ヒットを続けたDSを、さらにスポーティーで速いクルマに進化させようって意図で行われたプロジェクトのことだよ。1968年にはエンジン開発のためにマセラティを買収するほどだったし、あの頃のシトロエンの勢いはとどまる所を知らなかったみたい。
よし、マセラティが加わったことでイタリア色をゲット!これでありきたりなフランス車から脱出できる、と考えていたかは定かではない。1968年に買収された後も、技術の共有はたくさん行われていた(そのほとんどがイタリア側のものだった)からだ。でも、好調に見えたその提携関係も1975年に険悪な形で終わってしまった…。それってどうみてもSMのせいだよな?いいや、どうやら石油危機でマセラティの売り上げが悪化したってのが真相だ。と言うことはつまり、シトロエンの衰退の原因はSMじゃなかったんじゃーん、やっぱりね。他に考えられる原因といえば、ロータリーエンジンに大博打をうったこと&1970年に2CVとDSの間をとったようなGSが登場するまでの15年もの間、ミッドレンジモデルがいなかったこと&1934年の経営難の際に親会社となったミシュランによって一度はフィアットに売りとばされたけど、プジョーとの合併前にまた買い戻されたことなど、とにかくいろんなことが積みに積み重なった結果なんだよ。「波乱万丈」とは、まさにこのとだよな。
この荒れ狂う海をどこ吹く風と乗り越えていったのがSMだった。シトロエンは、メルセデス・ベンツ SLCとかジャガー Eタイプなんかが君臨する激しい競争市場に、この風変わりなクルマをシレっとねじ込んだんだ。フランスの自動車デザイナー、ロベール オプロンがデザインしたクーペは、1970年から5年の間に合計12,920台も製造されたんだって。プジョーの傘下になったのは、必ずしも悪いことじゃなかった。おかげで結構なパーツが安泰の余生を送ることが出来たんだ、よかったな。ドライブトレインまるごとはマセラティ メラクに、トランスミッションはロータス エスプリに、またハイテク機器のほとんどがシトロエンCXサルーンに使われたりって感じ。
他にも生き延びたパーツはたくさんあった。油圧式のセルフレベリングサスペンションとか可動式ライトとかもそう、って、このへんはみんなもう知ってたって?じゃあ、ロックトゥロックが2回転だけで、手を離したらステアリングが勝手に真っすぐに戻ってくれる(早い話、油圧式のパワーステアリングね)ディラヴィシステムは?リアトレッドを大幅に絞り込んだカムテールを採用したティアドロップ型のボディがわずか0.29のCd値を実現したって話は?重量をたったの140kgに抑えた軽いオールアルミ製2.7リッターV6エンジンがフロントアスクルの後ろに取り付けられたこととか、当時の流行りじゃなかった前輪駆動方式とかは?
…ゴホン、気になることが多すぎて少々取り乱しましたことをお詫びするとともに、先に進みます。その後ディスクブレーキが全面的に採用された。それぞれのブレーキ圧はリアの重さで変わるようになってて、スピードがゆっくりになったら均等に下がるようになっていた。あと、ミシュランがモータースポーツを意識して、強度は同じだが重量を半分に抑えたアルミ樹脂タイヤを開発したんだって。このような革新的な技術を自社製品だけでなく、たった一台のクルマの中で実現しているって、他にあるかね?たまげたもんだ。
1971年には、初参戦でモロッコ ラリーでクラス優勝を果たした。この結果がシトロエンに短いホイールベースの「パン屋のバン」っぽいブレッドバン バージョンを開発させることになるんだけど、一勝も出来なかったわけで。だから工場テスト用にV8エンジンもぶっこんでみたんだけど、これもやっぱりダメだったわけで。やれやれなわけで。シトロエンが生産したクルマはすべてクーペだったんだけど、自動車の車体製造業者アンリ シャプロンの工房で、低めのギア設定の大統領パレード向けの4ドアコンバーチブルが2台作られてる。また、ロングホイールベースをした4ドアのオペラ バージョンも、たった8台だけど作られてるよ。
なんにしろ、SMはすごく象徴的なクルマで、称賛を浴びるのも当然だ。じゃ、どんな感じか乗ってみよう。
ドライビングの最後の段落、「てる。」ってなんやろか?
シトロエン SM、乗ってみたいが日本じゃ希少だし本文にもあるように複雑な構造ゆえ維持が大変そうだ。
ご指摘ありがとうございます。編集ミスでした。
早速修正いたしました、教えていただき、感謝申し上げます。