トヨタ GR ヤリス長期レポート3:GR スープラ vs GR ヤリス

スペシフィケーション:

トヨタ GR ヤリス

エンジン:
1618cc 3気筒 ターボ

燃費:
12.1km/L,186g/km CO2

パフォーマンス:
0-100km/h 5.5秒 , 230km/h

重量:
1280kg

価格:
29,995ポンド (430万円)/34,375ポンド(495万円) テスト車両/月額5.7万円

スペシフィケーション:

トヨタ GR スープラ プロ

エンジン:
3.0リッター 直列6気筒 ターボ

燃費:
12.2km/L,188g/km CO2

パフォーマンス:
0-100km/h 4.3秒 , 249km/h

重量:
1495kg

価格:
54,340ポンド (825万円)/55,050ポンド(840万円) テスト車両/月額7.7万円

さて、今回の長期レポートはちょっと番外編で、GR スープラと対決させてみることにした。GR スープラの方は、ローワンが担当で、ヤリスは僕、オーリーだから、どんなところが良かったか、担当者同士で対談をしてみたよ。

ローワン ホーンキャッスル:ミスターマリアッジ、教えて。私もあなたもGR スープラの発表会に参加したけど、そこでは真面目な技術者たちが「他のメーカーとの提携なしには、新しいスポーティなトヨタ車を生み出すことはできない」と言ってたよね。そして、その通りになったんだ。BMWと提携し、BMWのZ4にブリキの蓋をつけたようなクルマ、それをスープラと呼ぶことにしたんだ。しかし、それから1年後、爆裂なホモロゲーション・スペシャル・ホットハッチを発表した。標準車よりも259箇所も多くの溶接箇所があり、異なるボディ、独自のドライブトレイン、そして完全にオーダーメイドという少量生産スポーツカーの生産システム。技術的には決して安いものではなさそうだ。どうやって作られているのか?私たちは騙されていたんだろうかね?

オーリー マリアッジ:よくわからないけど、トヨタの誰もがいい顔をしていない。だって、不思議なビジネス判断だと思わない?「復活させたフラッグシップ・スポーツクーペはみんなに愛されているから、BMWに任せて、その間に歴史的な関連性もなく、ラリーで必要とされるだけのホットなヤリスの開発に挑戦しよう。スープラには出せないと言っていた数億円を、このクルマには投資して、大ヒットさせたいと思います」っていうんだから。

RH:悩ましいのは、GR ヤリスが、トヨタが運転好きな人のために素晴らしいクルマを作ることができるということを証明しているから。GRスープラは、この点において、マスタード(この場合は、ワサビのがいいかな?)が足りないんだよね。誤解を恐れずに言えば、スープラは素晴らしいクルーザーだ。しかし、高速道路を走るためにスポーツカーを買った人はいないでしょう。1年近く一緒に暮らしてみて、スープラには、ドライバーを魅了し、その素晴らしいルックスを維持するためのエンゲージメントとフィードバックを提供するだけの十分なフックがないんだよね。一方、オーリー担当の小さなヤリスには、そんな素敵な魅力が溢れているんだ。だからこそ、アタシは嫉妬で煮えくり返ってるのよ。あー、クヤシイったらないわ!(笑

OM: まあ、たしかに交換したくはならないわな。ただ、このことは、絶対に伝えておきたい。2台を交互にドライブするのは面白かったよ。スープラは、コーナーに入ってからのシャシーの動きがいいんだ。でも、ターンインの段階が苦手で、十分な情報と信頼感がなくてさ、ステアリングとサスペンションの最初の動きのときに、少し気弱な感じがする。逆に、荷物が積み込まれてれば、安定して良い具合になる。スライドしやすく、調整もカンタン。ヤリスはとにかく陽気だね。シャシーもエンジンもラグがなく、すぐに走れるし、グリップ力もある。むしろ良すぎるくらいだ。濡れたラウンドアバウトを2速で華麗に抜けていくし、本当にバカなことをしたいならハンドブレーキを引いて、好きな角度から救出することもできる。しかし、それ以外の場合は、スライド&ショーというよりも、グリップ&ゴーという感じだ。しかし、粘り強く、アグレッシブで、スープラにはないハングリーさがある。

RH:まさに、おっしゃる通り。自分は絶対しないけど、リアタイヤを燃やしてでも、どこまでも横にドリフトしたがる人もいるかもしれないし…。スポーツカーは、どんなスピードでも、どんなコンディションでも、誰もが楽しめるものでなければならない。コントロールウェイトやフィードバックが、持ち主を勇気づけ、興味を失わせないようにしなければならない。しかし、それだけではなく、クルマを信頼できることも必要だ。これは、アルピーヌ A110やBMW M2、ケイマンが非常に優れている点だと思う。スープラだと、サスペンションのセットアップとジオメトリーが自信を与えてくれず、起伏のある場所では不意にぎこちなく体をそらせてしまうため、さらに悪化させているようだ。また、フロントエンドは何が起こっているのかを効果的に伝えてくれないし。グリップ力が高く、ポテンシャルが高いだけに、これは残念。しかし、手に入れて間もない、箱から出したばかりの状態では、自分がスープラに対して、どうつきあっていきたいのかわからない。すると、チューナーがハッピーになるだろう。さて、お喋りは終わりにして、ヤリスと一緒に過ごしてみて、どう?

OM: ちょっとラフな感じ。他のホットハッチだと感じられる、ちょっとした贅沢が恋しくなることが、正直ある。高速道路での快適性、満タンで3701km以上の走行距離、きちんとしたHi-Fiサウンド、ロードノイズの少なさなんかね。逆にスープラは、これらすべてに対して優れている。それに、GR ヤリスは、長距離を走るのは苦手だし、実用的でもない。一応、4つシートがあるけど、僕の10代の子供たちは、2人とも後ろのシートを畳むのを真っ向から拒否ったよ。シートを倒せば、ミシュランを装着したOZレーシングのホイールが4本入るんだけどね。つまり、基本的には2シーターなんだけど、トランクはスープラのよりも大きいんだ。まあ、僕はこういったことには全く関心がないけど。妥協が不可欠だと考えている。いま僕が口頭で上げたものを追加すると、重量や消音などのためにドライビングに影響がでてきてしまう。

RH:僕は今、「Gazoo Racing」というブランドが何なのか、混乱しているところなんだ。GRの冠をつけるマシンには、一貫性を持たせてほしいと思っている。この2台はそうじゃないことは、ハッキリしてる。次のGRカーは、オーリーのヤリスのようになってほしいし、僕のスープラのようにはならないようにしてもらいたいよ。

OM: トヨタは、明確で正当なGRパフォーマンスカーの哲学を持っているということを、我々のような人々に納得させるために、険しい山を登らなければならない。日本では通用するかもしれないけれど、ヨーロッパでは通用しない。スープラ GTをレースに送り出し、適切にシャープな走りのバージョンをすぐに用意する必要があるけれど、それでもすでに施行されてしまったたことを元に戻すことができるかどうかはわからない。

RH:スープラとの生活は本当に面白いし、いい意味で、イージーだね。走り出してからは故障もなく、タイヤにも驚くほど優しく(スティグの手に委ねられていたことを考えると)、BMWの内部構造やエンターテイメントも、一緒に暮らすのには、イージーに、わかりやすくできている。さらに、そのルックスと路上での珍しさから、乗っているととても注目される。しかし、それが販売に結びついていない。私がスープラを運転している間、道路でスープラを一台も見たことがなかったんだ。それどころか、トヨタはUKでの販売台数を教えてくれない。これでは自信が持てないよ。正直、スープラは乗り降りが難しく、世界で最も実用的で最も効率的なものではないクルマだからだ。だから、妥協しなければならないことが多くて、ちゃんとしたドライブに出かけたいときには、スープラだと十分な報酬が得られないと判断されてしまうんだ。一方、オーリーのGR ヤリスには欠点があるけれども、それを補って余りある個性と魅力、そしてドライビングの空手チョップみたいなスパッとした感覚がある。それに、あの素晴らしいハンドブレーキもね。

OM:ケイマンやアルピーヌもあるから、クーペの魅力がなくなったというわけではない。ただ、そのアイデンティティがあまりにも混乱していると思う。僕の町ではすでに2台のGR ヤリスを見たけれど、よく道行く人に呼び止められ、自分も注文しているんだと言われた。ウェイティングリストは9-12ヶ月になるようだよ。こんな時代でも、クルマを正しい方向でデビューさせれば、ちゃんとニーズはあるということだよね。GR ヤリスは、まさに今が旬のクルマだと思う。スポーツカーは大きくなりすぎ、重くなりすぎ、速くなりすぎていると言われているが、GR ヤリスは、ホットハッチに求められるすべてのものを具現化しているから。

RH:良いGRモデルへの答えを出すのは、FIAのホモロゲーション・ルールなのだろうか?GR ヤリスは、たとえ高価であっても、良質で、面白いクルマなら売れることを証明している。トヨタは、2020年の割り当て分をわずか3週間ですべて出荷し、2021年の割り当て分もすでにすべて販売している。もしトヨタにセンスがあれば、今では時代遅れとなったWRCのホモロゲーション・ルールを満たすために必要な25,000台以上に生産量を増やすだろう。だからこそ、スープラはもっと良いものにできたのではないかと思わずにはいられない。機会を逃したとか、社内で後悔しているとか、そういう風に思われているのだろうか。もしそうだとしたら、僕にとってはその通りだね。

OM: スープラは救済されると思うよ。しかし、それは、BMWとの関係を深め、Mパーツなどを手に入れることでしか達成できないとも思っているけど。果たしてBMWに、それができるんだろうか?トヨタは、日本らしさを演出する方法を見つけなければならない。それができず、何もしないのであれば、スープラは非常に近視眼的な決断だったように見える。しかし、2社が電気自動車で協力していることはわかっているので、まだ全体像が見えていないだけかもしれない。しかし、これは魅力的なパズルみたいなもんだ。新しいクルマを作るための資金がないとあれほど抗議していた会社が、1年後に振り返って、最初から資金があったことを証明したことは、これまでの記憶にない。だが、むしろこれは、企業に人間的な側面があることを示しているのかもしれない。豊田章男氏はラリーに一番興味があるのではないだろうか。そうであれば、僕は豊田氏のことがとても好きだ。彼も僕と同じように、夜遅くにGR ヤリスで出かけて、オプションリストにライトポッドを入れておけばよかったと思いながら、田舎道を走っているんじゃないかと思いたいなあ。

=海外の反応=
「自分の知る限り、スープラは非常に売れ行きが悪く、スープラが発売されてから約1年半が経つけれど、僕はまだ道路やディーラーの前庭でスープラを見たことがない。スープラは数年後には死滅し、すぐに無名になってしまうだろう。フォード サンダーバードやニュービートル、フェラーリ カリフォルニアなどのように、復活させる必要のない名前を未開発のクルマの後ろに付けた例のひとつとして記憶されるだろう」
「スープラの改良時期が来れば、トヨタはGR ヤリスで学んだことを活かして、より良いクルマに仕上げてくると思うんだ」
↑「いや、自分はスープラを殺すと思う。直列6気筒のためだけにBMWと提携したのは失敗だった」
↑「どうやって?BMWのスペアパーツ箱をあさり続けるとか?だって、2025年までにキャンセルされたけど、この時期に再度延期されても不思議ではない」
「GRヤリスが瞬く間に完売し、枠が空くとすぐに売り切れてしまうという話は、初代フォードF-150ラプターのことを思い出す。あれは、「マスコミに取り上げてもらうために1年間だけ作る」という限定車だったが、結果は皆さんご存知の通り。
トヨタは、本当に何かを掴んでいると思う。本当の意味でハードコアなクルマを作ることはリスクを伴うけれど、完売して伝説にならなかった真のホモロゲーション・スペシャルの話を最後に聞いたのはいつだったっけ?
自動車メーカーは、いつでも好きなときにこのようなことができることを理解しているよね?FIAの主張を待つ必要はないのに」
「スープラを批判するのはあまりにも簡単だ。GRのバッジ(と、それが象徴すると思われているもの)は関係ないんだ。BMWとのコラボレーションは確かに良いこと。彼らは素晴らしいエンジンと質の高いインテリアを作っている。しかし、トヨタのバッジは、スープラがより安く購入でき、より安く保険に加入でき、より安くサービスを受けられるということを意味している。M2やアルピーヌよりもはるかに印象的な、イカした外観のクーペに、トヨタが賞賛する5年保証が付いているのだから」
「スープラをトヨタと呼ぶのは、トヨタの最大の失敗だった。BMW由来は欠陥があり、多少作りが悪いことは認められるが、トヨタはそれを免れられない」
「スープラじゃなく、Zupraの問題点は、Z4が同じ車でありながら、ルーフがなく(トップレスにすることで失われる鋭いダイナミクスがあるわけではない)、はるかに安いことだ。

僕は純粋に、Zupraの市場を理解していない」
「どちらの車もそれぞれの良さがあると思う。
GR スープラは優れたスポーツカーであり、GR ヤリスは優れたホットハッチである。
性能に対する価値も素晴らしい]
↑「えー?スープラが素晴らしいスポーツカーだって?悪いというわけじゃないけど、いろんな才能を持ったライバルがいる中で、際立った存在感を発揮できていないように思う」

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