【トップギア試乗】ホンダ シビック タイプ R

ドライビング

道路ではどんな感触?
エンジニア陣がFK8のギアシフトにまだ改善の余地があるとしたことは、すごく重要なことだ。なぜなら、シフトを改善することは、車両全体の改良につながるからだ。 このアップデートにより、タイプ Rの走りはこれまでになく素晴らしいものとなり、僕ら庶民が気にかけたり、改良が可能だとも思っていなかったりしたところで、わずかながらシャープさや正確さを増したようだ。

コーナーに近づくと、コイツの鼻息がどんどん荒くなってくる。どんなにブレーキをアホほど強く踏んでも、整然とした制動力が得られるのだ。出口が見えると、アルカンターラで包まれた絶妙な重さのハンドルをきり、ブレーキペダルを押さえる足の力を徐々に緩めてスロットルへと踏みかえて積極的にパワーを供給していく。ちょちょっと数回の鮮やかなギアさばきで道路を焼き尽くす気満々のドライバー、そうはさせるものかと執拗にコーナーからドライバーを振り払おうとしてくるフロントデフ。どんなに不器用にスティックを操作したとしても、こんな調子だ。そして、TFTダイアルの数字を確認し、「ちょっと落ち着け、オレ…」と思うのであった。

グリップは設定をいじらずとも並外れだし、トラクションだって、四駆のような粗野さは微塵も全面に出さないくせに、かなりしっかりとしている(天気が激悪だったら別だけどね)。

あらゆるコントロールはめちゃめちゃ正確で、ジャッジも完璧だ。タイプ Rにイチャモンをつけるのは難しい。何か比較する相手が必要だね。えーと、たとえば、速いと言われるゴルフではタイプ Rの相手にはやや乗り心地が良くて生ぬるいし、ヒュンダイi30Nでも、ただの普通のスピードが出せるクルマに感じられる。あまりにパワフルなので、コイツが本当に「いつも」全力マックスなのか、はなはだ疑わしい。

だからって、このクルマへの満足感がその程度のことで損なわれるはずもなく。今回のアップデートによって悪路走行時のガタつき具合が少しおさまったように思えるし、過去のモデルに比べたら、若干の快適さまで感じられるようになってるんで、これも問題クリア。ドライビングモードには、コンフォート、スポーツ、R+の3つがあって、それぞれ特徴が大きく異なる。基本モードはスポーツモード。エンジンを切るたびにデフォルトのスポーツモードに戻っているんだ、そうこなくっちゃ。コンフォートの最大のウリは、高速道路でのクルージング時に、エキゾーストノートが抑えられるとこ。R+は、ほぼサーキット走行用のモードで、普通の道路で使うことはまずない。しかし、朗報は目に見えないところにもある。ダウンシフト時のレブマッチングがより攻めぎみになったのは、そのほんの一例だ(もちろん、その機能はオフれるよ)。

コイツは素晴らしいクルマで、運転する誰をもを喜ばせること間違いない。たとえ見た目がどうあろうとね。ついでに言うと(またオタク気質が出てきちゃうけど)、スポーツラインにはミシュラン パイロットスポーツ4が、通常のタイプ Rにはコンチネンタル スポーツ コンタクト6が、リミテッドエディションにはミシュラン カップ2というように、それぞれのクルマの特性に合ったタイヤが装着されているんだ。

もしかすると、まっ黄色なボディのリミテッドエディションのタイヤにミシュラン カップ 2が選ばれたのは、最も重要なあのシフトのせいかも。いつか、ぬかるんで狭いサーキットで乗ったことがあったんだけど、コーナーというコーナーでオーバーステアに持ってこうとするんだ。そんなのこれまでのタイプ Rの特性には皆無だった。ありとあらゆるシビックのコントロールからこぼれ落ちてきた情報をかき集めての運転は、チョー楽しかったってもんじゃなかったよ。すごいスペシャルなクルマに感じたんだ。けど、なんでホンダはエアコンとステレオを取っ払ったくせにリアシートは残したのかは、最後まで分からずじまいだったけどね。

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