アストンマーティンのヴァルキリーが日本でお披露目された。…あれ?この前も見せてなかったっけ、と思う人もいるだろう。今回は、まだモックアップながら、インテリアが見られるようになっているモデルだ。まず、3ヶ月ほど前に日本および韓国のリージョナル・プレジデントのグレッグ アダムス氏から挨拶となった。
「今日はようやく、アストンマーティンの美女と野獣、新しい段階に進んだヴァルハラをお見せすることができました。美女の面では、すごくきれいで品のあるデザイン、そして野獣の面では、1000馬力以上を発揮できるのが、ヴァルハラです。強烈なデザイン、強烈なパワー、強烈なテクノロジー、強烈なクラフトマンシップを抱えたヴァルハラをご覧ください」
アンベールすると、その美しいボディラインが目に飛び込んでくる。アストンマーティンは美しいフォルム、印象的なプロポーション、高品質なディテールを備えたクルマを生産することを得意としている。単一のボディパネルが独立して起動するのではなく、それぞれのデザインが機能的な意味を持ち、あらゆるタイプ、コンポーネント、デザイナーパーツになるまで、完璧さを追求している。
F1からヒントを得たエアロダイナミクスを特徴とするヴァルハラは、ダイナミックでクリーンなボディラインを維持しながら、革新的なリアヴェンチュリートンネルとディフューザーを介して、フロア下のエアフローを匠に処理する。アクティブに制御されるフロントとリアのエアロダイナミクスがダウンフォースを増加させ、タイヤを路面に押し付ける。また、インテークにエアを直接送り込む、特徴的なルーフスクープにも注目だ。
ヴァルハラの心臓部には、全く新しいプラグインハイブリッドパワートレインが搭載されている。これは、専用設計された4リッターツインターボ、V8エンジンをリアに搭載したアストンマーティン初のモデルだ。このユニットは、アストンマーティン史上最も先進的で、レスポンスに優れ、最高のパフォーマンスを発揮するV8エンジンである。さらに、150kWh、400ボルトのバッテリーハイブリッドシステムによって強化され、3基の電気モーターを搭載して合計1,012馬力の出力を発生させる。
フルカーボンファイバー製のタブが、最大の剛性を生み出し、重量を最小限に抑える。フォーミュラー1のノウハウをフィードバックすることにより、モノコックの重量は100kg未満に抑えられている。前方に開くディヘドラルドアは、車両への乗り降りを容易にした。コックピットは、ヴァルハラの可能性を解き放つための、完璧な環境を備えている。このコックピットは、F1からヒントを得ており、全ての中心にドライバーをおいたものだ。シートポジションは、キックポイントよりもペダル類の位置が高いのが特徴で、究極のコントロール性を提供する。最高レベルのエルゴノミクスは、ドライバーとの一体感を提供するため、完璧なポジションに調整することが可能だ。そのパフォーマンスを解き放つと、この車はわずか2.5秒で、100km/hに到達し、最高速度は330km/hに達する。ヴァルハラは、ゲイドンのアストンマーティン本社で、わずか999台がハンドメイドされる。
アストンマーティンの寺嶋氏と豊田氏に、ヴァルハラについて、聞いてみた。
―ヴァルキリーとヴァルハラの違いはなんでしょうか?
「ヴァルキリーにもハイブリッドシステムがありますけれど、マイナーハイブリッドです。対してヴァルハラはPHEV。そこが一番の違いです。それから、デザインは、ヴァルキリーは直接的にサーキットから公道に、というコンセプトで作っているので、もしかすると公道上では乗りにくいこともあるかもしれないですね。特にクーペの方はドアの開き方とかもかなり特殊で、レースカーのように上から乗り込んで滑っていくという感じなんです。ヴァルハラはもっと乗り込みやすいですね。スペック的にもヴァルハラの方はもっと公道寄りにしてくるので、快適性といった面では、乗りやすくなるということが言えると思います」
―限定台数は、ヴァルハラが999台ですけど、ヴァルキリーの方は?
「ヴァルキリーは、クーペが150台、スパイダーが85台と、少ないです。それから、サーキット専用のAMR Proが40台です。それからヴァルキリーはシャシーを一から作っていますので、そういった部分の特別性というのがあると思います。やっぱりヴァルキリーがあってこそのヴァルハラです」
―プラットフォームとしては共通のものですか?
「共通になっている部分が多いです。ヴァルキリーが元で、ヴァルハラができてきた。元々は、’Son of Valkirie(ヴァルキリーの息子)’というコンセプトで作っていました。ただ、今は、デザイン的にはヴァルキリーとは差別化されていますけど」
―ヴァルハラのセールスまでのスケジュールは出ているのですか?
「そうですね。このV8エンジンを使うPHEVのヴァルハラなんですけど、生産が2025年末というふうに決まっていますから、2023年中に、お客様に対して最終の仕様はこうなります、というのをアナウンスします。来年の後半以降は、お客様が実際にスペック計画をするような、プロセスに入っていきます」
―日本でも問い合わせがありますか?
「まだ、実際に知っている方って少ないんじゃないでしょうかね。このモデルになって見るのが2回目です。19年の7月くらいに最初のコンセプトが公開になったと思います。去年の7月のブリティッシュグランプリの時に、クルマと、新しい生産台数を公表したんですよね。その後に、去年の今頃日本に来て、そして、今日です。まだ、ピンポイントでしか見る機会がないので、お客様は、この車って実際に売ってるのかどうかっていうことも、よくわかっていないかもしれません。コンセプトだけで終了してしまうと思ってらっしゃる方もいらっしゃるかも」
ー今回のもので、デザインはほぼ完成でしょうか?
「デザイン的にはまだ完成されてはいないんですよ。こちらは、今年の8月にテブルビーチでワールドプレミアムで、初めてインテリアを出したものなんですけど、インテリア自体はその時点で、85%ぐらいの完成度かなっていうふうに、担当者は言ってました。デザイン自体は、クリーンに作りたいっていうのが、デザイナーたちの考え方なんです。ただ、実際のホモロゲーションのほうの問題だったり、どういった技術をどういうふうにデザインに昇華していくのかっていうところだったりが、今いろいろと本社の人たちは頭を悩ませているところじゃないかなと思います」
―チーフデザイナーというのはどなたになるんですか?
「チーフクリエイティブオフィサーは、マレック ライヒマンがいるんですけど、こちらは、マイルズ ナンバーガーが担当してます。彼はDBXもデザインしています」
―日本って何台くらい入るんですか?価格がわかれば教えてください。
「日本の台数は、オーダー次第ですね。ちなみに、もう受注は始まっています。お値段はまだ、想定価格、製造上の設定価格があって、60万ポンド(1億円)です。ただし、去年10月ぐらいの時点での話なのです。そこから社会情勢の変化がありましたから、その60万ポンドっていうのが実際最終価格になるのかどうかっていうのは、なんとも言えないですね」
―こちら、日本ではナンバーどこにつけましょうか?
「そうなんです、ナンバーどこにつけましょう問題は確かにあります。下の黒い部分がフロントのレーダーなんですよ。このままだとレーダー被っちゃうんですよ。それで、これから検討していきます。でも、アメリカとか中国も日本と同様に悩んでいると思います」