【試乗】BYD Atto 3 Evo:加速はスーパーカー級!最新EVクロスオーバーの進化と欠点とは?

世界を席巻するBYDの主力EV「アット3」が、大幅進化を遂げて「エボ(Evo)」として登場した。800Vプラットフォームの採用により220kWの急速充電に対応し、0-100km/h加速は驚異の3.9秒をマーク。独自の「ブレードバッテリー」も容量アップし、実用性とパフォーマンスを両立させた。果たして、激戦のEVクロスオーバー市場で覇権を握れるのか。英国トップギアがその真価を暴く。

価格:£38,925 - £42,665(7,785,000- 8,535,000円)
リース料金:£366(73,200円)/月より

「クルマ好きの記憶には一切残らないが、室内は広く、驚きの装備が満載だ。しかも、最新版は以前より『マシ』になっている」

いいね!
運転が簡単、広い室内、充実した装備

イマイチ
印象に残らない走行性能、苛立たしい車内テクノロジー、安くない価格

概要

これは何?
世界最大のEV販売メーカーが送り出した、小型から中型の電動クロスオーバーだ。2023年にBYDがイギリスで初めて投入したモデルであり、今回、パワー増強、バッテリーの大容量化、航続距離の延長、そして充電速度の向上という包括的なアップデートを受けた。「エボ(Evo)」の名に恥じない進化の中身については、後ほど詳しく説明しよう。

サイズ感としては、ヒョンデ コナ エレクトリックに近い。フォルクスワーゲン ID.4、シュコダ エニヤック、あるいはトヨタ bZ4Xよりは少し小さく、プジョー e-2008よりは大きい。MG4、フォルクスワーゲン ID.3、ルノー メガーヌ E-Tech エレクトリックよりも明らかに背が高い。これらは数多く存在するライバルのほんの一部に過ぎず、このセグメントは非常に混雑した激戦区だ。

BYDとは何者?
BYDは世界最大級のバッテリーメーカーである。電気鉄道、バス(ロンドンでは数百台が走行中)、グリッド蓄電ユニット、乗用車、そしてそれらすべてに使用されるバッテリーや電子機器用バッテリーを製造している。従業員数は約100万人で、そのうち10万人という驚くべき人数がエンジニアだ。

読者の中には、BYDのデザイン責任者、ヴォルフガング エッガー(Wolfgang Egger)の名を聞いたことがある人もいるかもしれない。彼はアルファ ロメオのチーフデザイナー時代に「8Cコンペティツィオーネ」や「156」を手がけ、その後アウディに移籍して「Q2」を生み出した人物だ。

アット 3が最初に登場したとき、そのスペックは第一歩としては比較的控えめなものだった。前輪駆動(FWD)、400Vシステム、60kWhのバッテリーという構成だ。しかし新型は、後輪駆動(RWD)または全輪駆動(AWD)を選択可能になり、800Vプラットフォームを採用(より高出力に対応し、充電も速くなったことを意味する)。さらに74.8kWhの大型バッテリーを搭載している。これは、形ばかりのマイナーチェンジではない。

そしてその名前だ。「アット(Atto)」とは、キロ、メガ、ミリ、マイクロなどと同じSI接頭語の一つである。小数点以下に0が18個並ぶ単位(10のマイナス18乗)を意味する。BYDは、計測不可能なほど一瞬の時間である「アト秒」を連想させたいらしい。まあ、どうでもいいが。このアップデートモデルには、ダメ押しで末尾に「エボ」が付いた(三菱の伝説的な名車と混同しないように)。

見た目はどう?
エクステリアは端正にまとめられているが、これを見てうっとりする者はいないだろう。目を凝らさないと気づかないような微妙なアップデートが施されてはいるが、デザイン言語は見慣れたものだ。フロントとリアの全幅にわたるライト、塞がれたグリル、金属調のリアサイドパネルは「私はEVです」と主張している。背の高いプロポーション、ルーフレール、下回りのクラッディング(樹脂パーツ)は「私はクロスオーバーです」と語っている。

しかし車内に目を向けると、事態は一気に大胆になる。形状は流動的で、ディテールは遊び心があるというべきか、安っぽいというべきか。子供たちは喜ぶだろうし、それで彼らの車酔いや「まだ着かないの?」という文句が止まるなら、それだけで価値がある。室内もこのサイズの車としては十分に広い。詳細は「インテリア」の項目を参照してほしい。

走りはどう?
加速はスムーズで、サスペンションはソフトに設定されている。ID.4のような、のっそりとした重苦しさを感じさせないのは美点だ。付き合いやすいクルマであり、人々を怖がらせるような異質な挙動はない。ここまでは、いたって普通のファミリー向けEVクロスオーバーだ。

ただし、完璧ではない。ドライバーへのフィードバック(運転の楽しさ)は皆無に等しく、高速域では乗り心地が落ち着かなくなる。ブレーキは踏み応えがフニャフニャしており、運転支援システムは煩わしい(もっとも、これはこの車に限った話ではないが)。詳細は「ドライビング」のタブで解説する。

航続距離は、少なくとも旧型の418km(260マイル)から向上している。カタログ値では、WLTPサイクルでRWDモデルが510km、AWDモデルが470kmとなっている。ヒートポンプが標準装備されているため、年間を通じて安定した性能を発揮するはずだ。

前述の通り、充電も速くなった。以前は最大88kWの急速充電にしか対応していなかったが、新型はDC急速充電器で220kWまで受け入れ可能だ。これにより、10%から80%までの充電を25分で完了できる。

友人に自慢できるネタはある?
アット 3を含むBYDの最新モデルは、「セル・トゥ・パック」バッテリーを採用している。標準的なEVバッテリーは、セルをモジュールにまとめ、そのモジュールをパックに収める。セル・トゥ・パックは、中間モジュールを介さず、セルを直接ケースに配置する。BYDはこれを「ブレードバッテリー」と呼んでいる。これにより、パック全体の50%以上を、実際に走行に寄与する「セル」という有効成分で占めることができるのだ。

これによって、アット 3はエネルギー密度の低い化学組成を採用しても、十分な性能を確保できている。セルの電極にはリン酸鉄リチウム(LFP)を使用している。多くのライバルは、よりエネルギー密度の高いリチウム・マンガン・コバルト(NMC)電極を必要とするが、LFPは安価で耐久性が高く、高温での急速充電にも強い。そして何より、紛争地域で採掘されることが多いコバルトを使用していない。

もう一つ、重要な「初」がある。アット 3のモーター、パワーエレクトロニクス、充電器、AC/DCインバーター、DC/DCコンバーター、そしてバッテリー管理システムがすべて一つのユニットにパッケージ化されている(8-in-1 パワートレイン)。これにより軽量化と省スペース化を実現し、効率を向上させている。

価格は?
価格は38,990ポンド(7,800,000円)からだ。これはベースグレードの「デザイン(RWD)」の価格。全輪駆動の「エクセレンス」モデルは42,730ポンド(8,545,000円)となる。
オプション設定はなく、選べるのは塗装とインテリアのカラー(ブラックまたはベージュ)だけだ。詳細は「買い方」のタブを確認してほしい。

結論は?

「またしても、琴線に触れることのない、似たり寄ったりの小・中型クロスオーバーが登場した……だが、君はそんなことを気にするだろうか?」

BYD アット 3は、感情を揺さぶることのない、どこにでもあるような小型から中型のクロスオーバーの一つだ。外観はまったくもってインスピレーションに欠ける。車内は大きなスクリーンやパノラマルーフ、面白いデザインで第一印象こそ良いが、機械が苦手な人は苦労するだろう。

それでも、この最新バージョンは少なくともいくつかの欠点を克服している。バッテリー容量と航続距離は大幅に改善され、標準装備のヒートポンプのおかげで冬場に航続距離が急落することもない。充電速度が向上したのも大きなプラスだ。

ハンドリングに関しては、依然として競合他社に及ばない。街中では概ね快適だが、郊外の道ではそれほどうまく対処できない。それを気にするか? いや、君はおそらく何ページにもわたる装備リストの方に興味があるはずだ。優先順位はどこにあるか、ということだ。

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