【試乗】本当に“水に浮く”SUV、ヤンワン U8の実力は? BYDが放つ1180馬力の超高級EVの「緊急浮航モード」を体験

中国BYD傘下の高級ブランド「ヤンワン」が、レンジローバーを標的に送り出す超高級EV SUV「U8」。その最大の売りは、洪水などの緊急時に水上を30分間航行できるという驚きの機能だ。3.4トンを超える巨体が水に浮き、進む様はまさに圧巻。陸上では0-100km/hを3.6秒で駆け抜けるこの怪物の実力に、トップギアが迫る。

そもそも、ヤンワン U8とは一体何者なのか?
これは中国のブランド、ヤンワンが手掛ける大型SUVであり、BYDという巨大な傘の下に存在する数多くの企業の一つだ。その全てが高級志向なのだが、レンジローバーやベントレー、そして靴の汚れていない人々が乗るようなクルマを作るメーカーに真っ向から勝負を挑んでいる印象を受ける。ただし、より大きく、よりゴツいデバイスで、だ。そして、とっておきのパーティー芸も備わっている。なんと、水の中を運転できるのだ。というか、今回のケースでは、ヤンワンの担当者がTG(トップギア)を乗せて水の中を運転してくれた。なぜなら、我々のような連中に3.4トンもの水上走行可能なSUVを任せるべきではないからだ。国でも侵略しようとしかねない。

本気で新しいアンフィカー(※1)が登場したとでも言うのか?
そういうわけではない。しかし、そうでもある。実に紛らわしい。この機能は、洪水に見舞われやすい中国の地域(少なくとも第一段階としては)向けの緊急対策として作られたのだ。閉じ込められたまま、自慢の愛車がプカプカと流されていくのを待つ代わりに、ヤンワンは水の中を走り抜け、あなたを安全な場所まで運んでくれるクルマを作ったのである。

して、その仕組みは?
うっかり川に突っ込んでしまった場合、クルマの様々なセンサーが、あなたが「深い青の中」にいることを検知し、いくつかのことが起こる。水深が1メートルに達すると、窓が閉まり(もし開いていれば)、サンルーフが開く。あとは、普段通りに運転するだけで、ボートのように水の中を進んでいく。各車輪は独立して作動し、指示したどんな方向へもあなたを押し進めてくれるのだ。

何か制限はあるのか?
ヤンワンによれば、この機能は30分間しか使えず、また、ある程度の時間水に浮かべた後は、クルマを点検に出すべきだそうだ。クルマと水は、あまり良い相棒とは言えないのが常である。とはいえ、このクルマはIP68等級(※2)の防水性能を持つため、ちょっと水に浸かったくらいで錆びて朽ち果てることはないだろう。ボディは水を取り込むが、我々が乗っていたキャビンには一滴も水漏れはなかった。その後ドアを開けた光景はなかなかの見もので、ドアから水が流れ落ちる様は実にドラマチックだった。

奇妙な感じはする?
ボートに乗っている感覚ってわかる? そして、クルマに乗っている感覚も? そして、その両者がいかに全く異なるかも? これは、その二つをマッシュアップしたものだ。ある瞬間には道路を陽気に走り、次の瞬間にはザ・ロンリー・アイランド(※3)の曲をハミングしている。水中に深く進むにつれて、ノーズがかなり劇的に沈み込む。結局のところ、本当に重い部品は全てそこにあるのだ。そして、前輪の上の水面には、かなりドラマチックな渦が巻く。窓が閉まると車内は安全に感じられるが、喫水線が快適とは言えない高さまで上がってくる。

速いの?
特に速くはないが、これは水中にいる巨大なSUVであり、全速力のサンシーカー(※4)ではない。この物体はレンガだ。もっとも、乾いた陸の上では0-62mph(約100km/h)加速を3.6秒でこなすレンガだが。U8のパイロットは特に苦労している様子はなかったが、乾いた場所に戻るためには、大きく弧を描くようにターンしていた。もし、はぐれ氷山がどこからともなく現れた場合、どれくらい速く止まれるのかは、まだ分からない。

とんでもないパーティー芸だな
まさにその通りだ(そして、こいつが「タンクターン」(※5)もできることを忘れてはならない)。ヤンワンの担当者が、これは洪水を想定して設計されたと親切に教えてくれたが、本当は「俺たちはこれがクールだから作ったんだ」と言いたげな印象を受けた。そして、実際にクールだ。後部座席の乗員は立ち上がって、戦車長のようにサンルーフから身を乗り出すことができる(あるいは、本来の用途通り、災害時にそこから脱出することもできる)。クルマの他の部分は豪華で、快適で、全てにおいて楽しかった。これがレンジローバーを脅かす存在になるか? おそらく、ならないだろう。少なくとも、今のところは。

【補足事項】
※1 アンフィカー (Amphicar): 1960年代に西ドイツで生産された、史上最も有名な量産型水陸両用乗用車。
※2 IP68: 電子機器などの防水・防塵性能を示す国際規格。IP68は最高レベルの等級で、「粉塵の侵入が完全に防護され、かつ継続的に水中に置いても有害な影響がない」ことを意味する。
※3 ザ・ロンリー・アイランド (The Lonely Island): アメリカのコメディグループ。彼らの楽曲に「I'm On A Boat (俺はボートの上)」という有名な曲があることからのジョーク。
※4 サンシーカー (Sunseeker): イギリスを代表する高級モーターヨット・プレジャーボートのメーカー。
※5 タンクターン (Tank Turn): 左右の車輪を逆方向に回転させることで、戦車(タンク)のようにその場で360度旋回する機能。
価格: 未定
エンジン: 2.0リッター レンジエクステンダー、クアッド電気モーター
パワー: 1,180馬力 / 1,280Nm
トランスミッション: リダクションギア
性能: 0-100km/h 3.6秒、最高速度200km/h
重量:3,460kg

400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069

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=海外の反応=
「まんまGTAのZhaba(※)じゃんw」
※人気ゲーム「グランド・セフト・オート」に登場する水陸両用装甲車のこと。

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