【試乗】フェラーリ プロサングエ:純粋なデイリーフェラーリ

フェラーリのスポーティな骨格の上に、実用性が一皮むけた。ブランド初の4人乗り、4ドア、背の高い車。ただ、SUVとは呼ばないでほしい。

いいね!速く、騒々しく、純粋に印象的なオンロードダイナミクス、フェラーリらしいフィーリング
イマイチ4人乗りのみ、燃費が悪くてガッカリする、地上高とオフロード能力に限界があり、安くはない

概要

どんなクルマ?
Purosangue(プロサングエ)とは、直訳すると「純血」だが、イタリア語から英語への訳を少し工夫すると、「サラブレッド」という意味になる。有名な跳ね馬をアイデンティティとするフェラーリにふさわしく、またスーパーカーのメーカーとしては一風変わったモデルになった。というのも、フェラーリがより実用的で高い走行性能を持つクルマに初挑戦した結果、ボンネットの下に6.5リッターV12を詰め込んだ4ドア、4シート、4輪駆動のSUVが誕生したからだ。

ただし、フェラーリはこのプロサングエをSUVと見なすべきではないと考えている。フェラーリは、このクルマが新しいジャンルを定義するものであり、それ自体がひとつのものだと主張しているからだ。物事があるものに見えて、その振る舞いや特性もそのものに似ている場合、それはそのものであるのだから…。

だから、こちらがそう言いたくならなくとも、フェラーリの主張にも一理あるかもしれない。

なんで?
ランボルギーニ ウルスやアストンマーティン DBX 707のようなハイパーSUVの急増に伴い、「スポーツ」が実際に何を意味するのかについて話し合う必要が出てきたからだ。なぜなら、ほとんどの場合、これらの車は単に電子機器とパワーで物理法則を無視するものであるし、楽しいハンマー的要素があるのであって、決してメスのような切れ味を持ったクルマではない。

プロサングエはトレンドに逆らっている。そして、SUVの頭文字を忠実に踏襲することで、最も純粋で本物のSUVであると主張できるだろう。実にスポーティだ。4人乗りで、リアシート(リアヒンジドアからアクセスできる)はフロントと同様に豪華。最高出力725psの6.5リッターV12エンジンは、ランボルギーニ LM002が生産を終了し、Q7 V12 TDIが消滅して以来の、ユニークなシリンダーレイアウトを採用している。フェラーリの部品箱(これは略奪する価値のある部品箱である)からさまざまなパーツを徴用し、バルクヘッドの下にかなり詰め込まれているため、最後の2つのシリンダーは膝を温めるはずだ。

フロントミッドシップエンジンであることがよくわかる。パドル操作式の8速ギアボックスは後部にあり、パワーテイクオフユニット(GTC4 ルッソからほぼ流用)が1対のクラッチを操作して各フロントホイールを駆動する。4輪駆動は泥んこ遊びのためというより、むしろヘルパー的な意味合いが強い。このクルマは、ほとんどの状況で後輪駆動に徹している。

フェラーリらしい響きだ。他にどこが新しいの?
インテリアは斬新で、システムと連動する新しい方法が採用されている(詳細はインテリアの項を参照)。また、非常に巧妙なサスペンションシステムにより、プロサングエはフェラーリのようなハンドリングと、SUV購入者が実際に望むようなGTの快適性を両立している。詳しくはドライビングのページをご覧いただきたい。

その前に、ハイブリッドアシストは一切ないので、かなりの燃料消費を軽減するものは何もないことを知っておく必要がある。その数値は、私たちが長い間見てきた中で最悪のものと言って良い:CO2排出量は393g/km、複合燃費は5.8km/Lである。

だが、フェラーリオーナーになりたい人が知りたいのは、むしろこの数字だろう:0-100km/hは3.3秒、最高速度は310mk/hだ。そして最後のひとつは、313,360ポンド(5,975万円)。これはベース価格であり、フェラーリのオプションに対する姿勢を考えると、40万ポンド(7,630万円)を下回るプロサングはほとんど現れないことになる。

これは意図的なものだ。フェラーリは、他のどのライバルよりも上位に位置することを意図的に試みている(そして待ちの行列は2年と言われているので、成功している)。コスト面で対抗できるのは(そしてそれは本当に勝ちたい競争なのだろうか)、ロールス・ロイスのカリナンだけだ。

ライバルとの比較は?
コストを一旦置いておけば、プロサングエはウルス/DBXの対抗馬を圧倒している。まず、他のブランドから借用した既存のコンポーネントを使う必要がない。ウルスは明らかにベントレー、アウディ、ポルシェとプラットフォームやエンジンなどを共有し、アストンはメルセデスからパワートレイン技術を借りている。両者とも(そして実際、すべてのライバルも)、実用性とスペースを最優先する伝統的なSUVレイアウトにこだわってきた。だが、プロサングエは違う。フェラーリらしさを第一に考え、本質を失うことなくスペースを確保する。

しかし、実際はDBX 707やウルス ペルフォルマンテよりも速くはない。そのようなクルマに大金を払うのは難儀でもある。とはいえ、そのどちらよりも走りはいい。そのV12の純粋さ、不思議な乗り心地、正確さと落ち着き、それはハイパーSUVクラスがかつて見たことのないものだ。

単にリフトアップされているだけなのか、それとも本当に役に立っているのか?
実際、便利ではある…。それなりに。プロサングエと暮らす現実的な側面について言えば、ハッチバックと473リットルのトランクがあり、決して広くはないが、シートを電動で降ろすことでスペースを拡張できる。完全にフラットなラゲッジスペースではないし、広くはないが、箱をいくつか積むには十分だろう。また、明らかに高価なカーボンファイバー製の一連のアクセサリーも用意され、自転車やスキーの積載が可能になる。フェラーリらしさを保ちつつ、可能な限りの実用性も兼ね備えている。文脈からすると、大型GTとSUVの中間といった感じだ。

評価は?
「プロサングエは、フェラーリのオーナーがこれまでアクセスできなかったもの、つまり純粋なデイリーフェラーリを提供する」

フェラーリはプロサングエに若干の不安を抱いているようだが、それはおそらく、元々この特別な場では勝負しないと言っていたからだろう。フェラーリという高価が許せる雰囲気であるにしても、ちょっと高額すぎる感じもする。313,000ポンド(5,975万円)は、いくら富豪とはいえ、シリーズ生産車の範囲ではない。

しかし、同社が不安な思いをする必要はない。テクノロジーは進歩し、市場は成熟し、プロサングエはフェラーリオーナーがこれまでアクセスできなかったもの、つまり使い勝手の良い4つのシートを備えた純粋なデイリーフェラーリを提供しているからだ。

プロサングエは、フェラーリの核となる提案に、日常的な使い勝手を加えたものであり、単なるラッピングを変えただけのSUVではない。印象的であり、最も説得力のある「SUV」であることは間違いない。皮肉なことに、この名前が本当にふさわしいのはこのクルマだけだろう。

トップギア カーオブザイヤー/トヨタ ランドクルーザー/フェラーリ プロサングエ:トップギア・ジャパン 059



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