パガーニが3.6億円の99台限定、ウトピアを日本でお披露目 SUVとEVの可能性は?

世界限定99台、パガーニ ウトピア(Utopia)が日本初公開された。パガーニの次に出るモデルとは?将来、SUVやEVが出る可能性はあるのか?

世界限定99台、パガーニ ウトピア(Utopia)が日本初公開された。パガーニブランドは世界中で行っている創業25周年を祝う旅の1つの目的地として、12月17日(日)に日本でのローンチイベントを、日本で唯一オフィシャルパートナーを結ぶSKY GROUP と行った。会場には、実業家の前澤友作氏所有のZonda Zozoも置かれ、華やかさを添えていた。

この最新ハイパーカーは、現代の自動車トレンドとは逆のアイデアを具体化したもので、理想的なボディ形状を実現するために、非常に複雑なプロセスに6年以上の歳月がかかっている。空気力学と電子制御ショックアブソーバーの組み合わせにより、あらゆる運転条件で最適な動的挙動を保証している。パガーニのV12 エンジンは、メルセデスAMGがパガーニへ特別に製造した 6リッター、ツインターボ。864馬力の出力を発揮し、1100Nmのトルクを発生する。わずか99台のみ生産されたウトピアは、全数がすでに顧客へ割り当てられている。ちなみに、日本での受注は6台と、予想より多かった。その価格は税抜きで2,322,000ユーロ(3.6億円)と、昨今のハイパーカーとして、富裕層の目にはリーズナブルに映ったせいもあるかもしれない。

パガーニからアジア太平洋地域担当マネージングディレクターのアルベルト ジョバネッリ(Alberto Givonelli)氏が来日し、プレゼンテーションを行った。

2023年はパガーニの25周年を祝う特別な年である。25年前、オラチオ パガーニ(Horacio Pagani)がゾンダ(Zonda)という初のモデルを市場に投入した。その後、2011年にはウアイラ(Huayra)を発売し、ハイパーカーブランドとしての名を馳せている。

ウトピアの開発は非常に長いプロジェクトとなり、6年から8年間が費やされた。4,000枚以上のスケッチ、風洞実験のためのモデル、1対1スケールのモデル2台、そしてデザインセンターでの多くの小さなモデルが含まれ、8台のプロトタイプを作り上げた。

Utopiaコンセプトは、モダンでありながらアナログな面も取り入れたハイパーカーを、デザインセンターで体現している。メルセデスAMGがパガーニのために特別に製作した6 リッター、ツインターボエンジンは、864bhp の出力と 1100Nm という驚異的なトルクを発揮する。カリフォルニア州を含む最も厳しい排ガス規制をクリアしながら、より高回転で、より柔軟で、よりパワフルな走りを実現している。また、効率的ではあるけれど重いデュアルクラッチトランスミッションは採用せず、コンパクトで軽い Xtrac 製のヘリカルギアを用いたギアボックスを選択した。横置きにすることで重心が最適化されている。また、注目すべきは、パガーニの愛好家が求める本物の7速マニュアルトランスミッションだ。オートマチックトランスミッションがどんなにインテリジェントになったとしても、ギアチェンジというものはドライバー自らが行うものであるべきだからという考えに基づいている。

「私たちは自社の3つ目のモデルを発表できることを非常に誇りに思っています。他の優れた企業も同様に25周年を迎え、素晴らしいプロジェクトを成し遂げています。25年間、私たちは若い自動車会社です。例えばマセラティ、メルセデス・ベンツ、フェラーリ、ポルシェは、歴史があり、偉大です。私たちは25年で若い会社ですが、高品質で、非常にカスタム的なプロジェクトを維持できる会社という強みもあります。

なお、次のパガーニモデルは、2024年から2025年初頭にかけてウトピアのオープントップのスパイダーがリリースされる可能性があります」

プレゼンテーション終了後は、アルベルト ジョバネッリ氏へのインタビューを行った。

ウトピアのパフォーマンス特性について教えてください。

「まだウトピアはプロトタイプであり、詳細なテストを行っていません。しかし、車のコンセプトについてでしたら、お伝えできます。一般的に、パガーニの車は、パフォーマンスとともに快適性、感情が重視されています。非常に軽量ですから、良いドライバーフィーリングをもたらします。この車も1300 kg未満の1280kgです。コーナーでの速度、非常に速いブレーキングが味わえます。他社のハイパーカーの中には、非常に重いものがあります。特に今は、電気自動車となって来ています。しかし、パガーニでは、良い運転体験を提供するための哲学は、軽量であることです。快適性とエモーショナルであることも追求されています。日本には多くのワインディングロード、峠がありますから、パガーニは適していると思います」

日本市場についてどう考えておられますか?

「パガーニは、日本の文化が好きです。そして、日本の顧客は非常に洗練された顧客だと信じています。なぜなら、日本の自動車コレクターはデザイン、品質、美しいオブジェクトに対する非常に洗練されたセンスを持っているからです。ですから、日本の顧客を満足させるのは簡単ではありません。これは私たちにとっての挑戦ですね。

また、日本ではお客さまの質が非常に良いですし、良いクルマもあります。長い間、日本の自動車コレクターは車両を集めるのがとても上手でした。私たちの車には、日本のコレクターが好む多くの特性があります。車は非常に特別なデザインをしていますし、非常に高品質です。なぜなら、私たちが使用する素材は、チタン、アルミニウム、カーボンファイバーなど高品質なものを使用しています。ですから、これらは厳しい目を持った日本のお客さまが評価できる特性だと私たちは信じています。もしかしたら、そんなことを気にせず、そのクルマがどれだけ速いか、0-100km/hついてだけに興味があるという方もいるかもしれません。しかし、日本のお客さまは、美しいものに関して敏感です。パガーニには多くのディテールがあります。ですから、私たちは日本市場にとって、非常に心を捉えるクルマであると信じています。

日本はアジア太平洋地域で2位の市場です。1位は香港です。香港は、パガーニにとってヨーロッパ外の最初の市場でした。最初のパガーニが2003年頃に香港に到着し、非常に早かったですね。ですから、香港には今、ほぼ20年間いるわけです。香港は常に、ヨーロッパにモンテカルロがあるように、アジア太平洋地域のモンテカルロで、そこには高級車や高級ヨット、いつも素晴らしい天候が備わっている場所です。過去10年間は変化しましたが、その都市は非常に強靭です。多くの富がありますので、私たちはこれからもうまくやっていけると信じています。

それでも、大きなチャンスが日本にはあります。私たちは25年間、良い歴史を持つ、非常に強力なブランドを築き上げました。パガーニは、イタリアのブランドであり、日本はイタリアが好きです。イタリアのレストランもたくさんありますよね。日本にはレース文化があります。美しいサーキットも、道路もありますし、コレクターもいます。間違いなく、パガーニにとって非常に良い市場になると私たちは信じています。大きな市場になることを期待しています」

先ほど、ウトピアのスパイダーが登場するというお話がありましたが、SUVや電動化に関しては、どのようなご見解をお持ちでしょうか?

「現在、パガーニにはEVプロジェクトに取り組む小さな部署があります。約3年前にスタートしました。最低でも5、6年後になるでしょう。2030年までには実現化したいと思っています。

パガーニはハイブリッド技術を使用することを望んでいません。彼は燃焼エンジン車かEV車のどちらかを望んでいますが、両方のミックスではありません。現在は、国際規制が変わりつつあるため、自動車メーカーとして責任を持たなければなりません。10年後にはEV車のみになるか、燃焼エンジンを製造することが非常に難しくなっているかもしれません。現在はV12 AMGとEV車を並行して開発しています。それから、現時点では、SUVを出す可能性はありません。設計部でSUVを見たことはありません。

EVはいくつかの理由で異なるチャレンジです。第一に、EVを製造することと燃焼エンジンを製造することは非常に異なります。EVは通常の車よりも部品が少なく、エンジニアリング的にはかなりの作業です。バッテリーの最適な配置を見つける必要があります。モーターはホイールに、または異なる部分に置くことができます。このことは、パガーニにとって非常に新しいものです。しかし、軽量化技術があるので、EV車にも軽量化は非常に重要です。バッテリーは非常にかさばり、非常に重いです。ですから、カーボンファイバーと組み合わせると良いでしょう。現在のEV車では、エモーショナルな感情があまり湧きません。クルマに乗って、スイッチを入れます。音はありません。パフォーマンスとしては、信じられないほど速いです。チームで考えているのは、興奮できるような電気自動車をどう作るかということです。今は、スタート時に、音や振動がありません。これは私たちが研究しようとしていることです。いずれにせよ、パガーニでは、EVであっても、軽量車を維持したいという考えもあります。なぜなら、バッテリーが非常に重いからです。まだ挑戦的な状況です。そうですね。そして、どうやって興奮を作り出すかです。ノイズはキャラクターの一つですから。また、現時点では、EVをリリースするようにパガーニのオーナーからのリクエストはありません。今は、高価なハイパーカー価格のEVは難しいです。まだ市場がありません。例えば、ウトピアの価格は税抜きで3.6億円ですが、EVにこれくらい使ってくれるコレクターは何人いるのでしょうか?わからない、というのが正直なところです。EVは、これから徐々に成長する必要がある市場です。普通のEV車、例えばテスラなどがあり、その他は、非常に高価なEVです。その中間がありません。これが既存の市場なのか、今成長し始めたばかりの市場なのか、まだ準備ができていないのか、判断は、難しいところです。この市場はまだ成熟していません。高価な車も安いEV車もありますが、どれも同じものではありません。ですので、まだどれだけ自由があるのか、わかりません。20年前のハイパーカーと同じように、市場をゆっくりと育てる必要があります。なぜなら、20年前のハイパーカーも50万ユーロ(7,800万円)ほどでした。それが、20年後では250万(3.9億円)や300万ユーロ(4.7億円)になっています。しかし、これは20年間の進化です。最初からそんなに高い価格ではなかったんです。ですので、EVもそれくらいから始まるのではないでしょうか。でも、20年経ったときに、EVもハイパーカーの値上げには追いつけないと思います」

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