パガーニ ウトピア ロードスターはクーペ開発時から念頭に置かれ、同等パフォーマンスを維持

世界限定130台のパガーニ ウトピア ロードスターが日本でもお披露目され、アジアパシフィック初となった。価格、AMGエンジン、マニュアルトランスミッションについてレポートしよう。

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パガーニ ウトピア ロードスターが日本でもお披露目され、パガーニからアジア太平洋地域担当マネージングディレクターのアルベルト ジョバネッリ(Alberto Givonelli)氏が来日し、プレゼンテーションを行った。昨年8月にアメリカのペブルビーチで世界初公開され、アジアパシフィック地域では、日本が最初の公開となる。パガーニ ウトピア ロードスターは、全世界で130台の限定生産となり、基本価格は310万ユーロ(5億円/税別)だ。発表モデルは、ハバネロレッドのエクステリアカラーに、Sport Pack(カーボチタニウム製シート、チタン製エキゾースト、Aerobladeカーボンディフレクター付きホイールなど)、マニュアルトランスミッションを装備している。

創業者であるオラチオ パガーニから、日本へビデオメッセージが届けられた。7年以上の開発期間をかけてようやく誕生したウトピア ロードスターは、先に発表されたクーペを設計したときから、念頭に置かれていたものだったという。この車は、安全性と排出ガスの点で日本の基準に適合するだけでなく、すべてのアメリカの基準にも適合している。そのため、60回以上の衝突試験を実施し、最も複雑なカリフォルニアの基準にも適合している。「この12気筒非ハイブリッドエンジン、軽量1280kgの車体、マニュアルまたはオートマチックの変速機により、今日、このように運転しやすく、親しみやすい車を提供できることは、私たちパガーニチームが、お客様、そして世間の皆様のご要望にお応えするために設定した目標を達成できたことなのです」そして、日本の顧客に向けて「i dettagli che voi giapponesi ci avete insignato a curare Bene.」(日本の皆様が私たちに丁寧に手入れすることを教えてくださったディテール)と述べている点は、日本の顧客の価値観を理解し、感謝の気持ちを伝える非常に心に響く発言だった。

アルベルトは、日本の関係者への感謝、情熱を込めたハイパーカー作りへの姿勢、今後の協力への期待を表明した。自身が20年以上にわたりパガーニに在籍し、ゾンダ、ウアイラ、そしてウトピアの開発に関わってきた。そして彼らの作る車が単なるスーパーカーではなく、さらに特別な存在のハイパーカーであることを強調した。また、「art(芸術)」「passion(情熱)」「design(デザイン)」という言葉を組み合わせることで、パガーニの車作りへの哲学を簡潔に表現している。

パガーニ ウトピア ロードスターは、クーペモデルの性能と敏捷性を維持しつつ、オープンエアのドライビング体験を提供する最新のハイパーカーだ。デザインはクーペと共通のビジョンを持つチームによって手がけられ、シームレスに融合するハードトップを備えている。また、軽量なソフトトップもオプションで用意されており、バニティケースの代わりに収納可能だ。

ボディには、パガーニが長年研究してきた最先端の複合素材(Carbo-Titanium HP62-G2、Carbo-Triax HP62など40種類以上)が多用されている。これにより、ルーフがないにもかかわらず、クーペモデルと同等の乾燥重量1,280 kgを実現している。

エンジンは、メルセデスAMGと共同開発したパガーニV12 60° 5980 ccツインターボエンジンを搭載し、最高出力864 HP@ 6,000 rpm、最大トルク1,100 Nm @ 2,800 - 5,900 rpmを発揮する。パガーニがAMGからエンジン供給を受けるようになったきっかけは、ファン マヌエル ファンジオとの繋がりがあったからだ。彼は、メルセデス・ベンツのワールドチャンピオンであり、オラチオ パガーニの現実的なビジョンを支持していた。パガーニ自身も、20歳の時にアルゼンチンでレーシングカーのボディを設計し、ルノーのF3選手権でそのマシンが優勝するなど、エンジニアとしても優れた才能を持っていた。ファンジオは、パガーニがそのような技術力を持っていることを評価していた。そして、ファンジオは、パガーニが、自身がF1でグランプリチャンピオンを獲得したメルセデス系のエンジンを使いこなせるかどうかを見極めるために、AMGとの繋がりを作ったのではないかと考えられている。ファンジオは、パガーニの持っていた潜在能力を認めていたのだろう。現在、この6.0リッターV12エンジンを搭載するメルセデス系の車はもう存在しないとのこと。さらに、このエンジンAMGのたった一人の熟練したエンジン職人のみが、パガーニのためだけに手作業で組み立てているという非常に特別な状況となっている。パガーニは創業当初からV12エンジンへの忠誠心を持ち続けており、ファンジオとの繋がりを通じて、AMGとの協力関係が始まったのだ。この協力体制は、単なる部品供給という関係を超え、AMGのエンジニアがパガーニのハイパーカーのためだけに特別なエンジンを製造するという、非常に緊密なものとなっている。

そして、トランスミッションは、Xtracと共同開発した7速AMT(Automated Manual Transmission)または純粋なマニュアルが選択可能だ。駆動方式は後輪駆動。ウトピア ロードスターでは、7速のピュアマニュアルトランスミッションを選択することができる。これは、オプションとして提供されており、デュアルクラッチではなく、軽量化のためにシングルクラッチが採用されている。もう一つのトランスミッションの選択肢は、パガーニ by Xtrac製の7速横置きAMT(Automated Manual Transmission)だ。ウトピア クーペの場合、世界的に見て約75%の顧客がマニュアルトランスミッションを選択しているため、ロードスターでも同様にマニュアルトランスミッションが主流になると予想されている。パガーニは時代を超越したデザインの追求に常に専念しており、手動操作のエレガンスを機械芸術の最も純粋な表現として称賛している。また、アナログ技術の永続的な魅力を重視し、ノブ、ダイヤルの針、ボタン、レバーなどの美しさと機能性を高めている。ウトピアの7速マニュアルギアボックスは、超現代的なデザインでありながら、伝統的なメカニズムを保持しており、チタン製グリッドを備えた古典的なギアレバーによって操作される。このギアレバーは、洗練された職人技の産物であり、見た目にも魅力的で、触り心地も優れている。露出したメカニズムのすべての部品は細心の注意を払って仕上げられており、磨かれたノブは理想的なグリップを提供する。実際にマニュアルギアを操作すると、カチカチッと動く感触や、シフトの動き自体を楽しむことができる。オラチオ パガーニ自身も、シンプルでライトウェイトで運転して楽しい車作りを重視しており、マニュアルトランスミッションはその哲学を体現する要素の一つと言えるだろう。

シャシーは、パガーニ Carbo-Titanium HP62 G2 および Carbo-Triax HP62製のモノコックに、前後CrMo合金鋼製チューブラーサブフレームを組み合わせた構造だ。サスペンションは、鍛造アルミニウム合金製独立ダブルウィッシュボーンを採用。ブレーキは、パガーニ by Brembo製のカーボンセラミックディスクブレーキを装備する。

空力性能にも注力しており、突起したエアロパーツに頼らず、低い空気抵抗係数と大きなダウンフォースを実現している。また、Pirelli Cyber™ Tyreと呼ばれる先進的なセンサーシステムをタイヤに搭載し、車両の安定制御システムと連携することで、安全性も向上している。

内装は、豊富なカラーと素材の組み合わせが可能で、顧客の個性を反映した一台を創り出すことができる。アナログメーターを採用し、伝統的な機械式時計のようなデザインが特徴だ。

ロードスターの限定台数130台のうち、日本への割り当ては、現在のところ4台だそうで、5億円という価格にもかかわらず、ほぼ完売というのは驚きだ。パガーニは、転売目的やオークション目的で購入する顧客よりも、実際に車に乗り、ツーリングなどを楽しむ顧客に車を届けたいと考えている。そのため、単に購入希望者を募るだけでなく、対話をすることなどで、その人物像を詳しく把握するプロセスを踏んでいるという。初めてパガーニの車を購入する人は、以前から同社の車を所有している顧客に比べると、購入が難しい傾向にあるようだ。ただし、熱意次第では初めての購入者にもチャンスはあるとのこと。世界各国への割り当て台数は、需要に応じて調整されるが、基本的には割り当て数よりも多くの顧客から要望が寄せられている状況である。海外の早い国では、今年の年末あたりからデリバリーが始まる可能性があるが、日本でのホモロゲーションの後、顧客は車の色やオプションを決定し、その後、生産が開始される。パガーニは受注生産であり、グローバルな生産スケジュールに基づいて車両が組み立てられるため、日本向けの車両がいつ製造されるかは現時点では明確ではない。

中国やロシアでは、政治的な問題も関係し、パガーニを購入することは難しいという。シンガポールと香港のパガーニディーラーは、中国や周辺アジア諸国のハブとして、現在、重要な役割を担っている。手に入れにくいものほど、欲しくなる…そんな憧れのクルマが、ウトピア ロードスターなのだろう。

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=海外の反応=
「もし、とんでもなくバカげた、小型で速いラリー仕様のハッチバックが復活するなら、大賛成だ!」

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