新型マセラティ グラントゥーリズモが日本で発表、EVのフォルゴーレはいつ導入?


年内に日本で発売が予定されている新型マセラティ グラントゥーリズモの実車がお披露目された。電気自動車のフォルゴーレはいつ日本に導入されるのだろうか。

年内に日本で発売が予定されている新型マセラティ グラントゥーリズモを、一足早く見る機会が得られた。新型グラントゥーリズモには、パワフルな内燃エンジンモデルと最新鋭のフル EV モデルの2つのバージョンが用意されている。今回、実車を見ることができたのは、グラントゥーリズモのクーペ、トロフェオというモデルで、価格は2,998万円となっている。

マセラティブランドを象徴する新型グラントゥーリズモ クーペでは、モデナとトロフェオの2つの内燃エンジンモデルが用意されている。モデナは490 hpの3.0リットルV6ネットゥーノ ツインターボを採用している。一方、今回の実車、ハイパフォーマンスのトロフェオバージョンでは、最高出力を550 hpにアップグレードしたネットゥーノエンジンが搭載されている。

また、少し遅れての導入にはなるが、新型グラントゥーリズモ フォルゴーレは、マセラティ史上初めて100%電動パワートレインを採用したモデルだ。800Vの電気システムを備えたフォルゴーレは、フォーミュラEからの最先端テクノロジーを活用して開発された。強力な永久磁石モーター3基(合計300kW)により、卓越したパフォーマンスだけでなく、マセラティブランド特有のエレガンスと快適性も実現している。

クーペについては、もう生産準備が完了しており、9月頃から工場から日本向けの車両の出荷が開始され、おそらく年内に日本で発売される予定だ。具体的な日程は未定だが、年内には日本での発売を予定している。

2007年、ジュネーブモーターショーで初代マセラティ グラントゥーリズモが発表され、マセラティの歴史における重要な節目が迎えられた。自然吸気の8気筒エンジンを搭載した4シーターの2ドアクラシックなピニンファリーナデザインのクーペは、1947年のマセラティ A6 1500を現代的に再解釈したものだった。このグラントゥーリズモは、長い年月をかけてマセラティブランドを象徴する最も特別な車の一つとなった。そして2009年、フランクフルトモーターショーで新たにグランカブリオもラインナップに加わったのである。

グラントゥーリズモとグランカブリオは、2007年から2019年までの生産終了までの間、世界中で合計40,000台以上を販売し、大きな成功を収めている(グラントゥーリズモ:28,805台、グランカブリオ:11,715台)。

マセラティ ジャパンから、新型グラントゥーリズモのプレゼンテーションが行われた。日本で導入するにあたって3つのポイントを強調している。
1つは、まずエクステリアデザイン。2つ目にパフォーマンス。そして3つ目にラグジュアリー&コンフォート。まずエクステリアデザインだ。とは言うけれど、ぶっちゃけ、あんまり変わってないと思った人も多いのではないだろうか?その通りで、今までのデザインコンセプトを踏襲しているのが、新型グラントゥーリズモだ。MC-20やSUVのグレカーレとも共通するデザインコンセプトを持っている。マセラティのデザイナー、クラウス ブッセによれば、マセラティのデザインコンセプトの中で、一番大きな要素を占めるのが、フロントのグリルとヘッドライトの位置だということ。1950年代のスーパーカーによく見られた、グリルが前にあって、ヘッドライトが後ろに付くというデザインコンセプトが、今も繋がっている。グリルの開口部に対して、ヘッドライトが始まる位置がかなり後ろに来ているのだ。ドイツ系のデザインだと、グリルがもう少し大きくて、グリルの端とヘッドライトがほぼ繋がったり、同じ線上に来たりしているが、マセラティではその部分を局面で処理をしている。

それから、前から見るとフェンダーのところにアーチがあり、ボンネットのところにもう一個大きなアーチがある。このデザインコンセプトには黄金比があるそうだ。このアーチとグリル、ヘッドライトの関係がマセラティのデザインコンセプトで、A6 1500から受け継がれているコンセプトだ。だが、実は空力がCd値0.26という数値が出ている。デザインは変わっていないが、機能面がかなり重視されている。そのほか、フロントのボンネットの先端に、熱が逃げるダクトが付いている。ラジエーターのところを通った熱がダクトから逃げていき、いかに効率的に空力の処理がなされているといったところだ。ちなみに、ボディは65%がアルミで、下側のフレームのあたりなどがスチール素材を使っているが、重心から高いところはほとんどアルミで作られている。

次に、パフォーマンスについてだ。この車にはネットゥーノと呼ばれるエンジンが搭載されている。MC20と同じエンジンと言っていたが、最近ではGT2と同じエンジンを搭載していると説明している。GT2はレースカテゴリーであり、MC20のエンジンもそれに利用されているが、同じエンジンで同じ出力の630馬力。ただし、それぞれの目的に合わせてトランスミッションなどが異なるため、異なる使い方がされている

このトロフェオと呼ばれるモデルでは、ネットゥーノのエンジンを搭載しており、550馬力の出力をAWD(四輪駆動)で制御している。MC20 ネットゥーノとは異なり、グラントゥーリズモの 6 気筒エンジンはドライサンプではなく、ウェットサンプ方式だ。このエンジンにはプレチャンバーと呼ばれる副燃焼室が備えられている。副燃焼室を持つエンジンは、スーパーカークラスのMC20などで見られるものであり、一般的な量産車にはあまり見られない特徴だ。このネットゥーノのエンジンを、グレカーレのトロフェオやグラントゥーリズモのトロフェオモデルにも搭載しており、パフォーマンス面ではGT2のエンジンと同じハイスペックカーとしての性能を提供している。

最後に、ラグジュアリーとコンフォートについてだ。この車では主にインテリアの側面で強調されている。グラントゥーリズモ (「グランドツーリング」) というコンセプトは、第二次世界大戦後に生まれた概念だ。この概念が登場した「奇跡の経済」の時代はイタリアが世界に向けて、優れた製品や強み、楽観的かつ気楽な姿勢、働くだけでなく人生を楽しもうという考え方を発信していた時期にあたる。

この歴史的な時期に、マセラティは不可能に思えた難問を解決した。第二次世界大戦後といえば、車にはスポーティ性または快適性のどちらかだけを満たした車しかなかった時代だ。そこでマセラティは、新たなライフスタイルを代表する新たなラグジュアリーモビリティを体現するコンセプト「グラントゥーリズモ」を提案したのだ。それは 4 人乗りの 2 ドアクーペで、エレガントなインテリア、パフォーマンス、快適さを兼ね備えたかつてないタイプのモデルだった。

1947年にA6 1500という車が登場した。当時のコンセプトは、モータースポーツ用エンジンを高級車に搭載するというもので、今も高級なインテリアにモータースポーツエンジンを搭載するというコンセプトを受け継いでいる。イタリアンラグジュアリーを追求し、内装は標準装備として提供されている。追加のオプションではなく、標準装備として選べる品々であり、レザーの質感や細部の仕上げ、洗練されたデザインが特徴だ。

コンフォートの面だが、この車は4シーターとして設計されている。日本でも2ドアクーペの市場は存在しているが、後席は通常緊急時のためのシートや荷物置き場となることが多い。しかし、新型グラントゥーリズモでは後部座席もしっかりとした利用価値がある。成人男性の体格でも後部に座れる。長距離のドライブも考慮されており、4人が快適に乗車し、ドライブを楽しむことができる設計となっている。長距離移動の際にも快適さと利便性を追求したコンセプトが受け継がれている。

そして、フォルゴーレについて。これはマセラティのBEV(電気自動車)で、プラグインハイブリッド方式を採用している。本国では既に発表されており、おそらく年内にはヨーロッパ向けの生産が始まる予定だ。日本では来年にフォルゴーレを導入する計画になっている。マセラティは電気自動車においても、鈍重さを排除し、妥協のないパフォーマンスを追求している。

フォルゴーレの外見は大きな変化はなく、ガソリン車と同じ外観だ。日本で導入されている電気自動車は主にSUVや車高の高いセダンが多い傾向だが、これらは電気自動車専用のプラットフォームを使用している。電気自動車のバッテリーは重いため、その重量を車の重心に近づけて安定性を保つための工夫がなされている。

フォルゴーレの特徴は、ガソリンエンジンとドライブトレインの間にモーターとバッテリーを組み込むという点だ。燃料タンクの位置にバッテリーを配置し、プロペラシャフトや車の中心にもバッテリーが配置され、モーターは前後に2つずつ計4つ搭載されている。この配置により、電気自動車でもサスペンションを使用して安定した走行ができ、荷重移動もしっかりと行えるとのことだ。国際試乗会に参加したジャーナリストからは、この車の走りに対する肯定的なフィードバックが寄せられており、グランドツアラーのコンセプトが電気自動車にも継承されていることが評価されている。

電気自動車であっても、マセラティはその長距離での快適性や楽しさ、高速性能を重視し、その魅力を保っている。つまり、電気自動車でもマセラティのコンセプトが受け継がれており、長距離を楽しみながら速く走ることができる車となっている。新型グラントゥーリズモのクーペ、そして、来年のフォルゴーレの日本への導入が期待される。
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