ベントレー フライングスパー試乗:現在販売されている中で最も魅力的な4ドア高級サルーン

25,982,000-41,778,000円
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ハンサムで均整のとれたプロポーション、ダイナミックな広がり、インテリアデザイン

イマイチ
ハイブリッドバージョンはギャップを埋めるが、フル電動ではない

概要

どんなクルマ?
ベントレーが現在販売している唯一のリムジンだ。由緒あるミュルザンヌが2020年に引退したため、フライングBを備えた4ドアの選択肢はこのフライングスパー1種類に絞られた。一番安価なもので2,589.2万円と、ベントレーの中では買い求め安い設定になっている。

フルサイズリムジンの役割は、実際にはベンテイガのロングホイールベースバージョンに引き継がれている。この世界の富裕層は、細長いサルーンの壮麗さよりもSUVのがっしりとした威厳を好むかもしれないと、クルーの本社は考えたのだ。

最新のフライングスパーがあるというのに、これは非常に残念なことだ。間違いなく、このクルマはハンサムなのだから。フロントホイールが前方に引っ張られたような感覚、それに同調するように後方に傾斜したフロントガラス、ホイールの配置場所。実に優れたデザインだ。フライングスパーについてそんなことを言うのは初めてかもしれない。

いや、正確には、1957年にこのバッジが初めて4ドアに付けられて以来と言うべきかも。デザインディレクターのアーサー テイラー ジョンストンがデザインした紋章の一種が、このクルマの名前の由来となっている。このプレートは2005年に復活し、初代コンチネンタル GTのサルーンバージョンを飾った。あまり自然なルックスではなかったが、ベントレーは37,000台を販売した。しかし、フライングスパーは2013年にフェイスリフトされた後も、ドライバーのための車ではなく、運転してもらう、後部座席に座る人のための車だった。見た目も乗り心地もノーズヘビーだったから、後ろに座ったほうがよかったのである。

今では、ドライバーのためのクルマになったってこと?
その通りだ。だからベンテイガがお抱え運転手付きのクルマという手綱を渡されたのだろう。逆に、フライングスパーを主人が買えば、運転手を庭仕事に追いやることになるかもしれない。

エンジンは3種類から選ぶことができ、大きなものから小さなものまである。ラグジュアリーパワートレインの進化とでも言おうか。2003年に初代コンチネンタルGTがベントレーの見方に革命を起こして以来、ほとんどのベントレーに搭載されている6.0リッターW12が、長い間トップに君臨してきた。だが、この位置づけも長くはない。この素晴らしくスムーズなパワーユニットを635psにチューンしたフライングスパー スピードをこっそり予約するには、家主に愛想よくウィンクする必要があるかもしれない。

その下には、より小さく、(比較的)低燃費でスポーティなV8が搭載されている。VWグループの他の大型車でおなじみの4.0リッター、ツインターボユニットで、550psを発揮するのだが、シフトするための重量は少なく、特にそのノーズには、「ドライバーズベントレー」のメンタリティをより彷彿とさせるシャープなレスポンスが得られる。

3番目のオプションは、プラグインハイブリッドであることによって、少なくとも今のところは、進化のダイアグラムを完成させるものだ。これは3.0リッターV6と136psの電気モーターを結びつけたもので、V8のパワーと価格に匹敵する。これはコンフィギュレーター上ではまさに「いたずらっ子か、いい子か」のハロウィーンチックな難問だが、75g/kmのCO2排出量を謳うため、特に法人で、排出量ベースの課税で車を購入したりリースしたりする場合は、おそらく選択はすでに決まっているだろう。プラグを差し込めば(2時間の作業)、最長41kmの電気走行が可能であることは言うまでもない。

どんなテクノロジーが搭載されてるの?
どのモデルを選んでも、これまでのどのフライングスパーよりも全長と全幅が拡大し、重量も軽くなっている(ハイブリッドの重量増は考慮しない)。シャシーには4輪ステアリングと、アクティブアンチロールバーを制御するオプションの48ボルト電気システムが装備されている。4輪駆動システムはよりリア寄りになり、ギアボックスはツインクラッチ付きの8速になった。

以前よりもはるかにダイナミックなクルマになったのである。リアステア、バックアクスルでのトルクの増大、ドライバーは長くなったホイールベースのさらに後方に座らされ、W12をフル装備した場合の最高速度は333km/hに達する。

コンチネンタルGTと同じくらい速いリムジンとは…
その通り。フライングスパーはそれほど重くなく、ダイナミックな特徴のほとんど(リアステアを除く)は現行のコンチネンタル GTクーペから受け継いだものだ。しかしそれ以上に、ベントレーはこのクルマをどこにどう位置づけるかについて、じっくりと考えたのだと感じられる。このクルマを、オーナーが運転する姿と運転される姿を同じように楽しめるものにすること。それは巧みな戦略であり、このクルマをより広く世界にアピールするものにしているようだ。その証拠に、ベントレーが発表する売上と利益の数字は、膨らみ続けている。

他のどの高級サルーンよりも包括的にドライバーと運転される側のギャップを埋める、この車は深く賢い。これはおそらく、時代錯誤のアルナージ以来、ベントレーが作り上げた最も魅力的な4ドアサルーンだろう。テクノロジーは非常に効果的に使われているが、それに支配されることはない。

ハイブリッドは、より楽なV8やW12のロードマナーには及ばないが、富裕層にとっては便利な都市型ダッジであり、その他の領域では、パナメーラ ターボ Sよりも速く、くつろげる、迅速で、確実な足取りで、純粋に楽しめるラグジュアリーサルーンである。また、運転する人にとっては、キャビンの広さ、デザイン、手触りの良さが、大衆ブランドとは一線を画していることが分かる。

フライングスパーは、今は亡きミュルザンヌを凌駕するほどハンサムで風格があり、ベンテイガよりもオーダーメイドで特別感があり、間違いなくコンチネンタル GTよりもさらに進化している。伝統的な4ドアサルーンの広告塔としては、ここ数年で最高の出来栄えだ。

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