アジア初の会員制ドライビングクラブ、THE MAGARIGAWA CLUBは最低いくらあればフェラーリをぶん回せるのか?

最大上り勾配20%の起伏あるコースの料金はおいくら?

アジア初の会員制ドライビングクラブ、THE MAGARIGAWA CLUB。2014年に、コーンズ・カンパニー・リミテッドのオーナー代表がスペインのアスカリサーキットを訪れたことをきっかけに、プロジェクトが発足した。千葉県との許認可の問題などを経て、2020年5月に工事が着工され、3年間経過した。今年の7月にグランドオープンを目指して進めているが、一足先にお披露目会が開かれ、MAGARIGAWA Project Officeの室長、山口オスカー博義氏による説明を受けた。

全長3.5㎞のコースは、まるで峠道のような上り20%、下り16%勾配、800mのストレート、22のコーナーを持つ、世界でも類を見ないチャレンジングかつ安全に走りに集中できるコースとなる。F1サーキットの設計を一手に引き受けるTilke Engineers & Architectsが、日本で初めてゼロからデザインを担当した。

クラブハウスの併設する冷暖房完備のピットレーンには最大36台収容可能。会員専用のオーナーズガレージには約300台を収容できるほか、給油ステーションや専属のサービスマンによる走行前後の点検も可能だ。

すべて和のイメージで霧妻屋根のデザインになったクラブハウスにはレストランやバーラウンジ、トレーニングルーム、天然温泉、スパのほか、家族連れでも楽しめるファミリーラウンジが備えられている。

3.5kmのコースも試乗したが、スタートしてからすぐにストレートが約800m続き、理論上は280km/hくらいで走ることができる。800mを越えてフルブレーキでヘアピンコーナーを回る。一番低いところから高いところは約80mの高低差があり、飽きさせない。ヘアピンコーナーを抜けると右手にはヘリコート、ガソリンスタンド、 300台保管できるガレージなどがある。ここを抜けると基本的にこのコースは10m幅だが、 ここからさらに狭くなって8m幅になる。ここは、レースではないので追い抜きを想定していない。20%の勾配があるところは、空しか見えないように感じて、とても気持ちがいい。一般的なサーキットでは、クラブハウスから見えるのはストレートだが、MAGARIGAWAはレースをする場所ではないので、ワインディングを見てもらえるようなレイアウトになっている。

当初、実は顧客から「これは危険そうだ」「死亡リスクがあるのではないか」といった声が上がっていた。また、「ティルケがデザインするなら面白くないかもしれない」という意見もあった。ティルケさんに最も魅力を感じたのは、彼らが安全性を計算できるという点だ。彼らはこのスピードで走行する際に、どのようなミスがあれば、どれくらいのランオフエリアが絶対安全だという計算ができる。その計算結果を見せてもらい、安心して設計を依頼できると確信したという。

ティルケ氏は、この曲がりくねったコースを作ることが非常に楽しかったと話していたそうだ。なぜなら、観客席が必要なく、F1のFIA基準に準拠する必要もないため、山の中で自由にコースを作れるというのは非常にエキサイティングな経験だったとのこと。安全性と楽しさの両方を保証できるコースができあがったというわけだ。

安全性に関しては、細心の注意を払っている。特にF1のFIA基準に準拠する必要はないが、それに準ずるべき安全性を確保することをテーマに進めている。例えば、コースの舗装については、前田道路にさまざまなパターンの舗装を試してきた。滑りすぎず、グリップしすぎず、市販車やレースのスリックタイヤのどちらでも楽しめるような適切なラインを見つけるための試行錯誤を行ってきた。

また、ランオフエリアについても、自然に溶け込むために緑を取り入れた。鮮やかな色合いではなく、自然環境と調和する色を選ぶことに注意した。さらに、砂の粒度や塗装の摩擦についても、走行時の快適さと停止性能を考慮しながら、最適な選択肢を見つけるために慎重に試行した。

万が一のクラッシュに備えて、タイヤバリアの代わりにデブリフェンダーやテックプロバリアと呼ばれる設備を設置している。これらの設備は、安全性に非常に配慮したコースでのみ使用されるものだ。実際、3.5kmのコース全体にこれらのバリアや設備を設置するために、約3億円が投じられた。この金額については驚くべきものだが、それだけ安全性に対する私たちの取り組みが熱心であることを示している。さらに、バリアやデブリフェンスを突破してしまった場合には、ガードレールやジオブルック社の製品であるデブリフェンスが設置されている。デブリフェンスはサッカーのゴールネットのようにしなり、外部に物を飛散させない非常に安全性の高いものだ。

また、コースの安全管理においては、通常のマーシャルによるフラッグ振りが行われる代わりに、マイラプスのデジタルフラッグというシステムを使用している。このデジタルフラッグは非常に視認性が高く、雨の日や曇りの日でもはっきりと確認することができる。もしも車が急激に減速したり停止したりした場合、自動的に検知され、イエローフラッグが表示されるという優れた機能を備えている。さらに、安全性を確保するために、専用のコントロールルームでモニタリングを行っている。そこではコース上の状況をリアルタイムで監視し、必要な対応を取ることができる。

施設全体として、ホスピタリティに重点を置き、コース以外の部分にも力を入れている。ピットエリアではくつろげる空間を提供し、和のイメージを大切にしている。ドライバーズラウンジでは、レース前後にお茶を楽しむことができる。入り口には大きなオブジェがあり、絵画や彫刻などのアート作品を展示している。竹を使用したアーティストの作品もあり、12,000本の竹を手作業で編み上げた。レストランでは、金谷リゾートのホスピタリティを受け継ぎ、美しいコースを眺めながら食事を楽しむことができる。プールやジムも完備されており、リゾート気分を味わいながらくつろぐことができる。

プレイグラウンドは広く、幼児コーナーやアスレチックコーナー、漫画やDVDのエリアもある。娯楽室ではマージャンやシミュレーターが楽しめる。カラオケルームには手の込んだ絵があり、温泉の壁面にはステンドグラスが作られている。日本庭園も美しく、座って車を眺める場所や門も設置予定だ。

宿泊施設にはビラ棟とオーナーズパドックがあり、分譲タイプのビラを購入してもらい、コーンズ側で空いた日を買い取ってホテルとしても利用できる。5棟は即日販売済みで、残りの4棟は来月から順次販売予定だ。さらに開業後に14棟の建設を予定している。各ビラには2台から4台のガレージとリビングルームがあり、ベッドルームが配置されている。家具としては、薪のダンドやバング&オルフセンのスピーカー、アルフレックスの家具が用意されている。壁には竹を重ねた本座根仕様のコンクリートが使用され、高級感が漂っている。

でも、クルマを走らせるのは、お高いんでしょ?いくらあればコースを走れるのか、気になるという人もいるだろう。500名の正会員と750名のアソシエイト会員の2種類がある。まず、正会員は、入会費が36,000,000円(2023年6月まで)、年会費が220,000円、有効期限は無期限で、更新費はなし。コース利用日数は315日前後(90%/年)となる。続いてアソシエイト会員は、入会費が4,000,000円(2023年6月まで)、年次諸費用は1,050,000円、有効期限は5年毎更新、更新費が1,800,000円。コース利用日数は270日前後(75%/年)。コース利用日数や有効期限の差がある。だが、嬉しいことに、コース利用費用は11,000円/1set(半日)、ゲストドライバー費用は55,000円/1set(半日)と、どちらも同じ条件となる。だから、最も安く利用したいなら、会員の友人を見つけて一緒に走るということになるだろう。あっ、その前に、フェラーリ買わなきゃ。

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