アストンマーティンが2025-26年に100%EV発表、トビアス ムアースCEOにインタビュー

アストンマーティンが2025年に100%EVのスポーツカーを発売するって?こりゃ、トップギアとしては、真相を確かめないわけにいかない。早速、元AMGのボスであったトビアス ムアースCEOに、アストンを救うためのビッグなニュープランについてインタビューを行った。ミスターAMGは、今やミスターアストンマーティンだ。トップに就任して9カ月、トビアス ムアースは、アストンのすべての問題を解決するためのマスタープランを明らかにする準備ができているようだ…。

トップギア:ヴァルキリーを路上で運転したことはありますか?

トビアス ムアース:はい、あります。乗り心地はかなり良くて、すべてがうまく機能しています。シートポジションは非常に特殊で、私が知っている別のクルマによく似ていますね。

そういえば、あなたはメルセデス プロジェクト ワンを捨てて、アストンマーティンのヴァルキリーを継承することにしましたね。頭を悩ませていたのはどちらでしたか?

それに対する外向けの答えは、かなり難しいですよ。プロジェクト ワンは普通のクルマではなく、より伝説的なクルマという位置づけなので、公平に比べることはできませんが、ドライブトレインが独特です。ヴァルキリーの場合、V12は11,000rpmを超える回転数という意味でも伝説的なものですが、ギアボックスと電気モーターは非常に特別な挑戦になりますし、車両自体も自動車というよりは航空機に近いものです。

この仕事のどこに魅力を感じたのですか?

ローレンス(ストロール)に、一緒に旅に出ないかと誘われたのですが、人生には『次は何をするべきなのか』と考えなければならない時があります。アストンマーティンは私が大好きなブランドであり、よく知られていますが、ブランドの定義、ブランドを支える製品など、改善の余地がたくさんあります。

彼は、メルセデスとアストンのシナジー効果を気に入ったのではないでしょうか?

彼が私にメールを送ってきた理由は、それだけではありません。誰がこの問題を解決できるのか、誰がアストンのターンアラウンドプログラムを実行できるのか、誰が将来の製品戦略を構築できるのか。それが彼の質問でした。私がメルセデスの技術部門をよく知っていることは有益ですか、って?それは確かに、その通りですね。

昨年8月にあなたが就任したとき、アストンマーティンのビジネスはどのような状態でしたか?思っていたよりも大きな仕事だったのでしょうか?

2つの仕事があります。1つ目は、ビジネスをどのようにして立て直すかということで、効率という点ではアストンはあまり良い状態ではありませんでした。製造業では、オペレーションの工程をどのように行うか、修正すべき点がたくさんありました。以前は2つの組立ラインを流していましたが、1つを閉鎖しました。これは生産量の不足などとは関係なく、単に適切ではなかったからです。今は、すべての車両が1つの組立ラインで動いています。DB11、DBS、ヴォランテ、クーペ、ヴァンテージです。以前は70のワークステーションを持っていたので、運転資金は非常にコストがかかっていたのですが、今は23です。純粋なキャッシュフローが生まれました。

こんなに早く大きな変化が得られたことに驚いているようですね?

そうですね。ビジネス全体で、オペレーションをはじめ最低でも30-40%の効率化を実現しました。分野によってはそれ以上になります。説明するのは難しいですが、自動車業界では、2、3、4%の節約がグッドだと言われています。

パート1は合理化、パート2は製品計画ということですね?まず、ミッドエンジン車から始めましょう

ヴァルキリーのことは知っていると思いますが、ヴァルハラは別のパワートレインに変更しました…。プラグインハイブリッドです。

V8ですか? ここにはメルセデスのパワートレイン技術が活かされていますね

そうですね、プラグインハイブリッド、全輪駆動、これは私たちが取り組んでいることです。フロントアクスルを電動化し、リアに内燃機関を搭載し、電動化されたギアボックスを組み合わせます。これは、次期ヴァンキッシュと将来的に共有するドライブトレインです。

パワートレインが同じであれば、ヴァルハラとヴァンキッシュはどのように差別化するのですか?

ヴァルハラのプラットフォームはカーボン製で、ヴァンキッシュはアルミニウム製ですから、それぞれ別のクルマです。ヴァルハラは、2019年にジュネーブで発表したモデルとは見た目が異なり、完全にオーダーメイド寄りなクルマで、依然として非常に低いシートポジションです。ヴァンキッシュは、よりオールラウンダーで、ハイパフォーマンスなレベルでありながら、より穏やかなミッドエンジンのプログラムとなります。

ラゴンダブランドの計画はどうなっていますか?

ラゴンダは、最もラグジュアリーなブランドであり、電気駆動のブランドであり、すべてを兼ね備えています。今のところ、このブランドで何をしようとしているのかの計画はありますが、まだ、それは社内だけの秘密にしています。絶対に電気駆動のオーダーメイドブランドではありません、それでは意味がありませんから。新しいブランドに命を吹き込み、それを説明し、販売しなければなりません。最終的には、メインブランドであるアストンマーティンを見ながら進めることになります。ラグジュアリーなブランドであるという考えは、それほど間違っていません。アストンマーティンがワークスF1チームを持ったことで、私たちはこれまで以上にスポーティなブランドになったと認識されていますので、もっとラグジュアリーになる余地があるのです。

ル・マンのプログラムには興味がありますか?

将来的には、カスタマーレースでより良い結果を出すことができるでしょうし、ミッドエンジンのプログラムであれば、もう少し力を発揮することができます。しかし、ル・マンのハイパーカークラスではどうでしょうか?パフォーマンスのバランスを考えると、最終的には最も遅いクルマという結論に結びつくこととなり、それが真実です。今のところ、私たちは戦場を選んで、会社を財務的に良い状態にし、キャッシュの流出を止め、持続可能な未来を築く必要があります。

そのためには、ヴァンテージやDB11の販売台数を増やす必要がありますか?それともDBXに頼るのでしょうか?

いいえ、スポーツカーのオーダーはもっと嬉しいですね。でも、私が思っていたよりも、スポーツカーのオーダーはずっと多かったですが。昨年は3,000台の在庫を抱えていましたが、今ではそれを解消しました。ホールセールとリテールの間には、常にギャップがありまして、それがディスカウントを押し上げることになります。今回は、ほとんどの場所で在庫を一掃できました。

DBSとDB11は必要ですか?

ええ、でも今後は別のアプローチを考えています。そこで、これらのクルマのフェイスリフトに取り組んでいます。老朽化していたり、十分な技術が搭載されていなかったり、接続されていなかったりと、さまざまなことが起こってきます。2ドアや2+2を含む幅広いポートフォリオの余地があることは間違いありませんし、このセグメントにもハローカー(他の自動車モデルやブランドとの象徴的な関連付けによるハロー効果によって、自動車のマークやブランドに威信をもたらすために使用されるフラッグシップカーモデル)の余地があるかもしれません。

続いて、電動化について。これについてはどう感じていますか?

私は完全に賛成です。そう、世間の噂話はすべて間違っています。AMGの4気筒ハイブリッドの件で、ダイムラーの取締役会から私が抜け出したという噂がありますが、あれは私が提案したものですよ。あれは私のアイデアで、私が実現させたのです。

では、エキサイティングな電動化されたアストンマーティンには多くのチャンスがあるとお考えですか?

はい、その通りです。ミッドエンジンのプログラムには、プラグインハイブリッドが必要です。メルセデスとの技術提携により、2年後くらいにはDBXにもプラグインハイブリッドを搭載することができますし、DB11やDBSにもチャンスがあるかもしれません。

アストンマーティン初の100%エレクトリックモデルが登場するのはいつですか?

2025年か2026年には、次世代のスポーツカーが登場します。それは間違いありません。電気自動車のプラットフォームとなると、スポーツカーにもSUVにも、2ドアにも4ドアにも対応できる、クリエイティブなものが必要です。つまり、プラットフォームの統合です。

メルセデスから電気自動車のプラットフォームを丸ごともらうことはできますか?

それは技術移転の一環として議論が行われます。EQSプラットフォームには可能性がありますが、スポーツブランドに適したプラットフォームなのかということも検討する必要があるでしょう。

アストンマーティンは、電気駆動のみになってもキャラクターを維持できますか?

アストンマーティンらしさとは何でしょうか?美しいクルマです。さらに、反逆者とジェントルマンをひとつにしたクルマが求められていますが、私たちはそれを実現でき、エモーションを維持することができるのです。感情は五感で感じるものなので、クルマの中に反逆者とジェントルマンをあわせた要素を追加し、魂を揺さぶるようにしたのです。

2030年、英国では内燃機関の新型車が禁止されますが、どうなりますか?

2030年には、ポートフォリオの50%が純粋な電気自動車になっていると思います、最低でも。残りはプラグインハイブリッドで、おそらく数百台はサーキット走行用になるでしょう。それはまだ許されていることだからです。

就任から9ヵ月間で、最も誇りに思っていることは何ですか?

エネルギーです。今は、会社で起きているエネルギーがすべての原動力となるのです。私はモノづくりの現場を見てきているからこそ、エンジニアの目にもそれがあるのが見えるのです。たとえ、全然違う場所であってもです。

5つのターニングポイント:アストンを再び偉大にするためのムアースのシンプルなステップ

1.効率化:2つの生産ラインを1つに、70のワークステーションを23に、3,000台の在庫からオンデマンドで生産する。当然のことだと思わない?

2.エネルギーに満ち溢れる:健全な会社は幸せな会社だ。「先週、現場で従業員に "調子はどう?"と聞いたら、"いいですよ、あなたがいるから"という答えが返ってきたんです」とムアースは謙遜しながら教えてくれた。

3.エキサイト:まずヴァルキリー(スピンオフのスペシャルモデルも含む)、次にメルセデスのエンジンを搭載したV8プラグインのヴァルハラとヴァンキッシュという3本柱のミッドエンジンプログラムで、フェラーリとマクラーレンに対抗する。

4.電動化:プラグインハイブリッドのDBXを2023年までに発売し、その後、プラグインのDB11とDBSを発売する。2025年または2026年までにアストン初のフルEVスポーツカーを、おそらくメルセデスのフルEVプラットフォームで実現し、2030年までに販売台数の50%をピュアEVにする。

5.拡張:F1参戦がアストンをよりスポーティなブランドに見せているので、ラゴンダがラグジュアリーさを出す余地がある。単独モデルではなく、マイバッハのSクラスをイメージしてみよう。年間9,000-10,000台の販売を目指す。なおフェラーリは6,000台で利益を出している。

=海外の反応=
「うーん、なんでだろう?」
「遅すぎるかもしれないけど、そうならないことを願っている」
「特に、2013年のAMG SLS エレクトリック ドライブは、電気自動車のアストンに適したプラットフォームで、電気自動車のアストンに適した性能を得ることができた。メルセデスとプラットフォームを共有していることを考えると、遅すぎたように思える。ラゴンダについては、「説明しなければならないし、販売しなければならない」とのことだが、申し訳ないのだが、僕はそうは思わない。ラゴンダは有名な高級ブランドであり、ルシッド、ファラデー フューチャー、バイトンなどの未知の企業との競争になるが、ラゴンダ タラフなら販売面で何の問題もない」
「今後はますます、メルセデスとの連携も強化されていくのではないだろうか」
「誰も電気自動車のアストンの "スポーツカー"なんて望んでいやしない。また、iPhoneに夢中になっている "夢想家"は、EVベースの技術がすべての自動車の炭素問題を解決すると考えている。だが、F1とポルシェは、合成燃料のような代替案を出すことに積極的な唯一の組織だ。F1はおそらく、電気自動車にはしないと言うことで自分たちの存在意義を保っている。彼らは賢いので、7年間の「ブランド構築」の後、フォーミュラEに対する精彩を欠いた反応を見て、誰も気に留めず、メーカーは去っていった。トビアス、あなたのルーツに戻ってください。ドイツの機械式エンジンと自動車の素晴らしさに戻ってください。アジアからもたらされて来たすべての制御システムを搭載した巨大な化学物質の箱ではなく」
↑「それはおかしい。未来の環境意識の高い、若い消費者である一般の人々は、セクシーで実用的であれば何でもEVを買いたがる。現代とキアのアイオニック 5とEV6は、テスラ以外の革命を引き起こそうとしており、アウディとポルシェ(ICEメーカーの中で唯一、エキサイティングなEVを実現している)はすでにその勢いに乗っている。あなたはベーシックなEVを運転したことがありますか?そのドライビングエクスペリエンスは、最高のスポーツカーをも凌駕するものであり、それゆえにタイカンの人気があるのだ。AMが生き残るためには、未来への投資が必要だ。ガソリン中毒の人たちに対しては、週末のサーキット走行会に任せておけば、過去の思い出に浸らせておくことができる」

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