2021年は巨大ドイツ自動車メーカーに大変革が起きている

メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、フォルクスワーゲン、アウディと、日本でも最も人気のある輸入車がドイツのものだ。そのドイツの自動車メーカーの奥深くで、何かとても大きな変化が起きている。5年以内に、設計、開発、製造、販売の方法を大幅に再構築するのだという。

それがどんなクルマを意味するのか、お話ししたいのは山々。だが、それを言うにはまだ早すぎる。いずれにしても、現時点ではどんな種類のものになるかはわからない。まあ、エンジンは搭載しない方向ではあるが…。しかし、この革命は、単なる電気駆動にするだけではないのだ。

先週、BMWは2025年からの新しいラインアップを「die Neue Klasse(新しいクラス)」と名付けて発表した。これは重要なことだ。この名称は、1962年の1500に始まるBMWの世代に使われていたものである。そのスポーティな4ドアがBMWを救ったのであり、今日の5シリーズは、そこから連綿と続く輝きの糸をたどっているのだ。BMWのボス、オリバー ツィプセは、この第2のノイエクラッセを2050年以降も通用するものにしたいと語っている。

「クルマを根本から見直すことです。私たちは、今日のアーキテクチャーから自分たちを解放しているのです」と述べた。重要なのは、まったく新しいソフトウェアとITを採用することだ、と付け加えた。

ソフトウェアは新しいフロンティアだ。というよりも、ハードウェアは後からついてくるもの、というのがソフトウェアファーストの考え方だ。テスラや中国の一部の企業(特にNio)は、数年前からこの方法で事業を展開している。

テスラは、セルやモーター、その他すべてのコンポーネントを最大限に活用するソフトウェアをコーディングすることで、初期のリードを獲得したが、これはクルマの上から下まで「ソフトウェアスタック」というべきものであった。従来の自動車業界では、パワートレインのコントローラー、シャシーシステム、インフォテインメントなど、さまざまなサプライヤーからさまざまなパッケージが提供され、それらをつなぎ合わせていたのである。

テスラは、すべてのテスラ車両からのライブデータを利用して、クルマの効率と性能を継続的に更新していった。オートパイロットの場合も同様だ。イーロンのチームが目指すのは、クルマ、販売、サービス、通信、すべてのエコシステムなど、カーライフ全体を把握することだ。これこそ、BMWが望んでいる統合の姿である。ここを読んでいる人は、まずは金属を曲げることだという時代を、超えているようだ。こういったものがポストプラットフォームである。

VWグループも同じように考えている。アウディには、アルテミスという最先端を研究するチームがある。その目的は、2024年に発売されるアウディとベントレーにテスラのソフトウェアを搭載し、まったく新しいオンボードエレクトロニクスとコネクティビティを使用することだと、アウディのチーフ、マルクス ドゥスマンは言っている。

ポルシェの開発責任者であるミヒャエル シュタイナーは、ポルシェではVWグループの安価なラインの古典的な金属製のプラットフォームとプロポーションは使用しないが、「ソフトウェアとインテリジェンスを共有することになる」と述べている。

2026年、VWブランドはアルテミス発の、簡略化された新型車を複数発表する。「プロジェクト トリニティ」と呼ばれているものだ。

一方、メルセデスはコードネーム「MMA」と呼ばれる車を発表するが、これもデジタルファーストだ。

奇妙なことに、VWのIDカーやBMWのi4のように、今まさに登場しつつあるバッテリー駆動のプラットフォームは、すぐに時代遅れになってしまうかもしれない。でも、電子機器を取り外して、あとから新しいものを取り付けることなら、可能なのではないだろうか。

これはクルマにとってどのような意味を持つのだろう?インフォテインメントの超広帯域化、自動運転に近づけるためのライブで高解像度のマッピング、また、効率も向上する。メルセデスは、1kWhあたりの走行距離を現在のクルマの1.5倍にしたいと話している。

また、製造工程もはるかにシンプルになるだろう。クルマはすべてのハードウェアと一緒に作られ、機能を有効にするために月々の料金を支払うことになる。アップグレードされたUX?詳細な駐車場アプリ?ハイエンドのトルクベクタリング?パワーアップしても夏場だけ?冬にはシートヒーターが必要?休日のロングドライブのために、より優れた運転支援を?カーシェアリング?

問題は、ドイツ勢がアメリカに追いつけるかどうかだ。ベルリンはデジタルの巣窟だが、まだシリコンバレーではない。ドイツの自動車技術者は、両親が旧東ドイツの秘密警察の監視下で暮らし、祖父母がナチスの支配の下で暮らした経験を持っている。現代のドイツが文化的にビッグデータに対して警戒心を持っているのは当然のことだ。アメリカとは違う。

アップルはデバイスの販売で収益を上げており、その後もApp StoreやMusic、Apple TVで収益を上げている。

自動車メーカーは、ユーザーに「今払って、後でも払う」という行動を取ってもらいたいと考えている。この話を聞くと、自動車がつまらないものに思えてくる?そんなことはない。そもそも人間が、そこのブランドのクルマを必要としなければ、そのメーカーは永久に淘汰されるだろう。

=海外の反応=
「ドイツ人は、化石的な考え方から完全に脱却すれば、良い仕事ができると思う。最近のEVのデザインは、ほとんどが化石的だ。レンガのような形をしたクルマで、フロントエンドは直線的だが、EQCのように、多くの場合、トランクが小さい…。そして、偽物の特大の不釣り合いなグリル…。いつかは目標に到達するだろうが、今は説得力がない。私がタイカンを気に入っているのは、先ほど述べたこととは正反対で、SpotifyよりもむしろApple Musicとの統合機能を備えているから。駐車したときに流れていた特定のプレイリストを、クルマが自動的に再生してくれることが重要なんだよ…。航続距離も十分ではなく、イベリア半島全体での充電インフラには、もっと力を入れる必要があるだろうけれど」
「<自動車メーカーは永久に淘汰される>
欧州の自動車会社と、そこで働いている何千人もの人々にとって、これは良い結果をもたらさないだろう。大規模な失業が発生し、持てる者と持たざる者の間の格差も大きくなってしまう。
すべてをソフトウェア開発者の手に委ねるというのも良くない考えだ」
「ビッグデータについて批判的に考えない人は残念だ…。すべての企業が悪意を持っているわけではないけれど。確かにFacebookは最悪の例だが、テスラが匿名化されたAPデータを収集してニューラルネットに供給するのであれば、問題はないと思う。それどころか、世界中のクルマのデータを入力することで、システムの学習速度が上がるということもある」
「うーん、最近のBMWにはSiriが搭載されているようだ」
「ドイツの自動車産業を丸ごと捨てよう」
「自分は、思い切って自動車技術を学び、クルマを仕事にするために75万円もかけなくてよかった。クルマがこんなに早く死んでしまうんだったら。その何百倍も悪いのは、多くの人がそれを良しとしないばかりか、延々と続く馬鹿げた電気移動ポッドを待ち望んでいることだ。

BMW、メルセデス、ポルシェ…。これらの名前は子供の頃、私にインスピレーションを与えてくれた。彼らはすぐに、今の子供にとっては冷蔵庫の会社と同じように見えるだろう。そして、それはまさに彼らが作るものだ。冷蔵庫版GT3-RSとか」
「いいことだと思う。ただ、メニューシステムを複雑にしすぎず、最も基本的で重要な機能のために、物理的なボタンを残しといて」
「こうすると、日本や韓国(中国)のメーカーが、より信頼性の高い、シンプルな購入方法を提供して、そのギャップを利用することになるだろう。家電製品(携帯電話)は、基本的な機能に関してはかなりシンプルなもの。だが、これらの新世代の自動車はそうではない(テスラのことでもない)。最近の歴史では、基本的な機能を複雑にしようとした失敗や挫折がたくさんあるしね」
「トヨタあたりが、この考え方に従わないことで、絶対に大儲けしそう」
「普段、私は新しい技術に賛成だが、車の場合は、「インフォテイメント」は間違いだと感じている。旅をしているのであれば、旅を楽しむべきであって、気が散るような壁を作って、自分がどこにいて、誰と一緒にいるのかということを意識させないようにするべきではないと思う。おじいちゃんの話のように聞こえるかもしれないけど、旅は目的地の一部であり、それが仕事であろうと、休暇であろうと、必要に迫られたものであろうと、YouTuberの新しい猫の動画の更新をチェックするよりも、世界を知ることの方が価値がある。
また、自動運転車であっても、ドライバーが映画を見ていたら安全とは言えないよね」
↑「ほぼ同意。また、ハッキングの危険性や、"悪者"がこれらの "コネクテッド"自動車で何をしでかすかということも忘れてはならない。私は、銀行からのメールがないと、オンラインで何かを買うことさえできない」
↑「その通り。このSNS社会、どこまで行くんだろうね。"XY俳優の電気自動運転車が謎の事故を起こしたのは、彼らのTwitterでの投稿の30分後だった…"なんてことが起きかねない」
「僕は、むしろ、良い音質のカーステレオがほしいよ」

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