【試乗】フォルクスワーゲン ID.Buzz:6/7人乗りEVバンで“タイプ2”が令和に復活

タイプ2の伝説が、電動の力で現代に甦る。フォルクスワーゲン「ID.Buzz」が日本上陸。レトロなデザインと最先端EV技術を融合し、最大7人乗り、航続距離500km超を実現。パノラマルーフや音声アシスタントなど最新装備も充実。VWの電動化戦略を象徴する1台、その魅力を試乗を含めて徹底紹介。

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タイプ 2の愛称で知られるフォルクスワーゲン トランスポーターは、1949年に生産が開始され、75年以上の歴史を持っている。そして、2025年に、タイプ 2のDNAを受け継いだ電動ワーゲンバスのID.Buzzがついに日本でも発表された。ブランドディレクターのイモー ブッシュマン氏、プロダクトマネージャーの沢村武史氏6人乗りのProと7人乗りのPro Long Wheelbaseがあり、8,889,000円と9,979,000円。

タイプ 2は、1960年代にはカウンターカルチャーの象徴となった。フォルクスワーゲンは、その象徴的なデザインを復活させるために、2001年のマイクロバス、2011年のBulli、2017年のI.D.Buzzといったコンセプトカーを発表し、世界的に大きな反響を呼んできたのである。2017年のI.D.Buzzは、オリジナルの伝説と電動化の未来を繋ぐ存在だった。2020年末に生産モデルが欧州で発表され、約2年半を経て、日本においてID.Buzzとして正式発表された。

タイプ2からインスパイアされたレトロで丸みのあるフォルムに、現代的な機能性やLEDテクノロジーが融合したデザインが特徴だ。ツートンカラーとシングルカラーがあり、合計6色展開(ツートン3色含む)。フォルクスワーゲンEVのID.シリーズの第2弾として登場。最大トルク560Nmの強力なモーターにより、力強い加速とスムーズな高速走行を実現する。フロアに敷き詰められた大容量バッテリーを搭載しており、500kmを超える高い航続距離(どちらのグレードでも)を実現している。90kWの急速充電であれば約40分でバッテリー20%から80%まで充電可能。150kWの急速充電器を使えば、さらに高速充電が可能だ。全国370拠点を有する日本最大級の急速充電ネットワークPCA(Premium Charging Alliance)を1年間無料で利用できる。

ゆとりある3列空間のシートは、人数や荷物に合わせて自由にアレンジ可能だ。室内により開放感をもたらすフォルクスワーゲン最大のパノラマガラスルーフは、タッチ操作で透明/半透明の切り替えができる。最大で2469リットルの大容量ラゲッジスペースは実用的だ。3列目シートは本格的に格納・取り外しが可能で、ラゲッジスペースを最大限に拡大できる。パワースライドドアが標準装備されており、乗り降りがスムーズなのもありがたい。足をかざすジェスチャーで開くイージーオープンや、イージークローズ機能など、利便性が追求されている。

整理された美しいデジタルコックピットが印象的で、12.9インチの大型ディスプレイは、直感的な操作と高い視認性を実現している。多機能を声で操作するボイスアシスタントも搭載されている。安全性は全てに優先するというフォルクスワーゲンの思想のもと、トラベルアシストを始めとした最新の運転支援と安全機能が標準搭載されている。

日本市場では、2種類のボディと2種類のシートレイアウトを組み合わせて展開される。
一つ目が、Pro(プロ)で、ノーマルホイールベース、6人乗り。価格は8,889,000円。もう一つがPro Long Wheelbase(プロロングホイールベース)で、ノーマルホイールベースより250mm車体全長が長いロングホイールベース仕様の7人乗り。価格は9,970,000円。
パッケージオプションは下記の通り。
アップグレードパッケージ(Pro/Pro Long Wheelbase向け):
マトリックスLEDライト、ライトアシスト、内装のアップグレードなどが含まれる。
価格:700,000円。
ラグジュアリーパッケージ(Pro Long Wheelbase専用):
パノラマガラスルーフ、ハーマンカードンオーディオシステムが含まれる。
価格:297,000円。

ターゲットはタイプ2の背景にあるストーリーや哲学を理解し、単なる車ではなく、生活を豊かにしてくれる存在を求める顧客。具体的には、構造の高い趣味やフリーランスの方、週末に家を出てアクティブに活動する方、初めてEVを購入する方など、多様な顧客層を想定している。「この車は世界中どこを探してもないユニークな存在であり、子供たちが笑顔で手を振るような特別な体験を提供できる」と自信を見せた。

発表会終了後にID.Buzz Proに試乗する機会を得られた。

スライドドアは新鮮で、キャビン内には十分な足元と頭上空間があり、乗り降りも簡単だ。前席の2名にとっては非常に特別感があり、前席はファーストクラス、後席は親しみやすいエコノミークラスのような感覚だ。ガラスは直立しており、前方に大きくカーブしたワイドスクリーン式のフロントガラスを備えている。高い視点から、アームレストを下ろして景色を満喫でき、明るく未来的な高台にいるような感覚が持てる。穏やかでリラックスできる、素晴らしい乗り心地を提供してくれる。素材、デザイン、収納、雰囲気のすべてが、Buzzに非常に明るく、ワクワクするような感覚を与えている。前席の間には取り外し可能な多機能チェストがあり、実用性も抜群。後席は「ごく普通」で、他のSUVやMPVと同様の60:40分割ベンチシートだ。

走り出しはスムーズ。ID.Buzzは、スケートボード型のバッテリーとモーターの配置により重心が低く保たれており、バンにおいてその恩恵は特に大きいとされている。一般的なバンは荷物を積んで初めてバランスが取れるのに対し、この車は空の状態でもバランスが良いと感じた。

このID.Buzzは、本来商用車だ。これまで、パワートレインの選択肢が狭かったこともあり、バンが買われることはなかったが、ID.Buzzの電気的なパワーは革新である。ただし、見た目や振る舞いはバンに似ているが、実際には乗用車であり、SUVやエステートカーと同程度にスムーズで洗練された走りをしてくれる。空いている道路での巡航は静かで、走行性能も高く、勤勉で正確な運転が可能だ。

電気パワートレインとの相性が良く、家族向け車両として望むべく、楽にスムーズで完全に静か、扱いやすく、応答性が高く、トルクフルだ。286psの出力は十分で、ディーゼル車を上回る加速力を持ち、背の高いファミリーカーとして適切な性能を持っている。2.6トンの車重も気にならないほど。シャシーが問題を引き起こすほど加速が速すぎることもない、バランスの取れた走りだ。海外のデータでは、最高速度は145km/hと、十分だ。もっとも、ドイツで設計・製造・販売されている車としては十分なのかどうかはわからないけれど。

コーナリングは的確で、フラットで、コントロールされている。リアホイール駆動であるため、初代VWバスのように押されている感覚を味わうことができる。最小回転半径について聞いてみたが、非公表とのことだったが、タイトで小回りが効く印象を受けた。時間がなくて試すことはできなかったが、アダプティブクルーズやレーンキープなどの運転支援システムを搭載しており、市街地での視界も良好で、操作や駐車が簡単になりそうである。

運転は負担がなく、EVの魅力である気軽さが感じられた。軽快で操縦しやすく、運転環境と相まって、レンジローバー以外のSUVにはないような幸福感をもたらしてくれる。これまでの商用バンやMPVの基準から見るとID.Buzzは洗練されており、乗用車として不満が出ることはないと思われる。しっかりしていて、頑丈で、スムーズで、堂々とした走りをしてくれる。ドライブモードも用意されているが、回生力の異なるD/Bの2つだけというシンプルさが良い。フォルクスワーゲンは特にそれらを強調する必要がないほど、基本的なドライビング体験が良いことを示唆している。

フォルクスワーゲン電動化戦略の第一段階が、このID.Buzzの導入で完了する。発表会の中で「クルマが人生の様々な局面で共に経験をすることで初めてフォルクスワーゲンになる」というメッセージが語られた。人々と一緒に泣いたり、笑ったりする相棒がフォルクスワーゲンなのである。そのスピリッツは、Type 2からID.Buzzに進化しても変化していないようだ。

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