トヨタブランドでクロスオーバーSUVを力強く牽引するRAV4ブランドの最上級モデルがこのPHVだ。日本での価格は469-539万円。
ダルいトヨタ車はだいたいハイブリッドって、コレ定説?このRAV4のなにがすごいんだ?
トヨタ RAV4 プラグインハイブリッドは、車本体にコンセントがさせる初のRAV4だ。ここ数年イギリスでは、トヨタのRecreational Activity Vehicleの頭文字から取ったRAV4は、設定がハイブリッド仕様のみとなっている。しかし、そのハイブリッド車は全てプリウス系のマイルドハイブリッドであった。ブレーキを踏めば充電し、スロットルで調節すればすぐにバッテリーを枯渇させてしまう。街中では特に使い勝手がよく、蛍光灯のスイッチをいじるよりも操作は簡単だ。あなたも過去に何度か、ちょっと生意気な「セルフ充電ハイブリッド」なんて決まり文句の広告を見たことがあるだろう。
クルマにコンセントがさせる環境があるとしよう。それから、電気のみで動かしたいと思っているとする。ハイブリッドの王様であるトヨタがこの時点で、フォード クーガ PHEVと同等の力を持ったということだ。ボクスホールでさえ、半電動のクロスオーバーを出すなどして、対抗するのに手を焼いている。
つまるところ、PHVバージョンはバッテリーが大きくなって電源コードをさすソケットがついたRAV4ってことだよね?
だいたいそんなイメージだ。ここではもう少し数字のほうを見ていこう。まず知っておくべきは、RAV4というのは本当に名前の通りのSUVであるということ。RAV4は電気で走るときでも4輪駆動のママだ。
対照的に、ボルボ XC60 PHEVだとどの燃料を使うかによって、前輪駆動か後輪駆動、あるいは2輪駆動か4輪駆動かが変わってくる。RAV4では、フロントモーターが182ps、リアモーターが54psのパワーを組み合わせている。
よって、RAV4に乗れば、地球を救うという生ぬるくてフワっとした感覚が生まれるので、自分の行く手にあるものは何でも踏みつけて、ちっぽけな自然の一部を痛めつけているということに対して、安心できるのだ。
ガソリンエンジンは、マイルドハイブリッドのRAV4に比べて、わずかにパワーが落ちるが、フロントの電気モーターは協力で、たくさんの仕事をこなすことができるようになった。
電気だけで最高速度135km/hを出せるというのは確かに凄いことだ。しかし、高速道路の追い越し車線を電気だけに頼って走るというのは少々もったいないように感じられる。これでは、主張されている95kmのゼロエミッション走行の航続距離からどんどん遠ざかってしまう。
この車は常にEモードからスタートするようになっているが、遠出するときは毎回、センターコンソールの「HVモード」のボタンを押すクセをつけたほうがいいだろう。買い物に行くだけ?そんなときは、そのボタンをそのまま放っておけばいい。それで、フォルクスワーゲングループがプラグインハイブリッドのあの遅いタッチスクリーンでなんとかあなたの気を引こうとしている様でも想像して楽しんでいよう。
電気パワー様々のように見えるけど、結局速いの?
そんなこと私に聞かないでくれ。私じゃなくて、ゴルフ GTIを運転していた、あの可哀そうな男に聞いてくれ。彼は先週、ゴルフ GTIを運転していて私が二車線道路に合流するよう指示を出したときに、自分のことなど考えず、私に道を譲ったんだよね。しかし前方に走るRAV4は、地平線を目指してるのか、煙を出してて、結局おろおろと後退するしかなかったんだよ。RAV4のミラーに映るGTIがすごくちっちゃくなってってさ。
電気モーター2つと、なんてことない2.5リッターのノンターボのガソリンエンジンの組み合わせから得られるのは306psという高出力の値だ。もし車体が2トンに満たないとしたら、RAV4は依然として、速い。でも、スポーティとは呼べない。その件については、また後ほど…。
とっておきの秘密兵器に思える
これが一番良い点ではない。最高な点というのは、適切な電気ブーストが、CVTギアボックスを装備した大きくて重いクルマを運転する際に出る痛みや耳鳴りを取り除くという点だ。通常、ポルシェ カレラ GTの弾性ベルトのトランスミッションは、氷上で過度に加速したときや、ヒルスタートに挑む、恐怖に怯える初心者より回転数が高ければ、パニックを起こしてしまう。
しかし、RAV4 PHVは電気トルクのクッションに寄りかかることができるため、ヒルスタートでも、エンジンがグローブボックスを通り越して爆発したときのような、緊張した音が響くことはない。
プラグインハイブリッドに移行したことで、RAV4はより重く、より高価になったが、運転するのがとても心地よくなったのだ。
いいね!でもそれで安くなったの?
EVモードでkWhあたり3.7kmというのは、かなり効率が良いほうだ。この数値は最新のオール電化のアウディ e-tronに匹敵するレベルだ。しかし少し引っかかる。もし、18.1kWhのバッテリー容量が全部使えるならば、66kmになるはずだが、どうやら、55km前後が実際のところらしい。
ハイブリッドで走れば、燃費は14km/Lくらいで落ち着いた。ガソリンと電気のどちらも満タンのときの走行距離は805km近くにも及んだ。この数値はどちらもなかなかのものである。研究室で主張されていた100km/L、22g/kmという数値がバカげているように思えてしまうほどの数値だ。
この結果はトヨタが悪いのではない(トヨタを恨んではいけない。恨むならこの比較自体を恨むべきだ)。だがこの結果が、ディーゼルゲート以降の消費者の購買意欲を今一度そそらせるのには、あまり役に立たないのではないだろうか。
言うまでもなく、RAV4を優秀なPHEVと言わしめるのは、電気のみの航続距離だ。真冬に前後ともシートヒーターを温められるし、学校の行き帰りも、仕事や買い物など、適切な距離であれば、エンジンを入れなくても電気だけで走ることができるのだ。しかも、道路税の免税や社用車の減税措置などの特典もある。
悪いことはないの?悪いところだってあるはず
PHEVの呪いは、一度バッテリーを消耗させると、オーバーワークのエンジンによって引っ張り出される2,000キロもの導線やらを含む何の役にも立たない塊ができてしまうことだ。その状態で充電メーターの針をレッドライン以下に落としてしまうと、あなたもRAV4も一瞬で吹き飛ぶことになる。注意が必要だ。
近くに充電ステーションがないけど大丈夫?
おそらく大丈夫だ。自家用のコンセントで充電が満タンになるまでだいたい7時間半かかる。一晩、あるいは学校に行っている間の時間があれば足りるだろう。適切なウォールボックスの充電器を使えば、2時間半にまで短縮できる。
つまり、これは優れたファミリーカーなの?
広さはそれほど期待できないだろう。座席は7つではなく5つになっており、もう少し大きければと感じてしまうかもしれない。トランクは520リットルと大きい(トランクのテールゲートのビープ音が鳴りやむまでに、老衰で死んでしまう可能性はあるが)。
RAV4 PHVよりも親しみやすい見た目のスズキのアクロスは、イギリスでは2種類のトリムラインから選択できるが、ベースモデル自体はない。47,395ポンド(685万円)を払って19インチの画面、9インチのAppleとAndroidからミラーリングできるタッチスクリーン、デュアルゾーン空調、キーレスでエントリーとスタート、そしてアダプティブクルーズコントロールが備わったダイナミックバージョンにするか、50,895ポンド(737万円)を払って、ガラスの屋根とJBLのhi-fiと通気性の高い座席が追加されたダイナミックプレミアムバージョンにするかを選択できる。
私たちなら低いグレードのほうを選ぶだろう。だいたい同じに見えるし、実際に使うものは全部そろっているから。オンラインでは、派手さはないが、1カ月あたり60ポンド(8,700円)安いプランもある。そのうえ、分厚いゴムのキャビンも、スクリーンのグラフィックも、5万ポンドに見合った分だけ、さらに高級で高品質、という感じでもない。
もし純粋にドライブが好きという場合は?
その場合はフォード クーガのほうが良いだろう。RAV4はスポーティなSUVではないからだ。むしろ電化製品といったほうが正しい。でもそれでいいのだ。高速道路を颯爽と走り抜けるとかすかに聞こえてくるのは風切音を除けば、乗り心地はクルーザーのように上質で快適だ。ああだこうだと多くを求めてこないのもこのクルマの良いところ。
このクルマは、自分の肌で感じているような心地よさがある。しかし、そもそもプラグインハイブリッドのパワートレインは一般家庭用の小さなハッチバックには適していない。バッテリーがかなりのスペースを食ってしまうからだ。重たいステアリングなど、使っていくうちに扱いづらさがどんどん露呈していくだろう。
誰もRAV4に笑いを求めてなどいない。ステレオで聞いたお笑いのポッドキャストがきっかけで買いにきたのなら、話は別だが。我々が求めているのは実用性と1,000万台のRAV4がこつこつと積み上げてきた「常識や当たり前のこと」だ。忘れてはいけない。このクルマが世界一売れているSUVであることを。見えを張らず、分別をもって然るべき行動さえとっていれば、この車は最も価値のあるクルマとなるにちがいない。
スコア:7/10
50,895ポンド(737万円)
2.5リッター 4気筒+eモーター 2基, トータル306ps
CVT, AWD
0-100km/h in 6.0秒, 230km/h
100km/L, 22g/km CO2
1975kg