書評コーナーは、ニッサン セドリック/グロリア。ニッサン セドリック・グロリアの足跡を、1000点を超える図版を収録して解説した。
日産は1952年にイギリスのオースチンとの技術提携後、1953年からオースチンA40をノックダウン生産。そこで最新の車両開発や生産技術などを学びとることができた。1960年の提携終了に伴い登場したのがセドリックで、まさに日産技術陣の総力を結集して開発された中型乗用車といっていいだろう。登場以来、日産を代表する車種として、2014年の生産終了まで54年間にわたり、ショーファーカーからタクシーなどの法人のみならず個人用として、さまざまな場所で活躍してきた。
1965年に登場した2代目セドリックはピニンファリーナのデザインを纏い、洗練された印象を与えていた。そしてセドリックの3代目となる230からは合併したプリンスのグロリアを双子車とし、それは最後まで変わらなかった。
1987年の7代目セドリック(8代目グロリア)には、グランツーリスモを新設し、走りのイメージに大いに貢献。そういった面では5代目セドリック(6代目グロリア)には国産量産車として初めてターボを採用したことも見逃せない。
これら以外にもいち早く電子制御エアサスペンションを採用したり、エクストロイドCVTを搭載するなどエンジニアリング面でも様々な特徴を備えたブランドであった。
本書は、セドリックの半世紀以上の歴史について、230型以降は双子車となったグロリアとともに、その変遷を貴重なカラーカタログなどを用いて紹介。
なお、本書は日産が昨年創立90周年を迎えたのを機に、内容の再確認を実施するとともに、代表的なモデルを掲載したカバーデザインに一新して刊行したものである。
また、愛蔵版として箱入りの特別限定版も350部限定で刊行。保護用の外箱には、1988年6月登場のY31型グロリア 4ドアセダンV20ツインカムターボ グランツーリスモSVの写真を収録。さらに表紙はセドリックのロゴと共に特別限定版専用の黒基調の装丁とした。特典として、1987年10月にオーテックジャパンの架装によるセドリック/グロリアロイヤルリムジンの特徴的な部分の写真を掲載したカード(著者の当摩節夫直筆サイン入り)を添付。最終仕上げは全てハンドメイドで行ない、シリアルナンバーNo.001~No.350の検印が貼付してある。(内田俊一)
ニッサン セドリック/グロリア
副名:「技術の日産」を牽引した乗用車
著者:当摩 節夫
発行:三樹書房
定価:5500円 特別限定版 7700円
ISBN978-4-89522-814-5 特別限定版 ISBN978-4-89522-828-2
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