フル電動モデルの発表で物議を醸したメルセデスAMGが、巨躯に巨大なV8をぶち込むというお馴染みの原点回帰に乗り出した。マイナーチェンジを迎えた新型「GLE」と「GLS」のSUVモデルに、環境規制をクリアしつつ最高出力604馬力を維持した新世代V8エンジンを搭載。伝統の爆音と過激なハイパフォーマンスを死守した、アファルターバッハの最新作を紐解く。
かなり物議を醸しているフル電動のGT 4ドアクーペを発表したばかりのAMGだが、ここへ来て標準的なメルセデス(メルセデス・ベンツの親しみを込めた呼称)に巨大なV8をぶち込むという原点回帰に乗り出した。これで世界はすべて安泰だ。いや、すべてとは言えないまでも、少なくともAMGが再び爆音を響かせるようになることだけは確かである。
それを可能にしたのが「M177 EVO」エンジンだ。これは従来の4.0リッターV8ツインターボをベースにしつつも、フラットプレーンクランク(高回転化とレスポンス向上に有利なクランクシャフトの構造)の採用、インテーク側カムシャフトの変更、そして新しい燃料噴射システムの搭載によって「徹底的にアップデート」されたものである。実は、先月我々が初めて試乗した新型Sクラスに非AMG仕様のパワーユニットとして先行搭載されていたのだが、アファルターバッハ(AMGの本拠地)の面々はこれをGLEとGLSのSUVモデルにも惜しみなく投入してきた。
両モデルともに新しいライトやグリル、バンパーを備えたマイナーチェンジ(フェイスリフト)を同時に受けているが、ここでの真の主役はやはりV8エンジンだ。
「我々のV8はパフォーマンスDNAの核心であり、新型GLE 63 SとGLS 63にとって理想的な心臓部だ。長年にわたり、V8は圧倒的なパフォーマンスの象徴であり、顧客の間で絶大な人気を誇ってきた」と、AMGのボスであるマイケル シーベ(最高経営責任者)は語る。
「新しいM177 EVO世代の登場により、我々はパワーユニットを根本から見直し、今後のラインナップにおける生存権を長期的に確保した。その結果、機敏なレスポンス、力強いパフォーマンス、 湧き上がるような高回転への渇望を兼ね備えつつ、世界中で厳しさを増す環境規制にも適応するエンジンが完成した」
ますます厳しくなる排ガス規制をクリアするためのあらゆる努力にもかかわらず、このV8は従来とまったく同等のパワーを維持することに成功している。つまり、これら2台の巨大なSUVはいずれも最高出力604馬力、最大トルク850Nmを発生させる。さらに、両車ともにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムを組み合わせたマイルドハイブリッド技術を採用しており、低回転域で23馬力のエクストラパワーと追加トルクを提供する。このエンジンは今後、AMGの全ラインナップに順次展開されることになるだろう。
この心臓部のおかげで、GLSは0-100km/h加速を4.2秒で駆け抜け、GLEはオーソドックスなSUV仕様であれクーペ仕様であれ、わずか3.9秒で同じ速度に到達する。新設計のフラップ制御式エキゾーストシステムのおかげで、そのサウンドも相変わらず刺激的なはずだ。
両車ともにエアサスペンションとアクティブロールスタビライザー(電子制御で車体の傾きを抑えるシステム)を装備しており、どうやら「ドライバーの運転操作と路面状況」を1秒間に最大1,000回も読み取っているらしい。当然ながら四輪駆動であり、リアには電子制御デフロックも備わる。ホイールはGLEが最大22インチ、化け物級のGLSにいたっては最大23インチという巨大さだ。
インテリアには、上質なナッパレザーで仕立てられた新しいAMG専用ステアリングホイールが鎮座し、各種ディスプレイは新しい「MB.OS」(メルセデス・ベンツ・オペレーティング・システム)で動作する。とはいえ、君たちの頭の中は今だにV8のことでいっぱいだろう?
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