ジープ初のBEV、アベンジャーで雪道も安心! 7人乗りのコマンダーと日帰りスキー旅

ジープのBEVコンパクトSUV、アベンジャーとミッドサイズSUVのコマンダーで、福島・星野リゾート ネコマ マウンテンへ。BEVとディーゼル、それぞれの個性が光る雪上走行性能を比較する。スキー場情報や、絶品ハンバーガーも必見。

らく診
&RESORT HOUSE(アンドリゾートハウス)

米国が世界に誇るSUVブランドであるJEEPは、近年、積極的な車種展開を行っており、得意のミッドSUVやラージSUVだけでなく、新感覚のコンパクトSUVも積極的に投入。さらにSUVの電動化にも熱心だ。そこで幅広いラインアップの中から、JEEP初のBEV専用モデル「アベンジャー」と7人乗りSUVのエントリーモデル「コマンダー」を雪上へと連れ立った。

コロナ禍から抜け出した今冬、各地のスキー場は雪に恵まれたこともあり、その賑わいを取り戻していると聞き、雪上走行での目的地をゲレンデに設定することにした。単に仕事のためでなく、ついでにスキーも楽しんで来ようという魂胆だ。

まずは今回の相棒となる2台について簡単に紹介したい。コンパクトSUV「アベンジャー」は、2024年9月に導入開始されたばかりのJEEP初のBEVだ。全長4105mmの取り回しやすいボディサイズとやんちゃなスタイルが魅力的。ただデジタル世代を意識した未来的なビジュアルから単なるシティSUVと思ったら、大間違いだ。オフロード走行を意識し、SUVに求められる最低地上高に加え、ディパーチャーアングル、アプローチアングル、ランプブレークオーバーアングルといった対地障害角を意識した設計となっているのだ。さらにJEEPの前輪駆動車として初となるドライビングモード「セレクテレインTM システム」と「ヒルディセントコントロール」を標準化している。最重要となる航続距離も、WLTCモード(国土交通省審査値)で486kmを確保している。

ミッドサイズSUV「コマンダー」は、全長4770mmのボディに3列7人乗りのシートレイアウトを採用。普段は、5人+広々ラゲッジスペースを活かしながら、いざというときには、3世代移動も可能となる万能SUVだ。しかも、JEEPラインアップ唯一のディーゼルエンジンを搭載。2.0L直列4気筒ターボエンジンの性能は、最高出力170ps、最大トルク350Nmを発揮する。トランスミッションも、多段式の9速ATを組み合わせるので、常にトルクフルなエンジン領域を効率よく使うことができる。また車幅も1860mmなので、日本の駐車場事情とのマッチングも良いのだ。

2台共にモノグレード展開となるため、先進安全運転支援機能を始め、ナビゲーションシステムやスマートフォンワイヤレスチャージング機能、レザーシートなどの標準装備も充実しているのも魅力的なところだ。また今回は雪上走行がメインとなるので、タイヤは、ミシュラン製スタッドレスタイヤを装着。アベンジャーが、「X-ICE SNOW」、コマンダーが「X-ICE SNOW SUV」をそれぞれ履いていた。

今回の目的地とした福島県耶麻郡磐梯町の星野リゾート ネコマ マウンテン南エリアまでは、都心から300kmほど。ディーゼルで60Lの燃料タンクを持つコマンダーは、無給油で楽々と往復できる距離である。さてアベンジャーはどうだろうか。上記にも記したが、満充電状態でならば、400kmを超える航続距離を持つ上、サービスエリアへの急速充電器の配備が進む高速道路で使って向かうスキーリゾートなら、EVでも問題はない。都心から4時間弱の移動となるので、休憩の間に急速充電を活用すれば良いのだ。

私が移動に主に使用したのは、BEVの「アベンジャー」だ。早朝の自宅からスタートするには、静かに出かけられるEVは有難い存在である。すぐに温まるシートヒーターのおかげで寒い思いもせずに済む。効率を意識してドライブモードは、ノーマルのままだが、高速道路を含め、加速力に不足はない。早朝の闇に包まれた東北道を、ひたすら北上する。乗り味も良好で静粛性も高く、EVとしての作り込みの高さを実感。だから、音量上げずともラジオからの情報もしっかりと聞き取れる。だから、JAZZやクラシックのような繊細な音楽も適度な音量で楽しめるのだ。

途中のサービスエリアで、朝食と休憩を兼ねて急速充電を利用することに。急速充電器の利用時間は、1回30分が基本なので、丁度良い時間だ。車両側の特別操作は必要なく、充電口にソケットを差し込むだけ。充電状況は、メーターパネル内にも表示されるので分かりやすい。そのサービスエリアで、トップギア編集部と合流し、コマンダーに乗り換えた。

JEEPらしいSUVの世界観を強く受け継ぐコマンダーは、兄貴分となるグランドチェロキーともデザイン的なアイコンに共通項を感じさせ、内外装もアメリカンラグジュアリーな雰囲気を持つ。乗り心地や走りもアメリカンSUVの王道を目指したもので、その点も日本や欧州のSUVとの差別化となっている。特にゆったりとした乗り味は、JEEPらしさを強く感じるところだろう。ディーゼルエンジンも多段ATの恩恵で、サウンドはしっかりと押さえられている。

東北道から磐越道に入る。トンネルを抜けると、本格的な雪国に。徐々に降雪も強くなり、路面もシャーベット状となってきたが、コマンダーは、しっかりとした安定した走りを見せる。コマンダーの4WDシステムは、燃費向上のため、路面に合わせてFFと4WDをシームレスに切り替えるが、ドライバーに意識させることなく、スムーズに駆け抜けていく。猪苗代磐梯高原インターチェンジを降りると、ネコマスキー場は目前。ただ路面は完全に雪に覆われ、雪上走行のみとなった。ブレーキ性能が多い市街地走行では、スタッドレスタイヤの真価が問われるが、安定のブレーキ制動の見せてくれた。ただミシュランの凄さは、高速を含めドライ路面でもサマータイヤと同等の性能を見せてくれること。ブレーキやコーナー、静粛性の面でもスタッドレスのネガを感じさせないのは、毎度、見事だと感心してしまう。

到着した星野リゾート ネコマ マウンテンでは、しばし、アベンジャーをテストドライブ。前輪駆動だが、圧雪路では、安定した走りを見せる。「Selec-Terrain」のスノーモードを試したが、圧雪路ならば、ノーマルモードでも大丈夫だという感触だった。試しに、やや雪の多い路面を試してみたが、その際は、スノーモードの方が、雪に捕らわれた際の脱出はしやすそう。ただ前輪駆動なので、過信は禁物。それでも除雪が行われている状況ならば、スキーエクスプレスとして問題なく、活躍してもらえることが分かった。

ネコマ マウンテンは、南エリアと北エリアに分かれており、福島県最大の33ものコースを備える巨大なスキー場だ。まずはスキー用品を借りるべく、南リゾートセンターに。同施設には、ロッカー付きの更衣室、ショップ、休憩スペース、レストラン、カフェなどを充実の設備を完備。無料のシャワールームまである。宿泊派には、「磐梯山温泉ホテル by 星野リゾート」が隣接。またスキー場の目前に、キャンピングカーでの宿泊が可能なRVパークも併設している。スキーやスノーボードなどの用具レンタルも充実。幅広いサイズ対応だけでなく、スノーボードでは、人気のBurton STEP ONを導入。さらにBurton STEP ONの最新モデルのテストまで行えるのは、スノボファンにはたまらないところ。

スキーアイテムを借り受け、乗車時間の長いリフト「アルツエクスプレス」で向かうは、中級コースを含むロングコースだ。久しぶりのスキーでは無茶な話に聞こえるだろうが、それには大きな理由があった。山の中腹にあるカフェ「The Rider’s」が目的地だからだ。同カフェでは、名物のライダースバーガーが食べられるのだが、これが星野リゾート代表の星野佳路さんが拘りの逸品なのだ。星野さんはかなりのスキー好きで、各地でスキーを楽しんでいるそう。このネコマも良く滑っているとか。以前、スキー場のカフェで出会ったハンバーガーに惚れ込んだことをきっかけに、自身のスキー場のお客さんにもおいしいハンバーガーを提供したいと研究を重ね、スタッフと共に作り上げたものだそう。そのストーリーを知れば、食べてみたくなるのも当然ではないか。

しかし、スキーのレベルが、初心者同様に戻った私にとっては、ネコマの素晴らしいパウダースノーを満喫する余裕もなく、へとへとになり、カフェに到着。そんな疲れ切った私を優しく迎えるように、巨大なハンバーガーが現れた。その味は、絶品の一言。ジューシーなパテは食感が良く、一口ごとに口の中に旨味が広がる。その濃厚な肉の旨味に負けないバンズもなかなかのものだ。さらに驚いたのが、フライドポテト。なんと脇役ではなく、ハンバーガーと共に主役を張れる味わい深いもの。フライドされた数種類のジャガイモは、ホクホクで塩味も的確。ぜひハンバーガーとセットで味わってほしいと思う。

帰路もアベンジャーと共に。実はスキーに挑戦する前に、アベンジャーを充電器に接続していた。同施設には、6kWの普通充電設備があり、有料で利用が可能。これで遊んでいる間に、充電量の回復が図れたため、帰路の急速充電も短い時間で済んだ。久しぶりのスキーで疲れ切った私には、大いに普通充電器の存在が有難かった。ロングドライブでは、急速充電を意識しがちだが、両者の活用がEVでのロングドライブでは、快適を高めることを実感できたドライブであった。
文:大音安弘 写真:佐藤亮太
取材協力:星野リゾート ネコマ マウンテン
試乗車両:
Jeep Avenger
Jeep Commander

トップギア カーオブザイヤーは何のクルマ?日本車の受賞はあるのか?:トップギア・ジャパン 065

外車限定の車買取サービス【外車バトン】
【無料】資料請求【タウンライフ土地活用】



トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2025/02/74374/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

カー・オートバイ・ミリタリー・飛行機・艦船・恐竜・ラジオコントロールカー
★★星のマークでおなじみの【TAMIYA】

ピックアップ

トップギア・ジャパン 065

アーカイブ