ジープ グランドチェロキー リミテッドで冬の海岸をめざすショートトリップ

ジープ グランドチェロキー リミテッドで、年末に海へとショートトリップを敢行。ミシュランのスタッドレスタイヤのオンロード性能を試してみよう。

【KINTO】

「冬に海が見たくなって…」と、インフルエンザならぬ厨二病にかかってしまったので、体調が万全ではないというライターのO君を引きずり出して(令和のいま、◯◯ハラで訴えられそう)、東京から富津の海岸を目指すことにした。移動に選んだのは、ジープ グランドチェロキー リミテッド(8,480,000円)。ジープ グランドチェロキーは5世代目のモデルで、日本では2022年2月から発売開始された。ジープファミリーの中で「一家の大黒柱」と表現されており、その血統を受け継ぐモデルである。このLIMITEDは2列シートの5人乗りで、LIMITED LとL SUMMIT RESERVEは3列シートで最大7人乗りとなっている。なお、LIMITEDとSUMMIT RESERVEには4xeのプラグインハイブリッドモデルも用意されており、選択肢は広い。パワートレインはLIMITEDと、LIMITEDをベースにした4xeが2.0L直列4気筒ターボ、L LIMITEDとL SUMMIT RESERVEが3.6LのV6となっている。

駐車場に停めてあるグランドチェロキーを外から見ると、まあ、デカい。そりゃそうだ、全長、全幅、全高は4,900mm、1,980mm、1,810mmだもの。現在市販されているSUVの中でも、最大級にデカいんだから。こんなにデカいの、運転できるのか?と少々不安がよぎったものの、いざ乗り込むと、視界の良さとスクエア寄りの形状のおかげで、思ったより短時間で車両感覚は身につきやすい。最小回転半径は6.0mと、Lより0.3m小さいので、こちらも想像したよりも取り回しは良かった。ただし、どの程度の角度で切り返しが必要になるかといった感覚の慣れは、フルサイズSUVの経験値によって変わってくるものだと思われる。

平日だというのに、年末の首都高は混んでいる。アクアラインを過ぎると加速性能を試せるチャンスだ。272ps、400Nmを発揮する2.0リッター4気筒ターボエンジンは、レスポンスも含めて、マイルドな加速力。8速ATと組み合わされて、ラグジュアリーSUVらしい乗り心地となっている。クォドラトラック I 4X4 システムシステムは4WD不要と判断した場合、自動で2WD(後輪駆動)に切り替えて燃料消費を抑制してくれ、トランスファーケースにより応答速度が向上しているのは、今日のようなオンロード走行にはありがたい。もちろん、ジープのSelec-Terrainシステムにより、Auto、Sport、Rock、Snow、Mud/Sandといったオフロードプリセットが利用可能。最高の乗り心地とオフロード性能、積載能力を得るには、エアサスペンションを選ぶのがおすすめだが、リミテッドは、グランドチェロキーの優れたオンロード性能とオフロード性能をコストパフォーマンス良く実現してくれるモデルだといえよう。ステアリングは、センター付近でわずかにクイックすぎる設定になっているように感じられた。そのため、スムーズな運転が必要な重量のある車に対して、過剰な入力をしてしまうことがあった。ロールは予想よりも少ないが、スムーズでないとピッチングが発生してしまう。これは、SUVでもスポーティな走りが可能であることを示そうとしているかのようだ。実際にカーブでもそれなりに走ることはできるが、グランドチェロキーには、よりリラックスしたドライビングスタイルが好ましいだろう。リミテッドは2,070kgとグランドチェロキーの中では最軽量だが、どうしても車重が重く、ピッチングやロールが発生しやすい傾向がある。アクセルを踏み込むと、わずかに不快な音を出すことがあった。

このグランドチェロキーは、ミシュラン X-ICE SNOW SUVは、SUV向けに設計された高性能スタッドレスタイヤを履いていた。新開発のコンパウンド、「EverWinterGripコンパウンド」が採用され、不均一な凹凸がタイヤ表面に生成され、氷上での水膜を効果的に破る。革新的なトレッドデザインの新世代Vシェイプトレッドパターンでエッジ効果を強化し、アイスグリップを向上させた。「性能持続性」と「ロングライフ」が強化されているので、摩耗が進んでも高い性能を維持できる。アイスブレーキング性能が従来品比で約9%、雪上ブレーキング性能が従来品比で約4%向上している。ただし、スタッドレスタイヤということで、ドライ路面では不安もあったが、X-ICE SNOW SUVでは、高いグリップ力や、高速走行時の直進安定性も優れていた。コーナーでもしっかり踏ん張ってくれ、ロードノイズやパターンノイズが抑えられ、快適性も高い。また、18インチサイズを履いていたということもあり、乗り心地がさらにマイルドになり、しなやかさも感じられ、グランドチェロキーらしさに貢献していた。これなら、降雪量の少ない地域で平日の日常使いと週末のウインタースポーツを快適にこなすことも十分可能である。

90分ほど走り、富津海岸に到着。数台しかクルマがいない冬の海も、とても気持ちが良い。まあ、とくに快晴だったこともあり、暖かい12月の年末だったこともある。砂浜には木の枝が落ちていて汚かったけれど、人がおらず、海の波の音だけしか聞こえないというのは、今年を振り返る中で、心の浄化になっているような気がした。昼時だったので、Googleマップで検索して、近場の「さざなみ」へ。富津産の海苔を使ったラーメンや白きすの天ぷら、タコの刺し身など、とてもおいしかった。会計は現金のみ。いいんだよ、そういうシンプルさが。キャッシュレスとか、店の雰囲気にも合わないし(と、昭和の現金派は思うのだった)。

帰りも混雑するといけないので、早めに帰路につく。グランドチェロキーは、内装が素晴らしい。良い意味でアメ車らしくなく、洗練されている。ジープの優れている点は、すべての技術が分かりやすく使いやすいことだ。中央のタッチスクリーンは10.1インチで、ナビがついていたが、Apple CarPlayやAndroid Autoとつなげることも可能だ。論理的なメニュー構成とグラフィックで、操作も高速になっている。必要な機能をすぐに操作できる物理ボタンも多数あり、ほとんど不満を感じることはないだろう。運転席は高く、視界は良好だ。合成皮革のシートは快適そのもの。車内空間はファミリー向けで、後部座席には空調、読書灯、ソケット、ブラインドがある。オーディオは、Alpine製プレミアムサウンドシステムでスピーカー9基とサブウーハー1基を備えており、広い室内空間を満たす音質の良さが際立った。

首都高での渋滞に見舞われながら、なんとか時間内に帰ってくることができ、ショートトリップは終了し、厨二病も完治していた。ジープ グランドチェロキー リミテッドは、オンロードとオフロード性能を両立させた優れたSUVだ。外から眺めても、ステアリングを握っても、セレブ感が味わえるせいか、先を急いでイライラしたりマイナスの感情を持つことが少なかった。どこかで、グランドチェロキーのような優雅な人物にならねば、と思っていたのかもしれない。そういう意味では、グランドチェロキーは、「人を育てるクルマ」なのかもしれない。

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