ブガッティのV16新型ハイパーカー、トゥールビヨンが6.3億円で250台限定完売 日本市場にも注目

2026年納車開始予定のブガッティの新型ハイパーカー、トゥールビヨンが、明治記念館で発表された。8.3リッターV16エンジンと電気モーターによる1800馬力を誇るこのモデルは、限定250台が発売と同時に完売。価格は380万ユーロ(約6.3億円)から。ブガッティの伝統と最新技術が融合したこの車は、比類なきパフォーマンスとデザインを実現している。

【KINTO】

ブガッティ トゥールビヨンの発表会が明治記念館で行われた。2004年に発表されたヴェイロン、2016年に発表されたシロンに続く、ブガッティの新たなハイパースポーツカーが、このトゥールビヨンだ。価格は380万ユーロ(6.3億円、ネット)から、限定台数の250台は完売。顧客への納車は2026年から開始予定だ。コスワースと共同開発した8.3リッター自然吸気V16エンジンを搭載し、最高出力は1,800馬力で、内燃機関からは1,000馬力、電気モーターからは800馬力を発生する。エンジンの重量はわずか252kg、レッドラインは9,000rpm。フロントアクスルに2基、リアアクスルに1基の合計3基の電気モーターを搭載している。電気モーターの最高出力は合計800馬力、回転数は最大24,000rpm、電気モーターとインバーターを含むe-アクスルの出力密度は、1kgあたり6kW以上で、25kWhの油冷式800Vバッテリーをセンタートンネルと後部座席の後ろに搭載している。電気のみでの航続距離は60km以上だ。四輪駆動で、トランスミッションは新開発の8速デュアルクラッチギアボックス。新開発のT800カーボンコンポジット製シャシーを用いて、バッテリーをモノコックの構造部品として統合した。モータースポーツから着想を得た、前例のないクラッシュコンポジットリアディフューザーが使われている。フロントとリアにアルミニウム製のマルチリンクサスペンションを採用。シロンのダブルウィッシュボーン式スチール製サスペンションから変更された。ブレーキは最先端のカーボセラミック技術を採用、タイヤはミシュラン Pilot Cup Sport 2タイヤ(フロント:285/35 R20、リア:345/30 R21)となっている。もっと詳しく知りたいという人は、トップギアの日本語字幕動画を参照してほしい。

当日は本社から、プレジデントのクリストフ ピオション氏、ヨーロッパ・リージョナルダイレクターのギー・クラクラン氏、ヘッドオブ・エクステリアデザインのジャン シュミッド氏、ヘッドオブ・コミュニケーションのニコル オウガ―氏、アジア中東リージョンマネージャーのコンスタンティノス プサリス氏と、大勢がこのトゥールビヨンの日本公開に駆けつけた。まず、プレジデントであるクリストフ ピオション氏がブガッティの歴史と日本市場の重要性について語った。「ブガッティは115年以上にわたり、自動車業界の頂点に君臨してきました。日本はハイパフォーマンスと最先端技術に対する愛情が深い、自動車文化と市場を持つ国です。日本には世界で最も技術的に進んだ企業がいくつかあり、日本の顧客はヨーロッパのブランド、特に排他性、希少性、革新性を象徴するブランドを高く評価しています。ブガッティは、日本のお客様に特別な体験を提供することに力を入れていきます」

「ブガッティは、シロン時代の終わりに、ブランドのDNAの中核を見直し、新たな時代のインスピレーションを得ました。エットーレ ブガッティの言葉「もし比較できるものがあれば、それはもはやブガッティではない」を基本理念として、トゥールビヨンを開発しました。トゥールビヨンは、6月にフランスのモルスハイムにあるブガッティ本社で世界初公開され、大きな反響を呼びました。ブガッティ史上最も話題になった車の発売となり、主要な出版物やソーシャルメディアアカウントで話題になりました。V16ハイブリッドパワートレイン、スイスの時計メーカーからインスピレーションを得たダイヤル、高度な空力とシャシーの開発により、比類のない美しいものを作り上げました。すべてのお客様からの反響は素晴らしく、わずか数週間ですべて完売したのです」

その後、ヘッドオブ・エクステリアデザインであるジャン シュミッド氏が、ブガッティのデザイン哲学とトゥールビヨンのデザインの特徴について説明を行った。

新しい車をデザインする際には、常にブガッティの創業者や過去の象徴的な車からインスピレーションを得ている。タイプ 35のスピードと敏捷性、ロワイヤルのパワーとラグジュアリー、タイプ 57SCの美しさとエレガンスなど、過去のモデルから学び、進化させているのだ。進歩を追求しながらも、感情的な要素を犠牲にすることはない。トゥールビヨンのデザインの特徴としては、ブガッティのDNAである「形は性能に従う」という原則に基づき、機能性を重視したデザインを採用している。例えば、センターラインはアトランティックのボディの中央をリベットで接合していたことから着想を得ている。また、ツートンカラー、馬蹄形グリル、ブガッティラインなど、象徴的な要素を融合させている。パフォーマンスを重視したデザインは、車の外観だけでなく、内装にも反映されているのだ。トゥールビヨンのデザインにおける持続可能性として、20年、50年、100年先も価値を持ち続ける車を目指してデザインされていることが挙げられる。世界中の愛好家に長く楽しまれるために、時代を超越したデザイン要素と素材を採用している。特に、過去の象徴的なモデルからインスピレーションを得ながらも、現代的な解釈を加え、進化させている点が強調されていた。また、長く愛される車を目指し、時代を超越したデザインと素材を採用している点も重要なポイントだ。

そして、実車を見ながら、シュミッド氏によるデザイン解説が続いた。ブガッティのデザインは、パフォーマンスを最優先に考えて行われている。空気の流れを最適化することで、高速走行時の安定性と冷却効率を向上させている。その結果、美しいだけでなく、機能的にも優れたデザインが生まれるという。トゥールビヨンのエクステリアデザインの特徴として、まずはフロント部分。ホースシューグリルは、ブガッティの象徴的なデザイン要素であり、トゥールビヨンでも受け継がれている。新たに採用された「フライングフェンダー」は、ヘッドライトの下を通る空気の流れを最適化し、エンジンへの空気供給を向上させている。スリムなヘッドライトは、空気抵抗を減らすとともに、精悍な印象を与えている。サイドでは、トゥールビヨンの車高は、シロンよりも33mm低くなっている。インテリアスペースを犠牲にすることなく、車高を下げることで、空気抵抗を減らし、高速走行時の安定性を向上させている。ブガッティラインは、フロントに向かってより傾斜した角度になり、静止状態でも前進するような印象を与えている。そして、リアでは、大型のディフューザーが目を引く。V16エンジンは、W16クワッドターボエンジンよりも幅が狭いため、長く背の高いディフューザーチャネルを設けることができた。これにより、高速走行時の空力バランスが向上し、リアウィングを展開する必要性を減らしている。ディフューザーには、新しい特許技術であるクラッシュストラクチャーが統合されており、安全性を確保しながらも、ユニークなリアビューを実現している。

シュミッド氏に伺った。
―機械式時計へのこだわりについて
10年前の車が古く見えるようにしたくなかったため、時代を超越したデザインを目指しました。デジタルではなく、あえて機械式時計を採用したのは、運転体験に集中してほしいという思いからです。ブガッティのデザインは、形は性能に従うというバウハウスの哲学に基づいています。車に凝った要素を入れることで、新しさと特別感が増すと考えています。

―シロンとの共通点と差異について
シロンから部品やエンジニアリング、設計はすべて進化しています。デザインのDNAに関しては、ホースシューグリルは幅が広くなり、全体的な寸法やパッケージングは似ています。
トゥールビヨンはシロンよりも前傾姿勢で、よりアスレチックで力強さを強調したデザインになっています。ブガッティのDNAを継承しつつ、常に一歩一歩前進していくというアプローチを取っています。

―カラーリングと素材へのこだわり
カラーと素材のチームは、ブランドにとって正しいもの、モデルごとに最適なものを常に考えています。お客様に愛されている色はそのまま継承し、新色も開発しています。トゥールビヨンには、ジャン ブガッティが作ったアトランティークのコンセプトからインスピレーションを得た色を使用しています。アスレチックで筋肉質なボディデザインには、エレガントさを引き立てる色を選びました。

―ターゲット顧客
既存のブガッティのお客様に響くものであると同時に、まだブガッティファミリーの一員ではない方にも求められるものを目指しました。
―デザインで気に入っている部分
リアエンドのデザインが好きで、シロンよりも力強く、官能的でエレガントな彫刻的な面があると考えています。サイドビューも気に入っており、自信に満ち溢れていると感じています。ドアが開いているときは、700以上の部品からなるインテリアの時計が見どころです。この時計は、スイスの時計メーカーに依頼して作ってもらいました。Concepto Watch Factoryという社名で、特殊なメカトロニクス式インストゥルメントクラスター(計器盤)の独占的なサプライヤー、開発者、製造者としてパートナーシップを結びました。ブガッティ専用の時計機構となり、ロゴは入っていません。

プレジデントのクリストフ ピオション氏に伺った。
―ブガッティとリマックの協業によって変化したこと
ブガッティとリマックの協業により、それぞれの強みを生かした車作りが可能になりました。リマックの電気パワートレインに関する知識と、ブガッティの高級車製造の経験を組み合わせることで、トゥールビヨンは誕生しました。新しい体制では、意思決定がより柔軟かつ迅速になり、開発が加速しました。

―トゥールビヨンの限定販売台数が250台に設定された理由
これは、ブガッティのブランド価値である exclusivity(特別感)を維持するためです。過去には、販売台数を当初の予定よりも増やしたモデルもありましたが、トゥールビヨンは250台限定を堅持しました。380万ユーロ(6.3億円)という高価格も、限定販売台数を決定する要因となりました。結果として、数週間で完売となり、250台限定という決断は正しかったことが証明されました。
―ブランド認知度向上と、顧客との関係
トゥールビヨンの発表後、48時間で10億回以上の再生回数を記録しました。これは、ブガッティブランドの高い認知度と、世界中のファンからの注目を示しています。ブガッティは、高額な車を所有できない人々にも広く知られているブランドです。トゥールビヨンの顧客の多くは、既存のブガッティ顧客です。6月の発表以前から、顧客向けにプライベートプレビューを実施しました。顧客との緊密な関係により、発表と同時に多くの注文を獲得することができました。

ブガッティ トゥールビヨンは、日本でブガッティ東京が取り扱いを行っている。興味のある人は問い合わせを。

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