アストンマーティンがル マン24時間でVantage GT3の初勝利を狙う ヴァルキリー AMR-LMHデビューへのカウントダウンも開始

アストンマーティンがル マン24時間の新設LMGT3クラスでVantage GT3初勝利を狙う。D’station Racingは、新型Vantage GT3での国際レース初優勝を果たした前戦に続く連勝を狙う。2025年ル・マンでのValkyrie AMR-LMHデビューへのカウントダウン開始。


アストンマーティンの新型Vantage GT3は、今週末(6月15日、16日)に開催される世界で最も有名な耐久レース ル・マン24時間レースでのデビュー戦に挑む。ウルトラ・ラグジュアリー・スポーツカーのブリティッシュ・ブランドであるアストンマーティンにとって20回目となるクラス優勝を狙っている。

フランス中部で24時間にわたって繰り広げられるレースには、2台のアストンマーティンVantage GT3が出場す。Vantage GT3は、今年初めにシルバーストンで初公開された新型ロードカーのVantageと同じ機械的アーキテクチャを採用し、アストンマーティンの実績ある接着アルミシャシーを中心に組み立てられ、4.0リッター、V8ツインターボエンジンを動力源としている。2台のVantage GT3は、アストンマーティンが2025年にValkyrie AMR-LMHでトップクラスに復帰するための土台を築くべく、2024年新設のLMGT3カテゴリーに出場する。

ル・マンでアストンマーティンの名を背負うのは、FIA世界耐久選手権 [WEC] のパートナーチームである日本のD’station Racingと米国のHeart of Racingだ。世界舞台の最高峰レースであるル・マンには今回、過去最高の9社のGTマニュファクチャラーが参戦する。

D’station Racingは、今月初めに鈴鹿にて開催されたSUPER GTのGT300クラスで藤井誠暢(日本)とチャーリー・ファグ(英国)が新型アストンマーティンVantage GT3初の国際レース優勝を勝ち取るという、歴史に残る快挙を成し遂げた。今回藤井誠暢は、マネージングディレクターとして、アストンマーティンのワークスドライバーでFIA世界耐久選手権では3度チャンピオンに輝き2022年ル・マンではクラス優勝を果たしているマルコ・ソーレンセン(デンマーク)が率いるチームを統括する。

ソーレンセンが#777でのレースを共にするのは、今回ル・マン初参戦となる、GT4ヨーロピアンシリーズとGTフランスシリーズ両方のタイトルを獲得したエルワン・バスタード(フランス)と、昨シーズン最終戦のバーレーン8時間レースで2位に入って以来のFIA WEC参戦となるチーム代表の星野敏(日本)だ。

2025年にハイパーカークラスでアストンマーティンのワークスカーValkyrie AMR-LMHを走らせるHeart of Racingは、#27のVantageでWECシーズン開幕戦のカタール1812kmレース2位という最高成績で新たなLMGT3時代のスタートを切った。ラ・サルトでは、昨年のル・マン初参戦での6位を超える成績を狙いる。チームのドライバー戦力の中心となるのはチーム代表のイアン・ジェームス(英国)で、シングルシーターのチャンピオン経験者ダニエル・マンチネッリ(イタリア)とIMSA優勝経験者のアレックス・リベラス(スペイン)が共に戦っている。

重要なことに、FIA世界耐久選手権第4戦のル・マンは、その長さと難易度からダブルポイント制を採用。つまり、ル・マンは、現在チーム順位3位と5位につけているHeart of RacingとD’station Racingにとってシーズンのヨーロッパ戦終了時点のスタンディングでトップに躍り出るチャンスだ。

アストンマーティンの耐久レースの歴史は、ル・マンと切っても切り離せない関係にある。ロバート・バンフォードとライオネル・マーティンが創業してからわずか15年後の1928年には、ラ・サルトのレースにAM415「International」が2台出場した。3年後、アウグストゥス・チェザーレ・ベルテッリとモーリス・ハーヴェイがInternationalで1.5リッタークラス優勝し、初勝利を挙げた。1932年と1933年にもクラス優勝を果たしている。30年代にはUlsterがさらに2度の勝利を収め、第二次世界大戦前の時代、アストンマーティンはル・マンを代表するマニュファクチャラーのひとつとなっていた。

1940年から1948年、ヨーロッパが第二次世界大戦に見舞われる中でレースも中断されしたが、1949年に再開されるとアストンマーティンも参戦し、1950年代にかけて3リッタークラスを独占した。1951年にはDB2が1位、2位、3位となり、6度クラス優勝をしている。この全盛期は、1959年のキャロル・シェルビーとロイ・サルヴァドーリのDBR1の輝かしい総合優勝で頂点を極めることになる。アストンマーティンが、レース界の伝説的なスターたちが集まることで知られるようになったのもこの頃だ。アストンマーティンでル・マンを戦った数多くの名ドライバーには、ジム・クラーク、サー・スターリング・モス、ピーター・コリンズ、サー・ジャック・ブラバム、シェルビー、サルヴァドーリ、トニー・ブルックス、フィル・ヒル、サー・ジョン・サーティース、イネス・アイルランド、グラハム・ヒル、ブルース・マクラーレンなどが名を連ねる。

今世紀に入り、アストンマーティンは再び真の偉大なGTマニュファクチャラーのひとつとして台頭している。2006年にレースに復帰してGT1クラスの表彰台を獲得すると、2007年にはダレン・ターナー、リカルド・リデル、デビッド・ブラバムが、強大なパワーを誇るV12を搭載したDBR9でコルベットを抑えて圧勝した。アストンマーティンは、翌年も再び優勝を手にする。

2012年にWEC時代が幕を開けると、アストンマーティンはVantageで5回のクラス優勝を勝ち取る。まずは2014年にV8 Vantage GTEでニッキ・ティーム、クリスティアン・ポウルセン、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンというデンマーク組でGTE Amクラス優勝を達成し、次に2017年にジョニー・アダム(英国)が最終ラップでライバルのコルベットを華麗に追い抜いて、チームメイトのターナー(15回の出走。3回の優勝、とアストンマーティンの中でル・マンで最も成功を収めたドライバー)、ダニエル・セラ(ブラジル)と共に劇的なGTE Pro優勝を勝ち取った。

Vantage GTEがル・マンにデビューしたのは2018年で、2020年に鮮やかなダブルクラス優勝を飾った。アレックス・リン(英国)、マキシム・マルタン(ベルギー)、ハリー・ティンクネル(英国)は従来の日曜朝のブレーキ交換のためのピットインを行わない戦略でフェラーリに対し大勝を収め、もう一方のTF Sportはサリ・ヨルック(トルコ)、アダム、イーストウッドがGTE Amを制した。TF Sportは世界選手権タイトルを獲得した2022年にも、ベン・キーティング(米国)、エンリケ・シャヴェス(ポルトガル)、ソーレンセン組が優勝している。

アストンマーティンの53回目の出場でもあった昨年の100周年大会での表彰台獲得と同時にル・マンにおけるGTE時代は幕を閉じ、新しいLMGT3カテゴリーの夜明けへとファンを導いていくる。Vantage GT3は、ル・マンで競ってきた28台のアストンマーティンのシャシーとエンジンの集大成だ。アストンマーティンにこれほどまで数多くの成功をもたらし、アストンマーティンのDNAがレースの本質そのものから作り出されていることを揺るぎなく証明し続けたサーキットは、ル・マンをおいてほかにはあらない。

耐久モータースポーツ責任者のアダム・カーターは次のように述べている。「ル・マン24時間レースは、モータースポーツの中でも最もアイコニックなレースのひとつであり、アストンマーティンのレースの歴史と切り離せない関係にあるのも当然なことです。2025年にハイパーカーのValkyrie AMR-LMHでトップクラスへの復帰の準備を進めていく一方で、今年は2つの素晴らしいパートナーチーム、D’station RacingとHeart of Racingが新型Vantage GT3をル・マンにデビューさせてくれます。これ自体が極めて重大な出来事です。今回はアストンマーティンのル・マン出場54回目の大会になりますが、これまでを通して学んだのは、純粋なスピード勝負だけではこのレースを制することはできないということです。パフォーマンスも粘り強い技術力も必要ですし、不屈の精神も少なからず求められます。この名高いレースで20回目のクラス優勝を目指して戦う中で、アストンマーティンはこのすべてを発揮できるよう、力を尽くしていきます」

今年のル・マンLMGT3クラスの出場台数は23台と、WECの今シーズン最大の台数になっている。競技は2週末にわたって開催され、公開車検と公式テストは6月8日と9日に実施された。練習と予選は水曜日と木曜日、レースは6月15日中央ヨーロッパ時間15:00 に開始される。

ブガッティ ボリード/ケータハム プロジェクトVの真実/日本のDAMD/プリウス:トップギア・ジャパン 061





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