マクラーレンのPHEV、アルトゥーラにスパイダーが登場 新色のTokyo Cyanは日本市場重視の象徴

マクラーレンのPHEV、アルトゥーラにスパイダーが登場し、新規オープンのマクラーレン横浜で発表会が行われた。新色のTokyo Cyanは日本市場重視の象徴だ。

オープンしたばかりのマクラーレン横浜で、アルトゥーラ スパイダーの発表会が行われた。マクラーレン・オートモーティブ、チーフ セールス&マーケティング・オフィサー、ジョージ ビッグス氏、APAC・中国担当 マネージング・ディレクターのポール・ハリス氏も来日し、祝福の辞を述べた。また日本代表の正本嘉宏氏によるプレゼンテーションが行われた。

ビッグス氏は次のように挨拶を述べた。
「本日はわが社の新しいショールームでラインナップの最新モデルをご紹介できることを嬉しく思います。アジア太平洋地域は当社事業の重要な部分となっており、現在、世界販売の約30%を占めています。また、日本が同地域でナンバーワンの市場であり、たいへん重要となっています。アルトゥーラ スパイダーは、マクラーレンのエンジニアリングと先駆的精神を体現した、最高に刺激的なハイブリッドモデルとなっています。ルーフを開けて、富士山の周辺の道を走る、あるいは、東京の街中を楽しむかに関わらず、オープンエアードライビングの体験をマクラーレンの先駆的テクノロジーと融合できるファンタスティックな方法となるのです。さらに、EVモードで走れることで、都市生活にも最適です。また、サーキットでも十分な能力を発揮します。アルトゥーラ スパイダーは、世界中から素晴らしい反応を得ており、特に日本でも同様です。本年第4四半期に出荷を予定しており、今年後半にはお客様の手に届く予定です」

アルトゥーラ スパイダーは、マクラーレンが10年の間に培った素材技術と開発力を結集させ、次世代のスーパーカーのあるべき姿を作り上げたアルトゥーラをベースとしている。価格は3,650万円。アルトゥーラ スパイダーは、先進のハイブリッドテクノロジーを搭載した新世代のアルトゥーラをベースに、最高のオープンエアモータリングを実現している。エアロダイナミクス、ドライビングエンジニア リング、軽量化技術など最新のテクノロジーを積極的に採用した結果生み出された。

マクラーレンは、ハイブリッド技術において長い歴史を持っている。11年前の2013年にはハイブリッドハイパーカー、P1を発売し、2019年には最高速度403km/hを誇るハイパーGT、スピードテールを導入した。ハードウェアとしてのハイブリッド技術だけでなく、スピードテールでは非接触充電などの新しい技術も導入し、様々な試験を行ってきた。

このように、知識と経験を集約して最新の技術を取り入れ、スーパーハイブリッド ハイパフォーマンスシステムを開発してきた。このハイブリッドシステムはスーパーカーの高性能とハイブリッドの重量増加という、相反する要素を組み合わせる難しい挑戦である。しかし、マクラーレンは軽量化技術を活用して、重量の増加を抑えつつ、最高のパフォーマンスを実現している。

そのために開発されたのが最新のカーボンファイバープラットフォーム、MCLA(マクラーレン カーボン ファイバー ライトウェイト アーキテクチャ)である。従来からのカーボンファイバーテクノロジーはマクラーレンのコアコンピタンスであり、軽量かつ強靭であるプラットフォームがアルトゥーラのために開発された。このプラットフォームは軽量化と剛性の向上、安全性の向上を実現している。

また、電子系の技術革新も行われ、イーサネットを採用した最新のアーキテクチャにより従来のワイヤリングシステムを25%削減した。この軽量化と、最新の安全運転支援システム(ADAS)により、先進的でインテリジェントなマイクロリフトカーが実現されたというわけだ。

アルトゥーラ スパイダーの特徴であるリトラクタブルハードトップは、11秒で開閉が可能で、50km/hまでの速度で開閉できるから、天候の急な変化やドライブの気分に応じて柔軟に対応できる。さらに、オプションでエレクトロクロニックルーフを選択することで、サンシェードとして機能する自動グラスルーフを楽しむことができる。

アルトゥーラ スパイダーは単にクーペのルーフをリトラクタブルルーフに変更しただけじゃないかと思われがちだが、実際にはそうではない。このスパイダーの開発にあたって、アルトゥーラというモデル全体を見直し、進化させた。

まず、エンジンに関する進化が挙げられる。アルトゥーラ用に新開発されたユニークな120度のV6、3.0リッターエンジンは、馬力が従来の680馬力から700馬力に強化された。さらにエンジン単体の出力も従来の585馬力から20馬力アップし、605馬力となった。

この結果、1リッターあたりの最高出力が200馬力を超える高効率ハイパワーエンジンに進化した。このエンジンの進化により、アルトゥーラ スパイダーはさらなる高性能と効率を実現している。

アルトゥーラ スパイダーは、モーターとの組み合わせによってEV走行可能距離が若干伸びている。また、最高出力700馬力、リッターあたり200馬力を発揮するエンジンと、重量が1,500kg未満のスパイダーであるため、今までに類を見ないオープンエアモータリングを楽しむことができる。

このエンジンに組み合わされているのが、アルトゥーラ用に新開発された圧縮シームレスシフトギアボックスである。このギアボックスはさらに改良され、プリフィルファンクションを導入して、シフトスピードを25%向上させた。具体的には、クラッチの油圧を事前に高めることで、ドライバーがペダルを押した瞬間に素早いシフトチェンジが可能となる。この結果、ドライバーの意図に即したシームレスなドライビングが実現される。

このパワーアップしたエンジンと改良されたギアボックスの組み合わせにより、アルトゥーラ スパイダーはクーペと同様に0-100km/hの加速がわずか3秒で可能となり、最高速度は330km/hに達するハイパフォーマンスなスパイダーとなっているのだ。

マクラーレンはドライバーズエンゲージメントにこだわりを持っており、アルトゥーラ スパイダーにおいてもその点が強調されている。車にはプロアクティブダンピングコントロールという先進の技術がサスペンションに搭載されている。この技術のソフトウェアアルゴリズムは改良され、レスポンスが最大90%向上している。これにより、様々な路面環境に対してタイヤが常に追従するようなサスペンションが実現されている。

さらに、エンジンの搭載部分であるブッシュを改良することで、ボディとエンジンとの一体感が向上し、コーナーリングスピードとコーナーリングの安定性が強化されている。これにより、ドライバーが気持ちのよいドライビングを楽しむことができる、マクラーレンらしい研ぎ澄まされたドライバーズエンゲージメントを提供する車に仕上がっている。

また、エグゾーストの音を楽しむための改良が加えられている。エグゾーストシステムにはバルブが追加され、高回転に向かうとクレッシェンド効果と呼ばれる劇的なエグゾーストサウンドをオープンで楽しむことができる設定に変更されている。

続いて、デザインについて。マクラーレンのデザインポリシーの一つである”Everything for a reason”は、「すべてのデザインには理由がある」という考え方だ。スーパーカーのデザインは単に見た目をかっこよくするだけではなく、機能に裏打ちされた良いデザインで構成されているのがマクラーレンの特徴である。

アルトゥーラ スパイダーの導入にあたり、2つの主要なデザインのハイライト要素がある。まず1つ目はCピラーのデザインだ。従来のスパイダーモデルでは、アルミのボディの場合、ボディ剛性を保つためにルーフを含めて補強が必要だったため、ピラーを太くする必要があった。その結果、視界が悪くなる問題が生じていた。しかし、アルトゥーラ スパイダーでは、カーボンモノコックによってボディ剛性を確保しているため、ピラーを極限まで薄くすることが可能になっている。具体的には、ポリカーボネート製のCピラーが透明化され、ドライバーの視界を確保し、リアクォーターの安全性を向上させている。

2つ目のハイライトはリアのデザインだ。リトラクタブルハードトップを収納するスペースを確保しつつ、エンジンの排熱効率を考慮する必要がある。そのため、煙突状のダクトを後ろに移動させ、専用のエアインテークとアウトレットをそれぞれ4箇所ずつ配置している。これらのデザインは全て機能に裏打ちされたもので、効率的な排熱とパフォーマンスを実現している。

アルトゥーラ スパイダーの車載エレクトロニックシステムの改良により、多くの新しい機能が追加されている。この車では先進運転支援システム、いわゆるA-DASシステムが様々な機能を提供している。従来のアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、トラフィックサイン認識などの機能に加えて、新たにブラインドスポットモニタリングとリアトラフィックアラートの2つの機能が搭載された。

スーパーカーでありながら、これらの便利な装備や安全装備を積極的に採用していることが特徴だ。ただ走行性能を楽しむだけでなく、ドライバーが快適かつ安全に運転を楽しめるように配慮されている。アルトゥーラ スパイダーは、こうした先進的なシステムとデザインを組み合わせたスーパーカーとして、より優れたドライビングエクスペリエンスを提供する。

アルトゥーラ スパイダーはオープンエアモータリングを楽しむためにデザインされたスーパーカーであり、ライフスタイルに重きを置いたカラー設定も特徴の一つだ。新しいカラーを含むスタンダードカラー5色と38色のカラーパレットが用意されており、豊富な選択肢が提供されている。

スパイダーはハイブリッドスーパースポーツのオープンカーでありながら非常に軽量であり、その軽さが高い俊敏性と加速性能を実現している。顧客には3年のメンテナンスパックと5年の車両保証、6年のバッテリー保証が提供されており、包括的なサービスにより安心して車を楽しむことができる。

アルトゥーラ スパイダーは次世代のスーパーカーの理想的なオープンエアモータリングを提供している。電気モードでのノイズレスかつハイスピードなドライビングエクスペリエンスを楽しめる最高のスパイダーに仕上がっていると、自信を見せた。

正本氏に伺った。
―アルトゥーラ スパイダーの日本での評判はいかがでしょうか?
2月27日にプロダクトの発表をしてから本格的に営業活動を開始したのですが、既に事前のお客様からの予約は相当数いただいております。おかげさまでお客様の評判も上々でして、良いスタートが切れたと感じております。

―新色のボディカラーでTokyo Cyan(東京シアン)という色があったのですが、日本限定の色なのでしょうか?
残念ながら日本専用ではございません。ただ、本国の方のデザインチームが、先ほどのジョージの説明にもありましたけれども、日本というのは極めて重要なマーケットであり、そしてまたユニークなマーケットでもあると認識しています。その象徴的な色ということで、東京の夜景といいますか、沈みゆく陽の部分をイメージしながら作ったのがTokyo Cyanという色だと聞いております。

Tokyo Cyanの採用は、マクラーレンの中で、日本市場が重要視されている証左でもあるだろう。アルトゥーラ スパイダーの健闘を期待したい。

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