書評:日本のオート三輪車史 日本の自動車史に欠かせないオート三輪とはどんなクルマ?

書評コーナーは、日本のオート三輪車史を紹介。日本の自動車史に欠かせないオート三輪とはどんなクルマ?

高度成長を支えた三輪自動車、“オート三輪”。戦前から日本独特の進化を遂げ、各社が参入し、技術を向上させてゆくその変遷を多くの図版とともに詳細に伝える一冊だ。

日本の高度成長期に、懸命に働く人々のエネルギーを象徴する輸送機関であったオート三輪車は、廉価で積載量を多くするという要望に応えるべく、参入メーカーそれぞれの個性に応じて、進化を重ねていった。

本書では、ダイハツ、マツダ、くろがね、ヂャイアント、オリエント、サンカー、アキツを中心として、戦前の動向を踏まえて詳細に紹介する。巻末には三輪自動車に関する生産・届出台数、登場する車種の主要索引などを収録。

そもそもオート三輪といってもほとんどの読者は知らないだろう。しかし、マツダに例えると、最初はオートバイでスタートしたのち、市場の急激な伸びが期待できるオート三輪に目を向け、1929年の終わりごろから市場調査や開発に着手。当時の四輪車よりもはるかに低価格であるだけでなく、当時は荷物の運搬などの輸送機関としての需要が高いことから、1931年にマツダ号DA型を発売。その後改良を加えて行きながら、戦後においては大型の三輪トラックなども生産し一大メーカーへと成長していった、その礎ともいえるのである。

こういったことは三菱なども同様だった。本書はなぜオート三輪が注目されたのかを当時の市場を鑑みながら解説。そして、中心となった各メーカーごとに車両の解説などが記されたものである。

※本書は2021年刊行の『日本のオート三輪車史』のカバーデザインを、関連書である2023年7月刊行の『小型・軽トラック年代記』と統一することで、愛蔵する楽しみにも適した新装版だ。(内田俊一)

日本のオート三輪車史 [新装版]
編者:GP企画センター
発行:グランプリ出版
定価:2200円
ISBN978-4-87687-408-8

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