書評コーナーは、自動車のサスペンション <新装版> 構造・理論・評価。サスペンションとは何か、専門家自らが解説。
ショックアブソーバの専門メーカーである、カヤバの開発者自らが、サスペンションを広範囲にわたり解説する価値ある書籍だ。
リンクやばね、スタビライザー、ショックアブソーバ、ブッシュなどにより構成され、乗心地や操縦性・安定性を高度なレベルで成立させているサスペンションは、様々な部品が互いに密接に関連し合って形成されている。その開発者自らがその構造、基礎理論、要素部品から電子制御サスペンションに至るまで、その詳細を多数の図版とともにわかりやすく紹介している。
さすがにカヤバの開発者が手掛けている書籍ということもあり、その内容は専門的で、かつ、多岐にわたっている。当然物理の法則など学校で習ったような内容や数式も出て来るが、実はそれだけが重要なのではなく、それぞれのサスペンション形式が実際にどういう特徴があり、その働きに対してどういうメリット、デメリットがあるかを知ることが重要なのだ。そこから見えてくるのは、カタログに書かれているサスペンション形式から、そのクルマのある程度の性格や走りだ。さらにシトロエンが長らく採用していたハイドロニューマチックなどにも触れられているので、俯瞰的にサスペンションというものを知るのにはうってつけの一冊といえる。
本書は『自動車のサスペンション 構造・理論・評価』(KYB株式会社編、2013年10月25日発行)の内容はそのままに、編者の会社名表記を変更。さらに製本方法をページが180度近くまで開き、強度に優れた「PUR製本」に改め、読者の利便性を向上させた新装版だ。(内田俊一)
自動車のサスペンション <新装版> 構造・理論・評価
編者:カヤバ株式会社 編
発行:グランプリ出版
定価:3,300円
ISBN978-4-87687-413-2
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