カタログ値を超える抜群の燃費
うららかな春の日、「輸入車No.1の低燃費モデル ルノー ルーテシアで800km彼方の日本のフランスを目指す メディア対抗ルノー ルーテシア E-TECH FULL HYBRID燃費チャレンジ」に参加してきた。スタート地点は、横浜の日産本社。そこから800km先の愛媛県松山市にある萬翠荘を目指す、というもの。萬翠荘は1922年に建設されたフランス・ルネサンス様式の洋館で、国の重要文化財に指定されている。基本無給油で、ルートは自由に設定していいということだった。タンク容量は42Lということなので、25km/Lで計算しても1,000km以上走れるので、計算上は無給油でも大丈夫そうだが、カタログ燃費が出せるかどうかわからないし、余裕はあまりなさそうだ。詳細を聞いてみると、到着地点での平均燃費で競い、ガソリン不足になったら、給油してOK、とのことだった。
わがトップギア・ジャパンチームは2名で参加。厳密なことを言えば、重量を軽くするために1名の方がいいのかもしれない。だが、800km休みなく運転はさすがに疲れるので、交代制にすることを選択した。カーナビは自分のAndroid スマホをつないでAndroid Autoを利用した。じつはこの利用法は初めてだったのだが、ナビ使用では思ったよりギガを食わない。800km分使用して、600MBくらいだった。ドライブモードはもちろんEcoに、そしてメーターの平均燃費の数値とにらめっこしながら走り出す。こちらはkm/L表示ではなく、L/100km表示だ。エンジンを切ると、Ecoモードが解除されるので、再始動の場合は、都度Ecoに設定しないとならない。走り出しは3.6L/100km(27.8km/L)で、すでにこの時点でWLTCの25.2km/Lを超えていた。
東名に入るとどんどん数値が下がっていき、3.3L/100km(30.3km/L)、3.2L/100km(31.3km/L)、そして3.1L/100km(32.3km/L)…。とても嬉しい。2.9L/100km(34.5km/L)が出せないかといろいろと工夫してみたのだが、結果は3.1L/100kmが最低値となった。工夫とは例えば、高低のある道は選ばない、アダプティブクルーズコントロールとレーンセンタリングアシスト、EVモードを使ってコントロールする、それから、抵抗を抑えるため大型トラックの後ろにつくなど。燃費にフォーカスした走りというのは、実はこれまでやったことがなかったが、こういった数値の見える化によって、もっと上を目指したくなる気持ちが少しわかった。そして、自身の意識変化にも驚かされた。これまでは、自分のクルマの前に入られると、多少なりともイライラしたり、入られないよう、車間を詰め気味にしたりしていたが、今回はむしろ大型トラック大歓迎だし、追い越し車線のクルマにバンバン抜かれても何も感じなくなっていた。とにかく1.6L 4気筒自然吸気エンジン+E-モーター+HSGというパワートレインに、F1の技術を応用した電子制御ドッグクラッチ マルチモードATを組み合わせたこのクルマが最高の燃費パフォーマンスを出すためにどうしたら良いのか、試行錯誤する道中だった。
昼食は日本坂PA、午後の休憩を新名神の土山SAでとった。神経を集中させているせいか、意外と疲れる。これは、ドライバー一人じゃなくて良かったと思った。この土山SAは、甲賀忍者と信楽焼のたぬきをミックスしたマスコットが置かれていて、とても楽しい雰囲気だった。ソフトクリームなどを食べながら休憩する。まあ、ここに来るまで、実は後部座席で爆睡してて、同乗者に言わせるとものすごいイビキだったらしい。後部座席で高いびきって…重役かよ。宿泊施設まであともう少し、というわけで頑張って先を急ごう。
神戸で1泊して、雄大な明石海峡大橋を渡って、淡路SAで写真を撮影。ここは大きな観覧車があって、明石海峡大橋が臨める人気スポットだ。スタバもある。時間があれば観覧車にも乗りたかったが、写真を撮影するだけにした。高松、愛媛に入ったが、ずっと高速道路だったので、あまり距離を感じない。それよりも、燃費が落ちてきてしまった。3.2L/100km(31.3km/L)から3.3L/100km(30.3km/L)と、数値が上がってしまう。とくに走り方を変えたわけではなかったが、1カウントの走行距離が伸びてくると平均燃費の分母が大きくなってくるせいか、はじめの頃のように努力をした分だけ燃費がよくなるというわけにはいかなかった。松山ICを出て、無事萬翠荘のゴールとなったが、直前で3.3L/100km(30.3km/L)から3.4L/100km(29.4km/L)に落ちてしまい、残念ながら30km/Lは超えることができなかった。だが、燃費にフォーカスした走り方が学べたし、イライラしないのんびりモードの自分が発見できたのは、大きな収穫となった。
その後は、ANAクラウンプラザホテルの日本料理 雲海で昼食となった。とくに新鮮な刺し身が美味しく、海の近くの良さを感じられた。東京だと、このレベルの刺し身を食べるには、値が張りがちだ。そして、近くの松山城を見学。リフトで途中まで登ったけれど、城内は上り下りが激しく、クルマに乗り続けてきた体には、ちょうどよい運動となった。はじめて訪れた松山市だったが、魅力を十分に味わうにはもう少し時間が必要だった。
ルノー・ジャポンは、2022 年の販売台数が、過去最高となる 8,615 台を記録し、ルノー・ジャポン設立以来初めて、販売台数で日本におけるフランスブランド No.1となった。新車販売のうち、約6分の1がE-TECHフルハイブリッドとなっており、電動化への歩みも着々と進んでいる。1泊2日を一緒に過ごしたルノー ルーテシア E-TECH FULL HYBRIDと別れるときは、ちょっと寂しい気持ちになってしまった。もちろん、今回の成績のようなカタログ値を超える燃費の良さ、快適性、パフォーマンスなど、スペック上でも申し分ないのだが、きっと、ルノーを選ぶ理由はそこだけじゃない。長く一緒に過ごすとルノーのクルマに愛着を感じる人の気持ちがわかる気がして、日本市場での販売台数No.1を獲得できたヒミツに触れられたと感じられた。