欧州コンパクトSUVの覇者、ルノー キャプチャーが劇的な進化を遂げた。大胆で上質な内外装を纏い、日本市場は全車ハイブリッドで勝負する。革新の「E-Tech フルハイブリッド」と力強い「マイルドハイブリッド」。二つの個性が織りなす走りの違いと魅力を徹底解剖する。
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ルノー キャプチャー エスプリ アルピーヌ マイルド ハイブリッド 4,090,000円
ルノー キャプチャー エスプリ アルピーヌ フルハイブリッド E-TECH 4,549,000円
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クラスを超えた上質な内外装デザイン。未来的な滑らかさのE-Techと、力強いマイルドハイブリッドという、個性の異なる走りを選べる楽しさ
イマイチ
スポーティさと引き換えに、やや硬めで突き上げが気になる足回り。特に上級グレードの19インチホイール装着車では快適性の面で好みが分かれる
ルノー キャプチャーは、その初代モデルから欧州コンパクトSUV市場の覇者として君臨してきた輝かしい歴史を持つ一台である。人生の冒険を彩る「サイクル オブ ライフ」というコンセプトを掲げた初代は市場を席巻し、2代目もその成功を確固たるものにした。そして今、現行モデルは、ルノーブランドの未来を象徴する「フューチャーアイコン」として、劇的なデザインの刷新とパワートレイン戦略の大きな転換を伴って我々の前に姿を現した。
日本市場においては、その戦略は「全車ハイブリッド」という極めて明確な形で示された。用意されるのは、独自の革新的な機構を持つ「E-Tech フルハイブリッド」と、パワーと効率をバランスさせた「マイルドハイブリッド」の二本柱である。この二台に乗る機会を得た。これらは単なる環境性能への配慮に留まらず、ルノーが標榜する「人間中心」のフィロソフィーに基づき、走りの楽しさと実用性を高次元で両立させるための回答だ。
本稿では、この二つの異なる個性を持つハイブリッドモデル、マイルドハイブリッドとE-Tech フルハイブリッドの試乗を通じて、そのデザイン、走行性能、実用性の各側面から、新型キャプチャーが我々に提示する価値を掘り下げていく。大胆な変貌を遂げたフレンチSUVは、果たして我々の心をどれほど揺さぶるのだろうか。
エクステリアとインテリア:大胆な変革と上質さの追求
エクステリア:見る者に強い印象を刻む「アサーティブ」デザイン
新型キャプチャーを前にして、まず目を奪われるのは、その表情の劇的な変化である。ミッドライフアップデートとは到底思えないほどの大胆なデザイン変更は、まさに圧巻の一言に尽きる。ルノーが「アサーティブ(際立つ)」と表現する新しいデザイン言語は、従来の曲線的で柔和なイメージから一転、水平基調のシャープでエッジの効いたラインで構成され、モダンで力強い存在感を放っている。
フロントセクションは完全に新設計された。厚みを増し、立体的なプレスラインが走るボンネットは、水平に高く構えられ、車両全体のスタンスをよりワイドに、そして低く見せる効果を生んでいる。新しいルノーのロゴマーク「ロザンジュ」を核としたフロントグリルは、ロゴを分解したような菱形のブロックパターンがポリカーボネート素材に並び、光の当たり方で表情を変える。最も印象的なのは、新しいシグネチャーとなるライト周りのデザインであろう。薄く彫り込まれたようなヘッドライトと、ロザンジュの半分をモチーフにした菱形のデイタイムランニングライトが、生命感あふれる精悍なマスクを創出している。これらは、停車時やイグニッションON時の点灯・消灯シーケンスにもこだわりが見られ、所有する喜びを細やかに演出する。リアセクションも、Cシェイプのテールランプは踏襲しつつ、レンズ内部のデザインやアンダープロテクターが変更され、フロントとの調和が図られた。この新しいエクステリアデザインは、視覚的な魅力だけでなく、旧型モデルで指摘されていた風切り音の低減といった機能的な進化も果たしている。
キャビンに乗り込むと、エクステリア同様、その劇的な品質向上に驚かされる。旧型をはるかに凌駕する上質な空間は、この車の価値を大きく引き上げている要素だ。特に上級グレードである「エスプリ アルピーヌ」の室内は、スポーティかつシックな雰囲気に満ちている。シートは、高品質なファブリックとバイオスキン(合成皮革)を組み合わせたコンビネーションタイプで、そのデザインはボルボを彷彿とさせる洗練されたものだ。適度なホールド感を持ちながら、座り心地は非常に快適である。ブルーのステッチやシートベルト、トリコロール色のタグといった細部のあしらいが、フレンチブランドらしいエスプリを感じさせる。
テクノロジーの進化も著しい。ダッシュボードの中央には、大型の10.4インチ縦型タッチスクリーンが鎮座するのは、最近のトレンドを踏まえたものだ。ドライバー側にわずかに傾けられたこのスクリーンは、Googleインフォテインメントシステムを内蔵し、鮮明なグラフィックと直感的な操作性を実現。スマートフォンのようなスムーズな操作感は、従来の車載インフォテインメントシステムとは一線を画す。さらに、全モデルに4つのUSB-Cポートとワイヤレス充電器が標準装備されるなど、現代のデジタルライフに完全対応している。
素材選びにもルノーの思想が表れている。キャビン全体でリサイクル可能な生地の使用率を高めており、トップスペックのモデルでは26%以上がリサイクル素材で構成されるという。サステナビリティへの配慮とデザイン性を両立させている点は高く評価できる。グラデーションがかったアルミ調のパネルや、48色から選べるアンビエントライト、手触りの良いタップレザーステアリングなどが、上質な室内空間を完成させている。
実用面では、合計24.7リットルにも及ぶ豊富な収納スペースが確保されている。「フローティングセンターコンソール」は、足元に広々とした収納空間を生み出している。ただし、右ハンドル仕様ではヒューズボックスの配置の都合上、グローブボックスが小さくなってしまう点は、数少ない惜しまれる点である。総じて、新型キャプチャーのデザインとキャビン品質は、このセグメントの新たなベンチマークとなりうるほどの完成度を誇る。見る者を惹きつけ、乗る者を満たす。その魅力は、価格以上の価値を感じさせるに十分だ。
新型キャプチャーの核心は、日本市場向けに用意された二つのハイブリッドパワートレインにある。どちらも「レスポンスが良く、気持ちよく発進する」という共通の美点を持ちながら、そのキャラクターは明確に異なる。
まず、フラッグシップとなるE-Tech フルハイブリッドは、ルノーの独創性が凝縮された革新的なシステムである。その構成は、1.6Lの自然吸気エンジンに、駆動を担うメインモーターと、エンジンの始動や回生、そして変速のアシストを行うハイスピルスタータージェネレーター(HSG)という二つのモーターを組み合わせたもの。これら三つの動力源を、F1の技術に着想を得た電子制御ドッグクラッチ式のマルチモードギアボックスで巧みに制御する。モーター側に2速、エンジン側に4速のギアを持ち、これらを組み合わせることで合計12速もの変速パターンを生み出し、あらゆる走行シーンで最適な効率を引き出す。走り出しはモーターによるEV走行だ。発進時から200Nmを超える強力なトルクを発生させるため、アクセルを踏み込んだ瞬間から静かで力強い、ダイレクトな加速を味わえる。街中での走行は極めてスムーズかつ静粛だ。そして、速度が上がるとエンジンが始動するが、その介入はHSGのアシストによって巧みに制御され、変速ショックはほとんど感じられない。まるで継ぎ目のない、シームレスな加速フィールは、このシステムの最大の美点と言えるだろう。
システム総合出力は143馬力と、動力性能に不足はない。高速道路での合流や追い越し加速もスムーズにこなす。そして特筆すべきは、その燃費性能である。WLTCモードで22.8km/Lという優れた数値を誇り、実燃費でもエアコンを使用するような日常的な使い方で18km/L台を記録するなど、経済性の高さは大きな魅力だ。[6][10]
しかし、この革新的なシステムにも留意すべき点はある。バッテリーの充電量が少なくなると、発電のためにエンジンが比較的高回転で始動することがあり、その際のエンジン音がやや耳障りに感じられる場面があった。また、高速巡航時はエンジン音が主体となり、そのサウンドがやや荒々しく感じられるという指摘もある。とはいえ、E-Tech フルハイブリッドが提供する滑らかで効率的な走りは、これまでのハイブリッド車の概念を覆すほどの魅力を秘めている。
一方のマイルドハイブリッドは、1.3L直列4気筒ターボエンジンに、ベルト駆動のスタータージェネレーター(BSG)を組み合わせたシステムだ。E-Tech フルハイブリッドと比較して、より「パワーがある」と評されるキャラクターを持つ。最高出力158馬力、最大トルク270Nmを発生するエンジンは、それ単体でも非常に力強い。このシステムの真価は、発進や加速といったエンジンに負荷がかかる領域で、モーターがさりげなくアシストする点にある。ターボラグを感じさせないスムーズな走り出しと、アクセル操作に対するリニアなレスポンスは、運転の楽しさを際立たせる。燃費性能は17.4km/Lと23.3km/LのE-Techフルハイブリッドには及ばないものの、「そこそこ良い」と表現されるように、パワーと燃費のバランスに優れているのが特徴だ。ガソリンエンジン車に近いダイレクトなフィーリングを好み、かつ効率性も求めるドライバーにとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。高速など、気持ちよく伸びやかに走りたい場合におすすめだ。
ハイブリッド化に伴い、サスペンションのジオメトリーやショックアブソーバーは新たに見直された。ステアリングの操舵感は、軽すぎず重すぎない絶妙な味付けで、切り込んだ際の反応も素直だ。荒れた路面でも姿勢を乱しにくく、コンパクトSUVとしては高い直進安定性を見せる。
しかし、その乗り心地については評価が分かれるところだ。特に今回試乗した19インチの大径ホイールを装着する「エスプリ アルピーヌ」グレードでは、路面からの突き上げがやや大きく、硬さが感じられる場面がある。フェイスリフトによってスポーティな味付けが強められた反面、フランス車に期待されるような、しなやかで猫足のような乗り心地とは少し趣が異なる。ネットでは、コンフォートモードを選択しても、常に細かな揺れが伝わってくるという厳しい意見も見受けられた。この乗り心地の硬さは、シャシー性能の高さを裏付けるものでもあるが、「楽しい」と手放しで賞賛できるほどの懐の深さには一歩及ばないという印象も拭えない。安定性は高いが、ドライビングプレジャーという点では、人によって好みが分かれるだろう。パワートレインの洗練度に対し、乗り心地の熟成にはまだ改善の余地があるのかもしれない。
コンパクトSUVに求められる最も重要な資質の一つが、実用性である。新型キャプチャーは、その点においても高いレベルでユーザーの期待に応える。旧型よりも全長、全幅、全高がそれぞれ拡大されたことで、室内空間はさらに広々としたものになった。前席はもちろん、後席も大人が快適に過ごせる十分なヘッドルームとレッグルームを確保している。
新型キャプチャーの実用性を象徴するのが、最大16cmも前後にスライド可能なリアシートだ。この機構により、乗車人数や荷物の量に応じて、後席の足元スペースを優先するか、荷室容量を優先するかを柔軟に選択できる。後席を一番前にスライドさせれば、コンパクトなボディサイズからは想像できないほどの広大な荷室が出現する。
ハイブリッドシステム、特にE-Tech フルハイブリッドはバッテリーをフロア下に搭載するため、荷室容量はその影響を受ける。ハイブリッドモデルの通常時の荷室容量は326リットルと、ガソリン車と比較すると小さくなる。しかし、前述のリアシートスライド機能を活用すれば、最大で440リットルまで拡大することが可能だ。さらに後席の背もたれを倒せば、最大1,276リットルという広大なフラットスペースが出現し、大きな荷物の積載にも十分対応できる。日常使いからレジャーまで、幅広いシーンで活躍する実用性を備えていると言えるだろう。
安全性能に対する妥協のなさも、新型キャプチャーの大きな特徴である。アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)やレーンセンタリングアシストといった高速道路での運転を支援する機能はもちろん、アクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)などの基本的な安全装備は標準で搭載されている。
さらに今回の改良では、複数の新機能が追加され、安全性が一層強化された。後方からの車両接近を検知し、車線変更時の接触回避をサポートする「ブラインドスポットインターベンション」。隣車線を走行する対向車との前面衝突を回避する「エマージェンシーレーンキーパーアシスト」。そして、降車時に後方から接近する自転車やバイクを検知して警告する「ドアオープニングアラート」など、よりきめ細やかな安全配慮がなされている。これらの充実した先進運転支援システム(ADAS)は、ドライバーの疲労を軽減し、あらゆる場面で安心感の高いドライビングを提供してくれる。
新型ルノー キャプチャーは、単なるマイナーチェンジの域を大きく超える、劇的な進化を遂げた一台であった。シャープで存在感のあるエクステリアデザインと、クラスの常識を覆す上質なインテリアは、所有する喜びを存分に満たしてくれる。
パワートレインは、「全車ハイブリッド」戦略の下、二つの明確な個性が与えられた。革新的な機構で未来的なスムーズさと卓越した燃費性能を実現する「E-Tech フルハイブリッド」。そして、力強い走りと効率性を高次元でバランスさせた「マイルドハイブリッド」。この二つの選択肢は、ユーザーの価値観やライフスタイルに応じて、最適な「走り」を選ぶ楽しみを提供する。乗り心地の硬さという課題は残るものの、スライド式リアシートがもたらす優れた実用性や、大幅に強化された先進安全装備は、日々のパートナーとしての信頼性を確固たるものにしている。
静かで滑らかな未来のドライブフィールを求めるならばE-Tech フルハイブリッドが、伝統的なエンジンの鼓動と力強さを重視するならばマイルドハイブリッドが、それぞれ最高の選択となるだろう。どちらを選んだとしても、新型キャプチャーがコンパクトSUV市場において極めて魅力的で、強い輝きを放つ存在であることは間違いない。このフレンチSUVは、あなたの日常を、そして人生の冒険を、より豊かで刺激的なものにしてくれるはずだ。
アルファ ロメオ 33 ストラダーレ/ランド ノリス✕R32 東京ナイトドライブ/R35日本取材:トップギア・ジャパン 068
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