【TAS 2023】ロータス:英国グッドウッド仕様のブースにして大成功を収めた理由



2023年の東京オートサロンで、ひときわ異彩を放っていたブースがある。スペースこそ広くないものの、ダークバーダンドグリーンとセネカブルーの左右に置かれたエミーラが左右で見る印象を違えていたのだ。PR & Sales Promotionの中村康宏氏に、ロータスブースの狙いについてお話を伺った。
「今回の東京オートサロンのブースデザインは、2022年の英国グッドウッドオブスピードでのロータスブースを日本で再現しようと考えてデザインしました。具体的には、ブースの左側と右側で完全にコンセプト(目的)を分けたのです。 まず、左側(ダークバーダンドグリーンのエミーラ)は、中間色を使用せず、新鮮でエネルギーを表現するロータスイエローとブラックのバイカラーのブースとしました。こちらはシンプルながらスタイリッシュであり、人体工学上、人間の目にはイエロー×ブラックが最も目立つコントラストに映ります。
そして、右側(セネカブルーのエミーラ)では、フラッグシップカラーのセネカブルーは日本初上陸であり、話題性もあるため、壁面にEMIRAのロゴを配して、メディア露出用に展示しました。背景のイエローとブルーの車体にてエミーラの世界観を演出したのです」

昨年のロータスブースでは、車名のロゴがなかったので、知らない人が見たら、「カッコいいけど、これはなんていうクルマ?」だとなってしまう。確かに、壁面にEMIRAのロゴがあるのとないのとでは、SNSで拡散された際に、認知度が違ってくる。

「現在、ロータスは新CIやディーラー変革を行っている最中で、ブランディングが重要だと考えており、今回はロータスブランドの浸透と、最後のガソリン車でロータスの集大成であるエミーラの認知を上げるためにできることをやりました」と中村氏は言う。

ブースの左側と右側で完全にコンセプト(目的)を分けた。左側(ダークバーダンドグリーン)では、ブラックの壁にグリーンの車を配置してクールで渋い印象に、モデルを立たせてスパイス感を演出した。街乗りがしっかりできること老若男女誰でも扱えることをアピールするために、モデルに実際乗り降りの実演を行った。右側(セネカブルー)はエミーラのフラッグシップカラーだ。こちらは、日本初上陸であり、話題性もあるため、EMIRAのロゴと共にSNSを含むメディア露出用に展示した。背景のイエローとブルーの車体で、EMIRAの世界観がよく演出されている。

「納車を待つお客様に対し、更に高揚感を高めてもらえるよう、また、初めてロータスを見るお客様に実際に車を見て、触って、匂いを嗅いで、スタンドでエンドユーザー様に直接車の良さを伝えたかったのです」

そして、ロータスカーズのアジア太平洋・中東地域担当ディレクターであるダン バルマー氏は東京オートサロンに参足を運び、この日本のブースの構成に感銘を受けたという。次のようなコメントが寄せられた。

コロナウイルスにより、デトロイト、ジュネーブ、フランクフルトなど、主要モーターショーの開催中止が相次ぎ、自動車を販売する方法として、モーターショーは完全に消滅したのであろうか?私はそれを確かめようとし、日本に向かったのです。

東京オートサロンは、かつて日本のハードコア層向けの「ワイルド・スピード」的なイベントとして確固たる地位を築いていたこのイベントは、今やハイテクでより光沢のある存在になっています。

幕張メッセにある4つのホールのうち、最初のホールに入ると、世界的なブランドと大柄なチューナーが並んでいて、スリックタイヤと大排気量のディスプレイを見ることができました。

そしてそこには、ロータスが10年ぶりに投入した新型車エミーラが堂々と鎮座し、熱狂的な日本のスポーツカーファンに向けて、ノーフォークの最高級車がパンデミックを乗り越えただけでなく、勢いをつけて戻ってきたことを思い起こさせる絶好のタイミングで展示されていました。

日本初上陸のエミーラを一目見ようと行列を作った日本のファンやお客様は、セネカブルーとダークバーダントグリーンの完璧なプロポーションの2台を実際に見ることができ、大変喜んでおられました。

ロータスの輸入代理店であるエルシーアイが好位置にブースを構え、先日発表された「ロータス東京 原宿ショールーム」リニューアルオープンの話題もイベントムードを盛り上げるのに一躍買っていました。

東京オートサロンは、かつてのモーターショーのような奇抜なコンセプトカーのハイテク祭りではないかも知れません。『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』に出てきそうな方々がBEV(Battery Electronic Vehicle)を受け入れるとは思えないかも知れないけれど、受け入れているどころか、むしろ歓迎しているのです。

週末には33万人の来場者があり、ロータスのような企業にとっては、原点に戻り、スタンドでクルマを「販売する」ことが重要なのです。

さて、冒頭の質問に戻りますが、モーターショーはクルマを販売するための手段としては、もう限界なのだろうか?

東京オートサロンで忙しい時間を過ごした後の私は、その答えを喜んで次のように言うつもりだ。到底そんなことはない、ただ、より小さく、より完璧な形になったのだと言えるでしょう。実際にクルマを見て、触って、匂いを嗅いで、自分なりの意見を持ちたいというファンにとっては、絶好の機会なのです。

主要モーターショーが大打撃を受ける一方で、中規模、小規模モーターショーは、実際にクルマを購入するニッチなファン層を抱え、堂々とした存在感を示しています。そして、それはロータスのような企業にとって素晴らしいニュースなのです。

次々と訪れてクルマの近くに来るファンたち。そして、自分たちのスマホでSNSにアップする。さほど大きくはないスペースでも、しっかりとコンセプトメイキングを行ったことで、今年のロータスブースは大成功を収めた。エミーラの魅力が伝わり、多くの受注に結びついたという。東京オートサロンの来場者を呼び寄せる方法は、巨大なブースに多くの種類のクルマを展示するだけではない。スペースは小さくとも、英国グッドウッドらしさがあるブースを作ることで、人は集まり、SNSでアップしてくれる。そのクルマの個性を出したブースの設営が、成功の鍵であることを、ロータスが証明してくれたのだ。




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