CEOが語る、アルファ ロメオの信頼性を向上させるCクロスオーバーのトナーレをいま投入する理由

アルファロメオの新型車が発売されると、ウェブサイトのトラフィックが急増する。そして、ついに新型アルファロメオが登場し、グローバルでのオンライン発表となったのである。プレゼンテーションではアルファ ロメオのジャン=フィリップ・アンパラトCEOをはじめ、アルファ ロメオ F1ドライバーの、バルテリ ボッタスとジョウ グアンユーも出演し、華を添えていた。さて、ネットの皆さんの注目を集めたのは…新しいミッドサイズ ファミリー クロスオーバーだ。このタイプのクルマは、どちらかというと熱狂的なファンが少ないようだけどね。でも、かわいいし、アルファだから。それより、なぜ、いまこのトナーレを投入しなければならなかったのか、ってことに注目したい。

前回、2019年のジュネーブショーに登場したコンセプトカー「トナーレ」(3音節、フィナーレと韻を踏む)を覚えているだろうか。市販版も同名で、そのデザインはかなり無傷で生き残っている。まあ、通常のコンセプトからショールームモデルへのマスト改変事項、つまり小さいホイール、大きなライトとミラー、実際のフロントガラスワイパーとドアハンドルを除けば、ってこと。

簡単に説明すると、アウディ Q3くらいの大きさで、ガソリンとディーゼルのフロントドライブと、後輪を電気で駆動する合計275bhpというパワフルなPHEVになっている。アルファはトナーレに5年、ハイブリッドバッテリーに8年の保証を付けるほど信頼性に自信がある。

さて、しかし、アルファ ロメオは何をやっているのだろうと思われるかもしれない。かつてロールス・ロイスやベントレー、ブガッティと互角に渡り合った会社である。近代的なスポーツサルーンを発明し、かわいらしいクーペを延々と作り続けた会社だ。それに、ゴードン マレーのブラバムにフラット12エンジンを供給していた。そして、「アルファを所有していなければ、エンスージアストとは言えない」というトップギアの名言を生んだのだ。

誰もがアルファロメオの隆盛を願っている。しかし、ここでアルファの頑固な問題にぶち当たる。素晴らしいスポーツサルーンがある。最高の走りをする大型クロスオーバーがある。しかし、それを販売に結びつけることができない、ということだ。世界での販売は、ドイツの同等モデルに押され気味だ。そこでアルファは、バイヤーがいるところに販売網を拡張し、マイルドでスポーティなクロスオーバーを作ることにしたのである。

アルファ ロメオは、なぜこのような日常的な市場に参入するのではなく、歴史に残るような美しい高速車を得意とすることで成功できないのだろうか?ここはアルファ ロメオのジャン=フィリップ・アンパラトCEOに聞いてみよう。「安定が必要なんです。アルファ ロメオの収益を上げなければなりません。世界の主要なビッグセグメントから外れるわけにはいかないんですね。最も大きく、最も成長しているセグメントととはなんでしょう?それは、Cクロスオーバー(トナーレのサイズ)とBクロスオーバー(次のサイズダウン)です」

つまり、トナーレはアルファに息抜きを提供し、船を安定させるためのものなのだ。現在、アルファは販売台数が少なすぎて、ハイパワースポーティカーという輝かしい未来への投資を正当化することができていない。だったら、クロスオーバーからキャッシュを得るという策は好都合だ。だから、トナーレだけが、私たちの道を行くコンパクトなアルファのSUVではないのである。アンパラトによれば、2024年にはフルエレクトリックのドライブトレインやエンジンを搭載したアルファが登場する予定だという。そのクルマはというと、実はプジョー 2008のプラットフォームをベースにしたBクロスオーバーであることを、彼は否定しない。

その一方で、アルファはグローバルに事業を拡大する必要がある。そのため、アンパラトは中国人のF1ドライバー、ジョウ グアンユー(周 冠宇)を起用したと言う。ジョウの獲得金が数億円程度という効果については言及しないが、アルファが高級ワークスチームの何分の一かの予算でF1チームを結成していることを誇りにしている。

同じ理由から、アルファは新車の開発予算にも知恵を絞らなければならない。ライバルである巨大企業のBMWとは異なり、複数のパワートレインを搭載したクルマを開発する余裕はないのだ。だから、2024年の小さなクロスオーバーがガソリンを選択できるようにした後は、アルファの新車はすべて電気自動車になるだろう。すべての車種においてだ。以前から言っているように、「中途半端なことはできない」のである。アルファは、コングロマリット最高のプラットフォームを使用する最初のステランティスブランドとなり、800Vで118kWhのパックから最大800km超の航続距離と、1分間に32kmの充電速度を可能にする予定だ。「2027年以降、私はバッテリー電気自動車だけを販売するつもりです」彼の言葉が、ステランティスが14のブランドを持っていることを思い出させてくれたので、考えようによっては、他のブランドはエンジンをキープすることだってできるかもしれない。

「アルファ ロメオにとってはelectricoleggero(軽量な電動車)が大事です。EVに乗り換えたときに、同じレベルの航続距離と充電率、そしてハンドリングとアルファ ロメオらしさを手に入れることができる、という代替物でなければなりません。クアドリフォリオの庇護を維持することにあっては、私が適切なパフォーマンスとハンドリングを得られることを条件とします。そして、夢を実現するために、数少ないオフ車(限定車)の製作も並行して行って参ります」

クロスオーバー、そしてサルーン、GTVの5車種がメインストリームとなる予定だ。スパイダーはあくまでも希望リストであり、決定的な計画ではないという。ちなみにトナーレは、市場がその方向に進めば、フルバッテリー化することも可能だ。

現時点では、トナーレにはエンジンが搭載されている。姉妹ブランドであるジープのプラットフォームを大幅に改良し、サスペンション、エンジン、電気系統、そしてアルミニウムを新しくしたものだ。いずれにせよ、このジープはジュリエッタをベースに改良されたもので、アルファの遺伝子が受け継がれている。PHEVのトップモデルは、前輪に1.3リッターのマルチエア・ガソリンエンジンで、後輪に電気モーターを搭載し、0-100km/h6.2秒、電気のみの航続距離64kmを実現している。

トナーレの開発に遅れて参加したアンパラトは、電気の航続距離とハンドリングを改善するために開発を遅らせ、ジュリア GTAを担当したサスペンションチームを起用したと言う。アンパラトはこう付け加える。「トナーレのクアドリフォリオバージョンに取り組んでいますが、最高レベルのパフォーマンスが得られない限り、グリーンボタンは押さないつもりです」

他のガソリン車は、ミラーサイクル(ハイブリッドでの消費に適している)の1.6ターボエンジンとDCTトランスミッションを搭載した48Vハイブリッド車である。マイルドハイブリッドには珍しく、エンジンとモーターの間にエキストラなクラッチを備えているので、電気モードで発進し、クリープ走行ができる。アルファは、経済性ではディーゼルに匹敵すると主張している。しかし、念のため、130bhpのフロントドライブのディーゼルも用意されている。また、アメリカや中東向けには、電気式ではなく機械式の4WDを搭載したノンハイブリッドもある。

さて、暗号とブロックチェーンの時代に入っているが、ここにもユニークなデジタルイノベーションがある。トナーレは1台1台が独自のNFTを持っている。これは、すべての製造スペックを保存し、その後のデータは購入者のもので、購入者はサービスデータ、走行距離、バッテリー充電回数などを選択して追加することができるのだ。この安全な認証が、車の中古車としての価値を高めることは間違いないだろう。

なぜなら、信頼性を高め、中古車としての価値を高め、保証期間を長くすることは、所有コストを抑え、信頼性を高め、購入者をリピーターにするために絶対に必要なことだからである。アルファの新機軸。ちなみにそれらと同じ手法は、ジュリアとステルヴィオにも移植される予定だ。

もちろん、2022年のまともなクルマなら当然、トナーレにはドライバーアシストを欠かすことはできない。完全なコネクティビティも備えており、合計22.5インチのダッシュスクリーンを動かすことができる。ツインメーターを配したドライバーズセクションは、1970年代のアルファの伝統的なメーターのように設定することも可能だ。やるに決まってるが、なにか?

外装では、SZ モストロのマトリックスLEDを採用したトリプルヘッドライト、トリローブグリル、8C コンペティツィオーネを思わせるリアグレージングラインなど、往年の名車アルファを彷彿とさせるものがある。そして「テレフォンダイヤル」ホイール。若者よ、固定電話の番号を調べてきてくれ。

ナイスなクルマだし、ナイスなアルファの計画の一部だ。それでも、これまでの素晴らしい計画がうまくいかなかったことについて、CEOに問いたださないのは、メディアとしての怠慢だろう。今の販売台数の少なさは、クルマのせいじゃない。クルマはいいんだ。じゃあ、売上げを阻む謎のブロックは何なのか?「私にとっては、それは明確に特定されています。1970年代、私たちの父親や祖父が乗っていたクルマを思い出してください。『アルファは好きだけど、2台買わないと使える1台にならない』と言われました。これが問題なのです。私たちは安定していなかったのです。ブランドを作るには30年、殺すには半年が必要になります。だから、アルファは安定的で一貫していなければなりません。毎年、毎年、クルマを発表していきます。アルファ ロメオは信頼できるんだと、お客さまに納得してもらうのです」

しかし、今世紀に入り、先代はアルファロメオの販売台数を3倍、4倍にすると何度も約束し、そのたびに速やかに縮小してきた。「それが、私が常々言っていることです。実現できないものにコミットしてはいけないんです、絶対に。トナーレの付加価値を見て、私はレンガを積み重ね、3年後に結果を出すつもりです」彼は直近の仕事を思い出していた。プジョーの社長時代には、プジョーを立て直した人である。プジョーでは、品質、価格の維持、1台あたりの利益率を上げることが重要だった。ステルヴィオやジュリアが発売されたとき、そういったことは準備されていなかったのだろうか?「意図はありました。しかし、構想は仕事の10パーセント、実行が90パーセントなのです」うん、この人を信じるしかないんだろうね。

ホイール
=海外の反応=
「プロポーションが完全に崩れていると思うのは僕だけ?ホイールベースが少なくとも30cm短いように見える」
↑「いや、どちらかというと、ホイールが小さすぎるような気がする」
↑「そうですね、ステルヴィオと同じようにリアオーバーハングが大きいね。しかし、ステルヴィオとは異なり、フロントオーバーハングもかなりある」
↑「僕にはリア3/4がアウトのような気がするのですが。後輪の上にメタル加工が多すぎる」
↑「まさにその通り、サイドビューはホイールが寄りすぎているため、かなり古く見える」
「BMWのどのモデルよりも格好良く、アウディ Q3よりもずっと素敵だ。5年保証は、車の信頼性に自信があることを意味している。成功することを祈っているよ」
↑「今時、BMWより格好いいなんて、なかなかできることじゃないよ」
↑「確かにそうだけど、このクルマはスモールクロスオーバーのセグメントでは珍しく、純粋にいいクルマだと思うんだ。このアルファが信頼できることがわかれば、成功するだろう。たとえばジャガー Fペイスをノックアウトするとか」
↑「Fというより、Eペイスに近いサイズ感じゃない?」
↑「奥さんの次の車は、本当はEペイスが良かったのだが、イヴォークの方が減価償却費が安いので、そちらを購入することになった。レンジローバーの中古(偽物)の需要が多いらしいし」
↑「こちらはE、ステルヴィオがFじゃない?」
「全体的に気に入っている。フロントは好きだけど、リアはあまり好きじゃない。インテリアは、とてもいい感じ。アルファらしさを出すために、プラットフォームに多くの魔法をかけることに成功していることを本当に期待している」
「最も格好良いコンパクトSUV。アルファのために頑張ってほしい」
「たくさんの言葉があるけど、記者は唯一の重要な行を見逃した。ジープ コンパスのシャーシをベースにしている。レビューは以上だ」
↑「(トップギアスタッフから)この記事は、レビューじゃない。まだ運転してないんだ。現状、アルファ以外の誰も乗っていない。ジープと比較して、新しいサスペンションを搭載している。だから、事前に判断するのは馬鹿げていると思う。試乗は4月に行われる予定だ」
「見た目は…アルファにしては淡白な感じ。悪くはないのだが、きれいでもない。しかし、ジープ コンパスをベースにしているという事実が、それを決定的にしている」
「アルファの問題は、UKディーラーのネットワークが全くダメだということだ。販売店はほとんどなく、サービスもいい加減です」
↑「私が最後にアルファを買ったディーラー(Beechdale Derby)は素晴らしく、私の地元のディーラー(Canterbury)はそうじゃなかった。けど、私は地元のアウディディーラーよりもそのひどいアルファディーラーの方が好き。ちな、私の地元のJLRディーラーはとても良いよ」
「見た目は好きだけど、プロモショットではプラスチックの傷が見えるし、NFTのことは環境にとってひどいニュースだ。私はICEエンジンが好きなのだが、NFTはガスを発生させる理由がない」
↑「NFT業界は徐々にエネルギー使用の問題を解決しつつあるので、これは本当にアルファが正しい技術を選ぶかどうかにかかっている。例えばImmutable Xは、NFTの鋳造プロセスにおいて、エセリウムと比較して「475,000倍のエネルギー消費」を主張し、カーボンオフセットを行っている。ディーラーのサービス履歴が本物であることを証明できることは、NFTのかなり良い利用法だと思う」
「不規則っちゃあ不規則、奇抜っちゃあ奇抜だが、まさかアルファを死ぬほど退屈だと言う日が来るとは思わなかった」
「見た目は良いんだけど、すぐに疑って「X」を押してしまった。アルファは好きだが、ニッチなブランドになりそうな気がする。大金を手に入れ、好きなことを自由にできるようにならない限り、苦しい戦いになるだろうね。でもこれでアルファにお金が入るといいんだけど。ジュリア クーペ、スパイダー、そしてブレラをいつか見たいと思ってる」
「なんか、大混乱に陥った母親が、怒鳴りたいけど諦めて残念そうな顔をしているように見える。パット見ね」
「問題は保証がないことで、ここオーストラリアでは、全ブランドの中で最も悪いと言われている。品質管理に難のある会社にとって、これは売上を落とす要因になるよ」
「これは、市場にある他のどのクロスオーバーよりも良く見える!…あまり言われてないけど、私はフロントがブレラを思い出させるとこが好き」
「唯一の不満は、アルファにしては少しアグレッシブすぎることだが、これは小言で、BMWはもっとひどく、アウディとメルセデスはアルファより少し悪いようだ」
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