現時点で手に入る中で最も完成度の高い高速エステート。そしておそらくベストEV
いいね!↑
乗り心地の良さから、歯切れのよいハンドリング、誠実なエンジニアリング、見た目、魅力に至るまで、すべてに影響するシャシーの処理能力の高さ。
イマイチ↓
そもそもの値段が高いし、荷室がエステートにしては小さいし、オプションも高額。
概要
どんなクルマ?
でました、ポルシェEV戦略の第2ステップ。これは、レビューしたタイカンのクロスオーバー型のいとこで、クロスツーリスモっていうんだ。アウディのオールロードを思い浮かべて欲しい、あれでだいたいのイメージが付くと思う。そのうち、余分な地上高やボディクラッディングもナシでエステート風の特徴をもった、スポーツツーリスモとかが出てくんだろうな。
クロスツーリスモのメカニズムは、ほぼタイカンと一緒。あれと同じ93.4kWhのバッテリーが床下に搭載されてて、4、4S、ターボ、ターボ Sの強烈な4モデルと同じ出力のモーターを動かしている。前ダブルウィッシュボーン式+後マルチリンク式のサスペンションも同じだし、アダプティブエアスプリングと4WDの駆動方式も同じだ(でも、全モデルで標準ってわけじゃないってとこが、ポルシェが売り方を熟知してるって証拠だよな)。タイカンと比べて新しくなったとこと言えば、ホイールマウントとストラットサポートが替わってるのと、セルフレベリングセンサーが改良されたってくらい。
あと、荷室がデカくなってる。まあ、デカいと言っても所詮は405リットルなわけであって、640リットルのメルセデス・ベンツ Eクラス級のデカさとは種類が違う。でも、全長がたったの11mmしか伸びてないってのに、普通のタイカンより多用途性がグンと増してるんだ。後部のレッグルームの広さは以前と変わりないんだけど、頭上空間が36mm増したんで、室内空間がすごく広く感じる。
重量増は25kgとわずかに抑えてるけど、そもそもが2,320kgもあるエステートだ、まだまだ重量感はある。全高が1,409mmある割に、実際にはBMW M3よりも低いせいか、車体がずっと低く見えているけれども。上位モデルに装備された3チャンバーエアサスペンションを使用すれば、最低地上高を30mmまでアップすることができるし、トルク配分やスロットル特性なんかがオフロード用に設定されたグラベルモードが新しく標準装備となってて、ポルシェ曰く「悪路走破性をプラスした」と言うことらしい。こいつは本気だぜ。1,116ポンド(17万円) 追加でオフロードデザイン パッケージを選べば、各タイヤが若干強化されて石とかの衝撃を和らげてくれるほか、悪路走行を支援してくれるいろいろな機能がついてくる。
エントリーモデルの価格でも79,340ポンド(1,224万円)と、ベーシックなタイカンより1,000ポンド(15万円)近く高いんだけど、装備レベルが近づくにつれて価格の差は少なくなってくる。4Sは88,000ポンド(1,357万円)で、ターボが11万7,000ポンド(1,805万円)、ターボ Sに至っては14万ポンド(2,159万円)。ローンチコントロール時のオーバーブースト出力は、順に470bhp、563bhp、671bhp、751bhpで、通常の運転時のパワーはだいたい80bhpほどダウンする。もちろん、モデルによる。ターボとターボ Sは共に625bhpを発揮する。
エントリーモデルを含めてもどれも速く、0-100km/hは2.9秒から5.1秒。航続距離が少々気になる所で、ターボ Sが最も効率がよろしくないモデル。83.7kWhバッテリーを使って388kmだそうな。電費で言うと、1kWごとに4kmってとこか。
このクルマのライバルになれるのは、今んとこEVじゃなくて、他の高速エステートだ。ハンドリング、燃費、多用途性、心地よさ、価格、そして理念の面からすると、クロスツーリスモはアウディRS6とかメルセデスAMG E63に近い気がする。何か異論があるならどうぞどうぞ。ないなら代わりに僕らが言います!一番近いライバルとなると、やっぱりポルシェの同胞だろうね、パナメーラ スポーツツーリスモでどうでしょう?
アウディが同じ特注のプラットフォームを使ってe-tron GTを出してきたってのを考えると、このプラットフォームを今後使い倒していくつもりなんじゃないかな。それまでは、タイカン クロスツーリスモは市場で唯一無二なポジションを獲得している。そこに異論を唱える人はいないはず。