キャデラック EVのリリック発表で未来へと一歩踏み出す

キャデラックから完全電動のラグジュアリークロスオーバー「リリック」を発表された。なお、日本導入時期については未定。
リリックは、キャデラックの電動化ポートフォリオのスタートとしての存在だ。導入される駆動システムおよび関連技術は、優れたパフォーマンスと高度な技術統合により、キャデラックを電動化、コネクティビティ、自動運転分野におけるリーダーへ押し上げようという意図がある。
GMのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼北米社長のスティーブ・カーライルは、「『リリック』を先導役に、キャデラックは今後10年間でアメリカンラグジュアリーを再定義し、変革をもたらす新たなEVポートフォリオを導入します。我々はGMのお客様に、五感を刺激し、要望を先取りし、他では得ることのできない旅の体験を提供していきます」と、述べている。
「リリック」は、GMの次世代EV用モジュール式プラットフォームをベースに、アルティウム駆動システムを搭載しており、キャデラックはさまざまな航続距離と性能の選択肢を提供する。航続距離は、社内テストに基づき、フル充電で300マイル(483km)以上の距離を実現するように設計されている。
「リリック」のチーフエンジニア、ジェイミー・ブリュワーは、「『リリック』はあらゆる旅を楽しく爽快にするために考案されたクルマです。100年以上に及ぶ革新的な技術を活用し、このブランドを新たな時代に導くと共に、よりパーソナルで、つながりを感じさせ、夢中になれる体験をお客様に提供します。そのために我々はEV専用のアーキテクチャーを開発しました。『リリック』は単に優れたEVだというだけでなく、キャデラックであることを第一に考えているのです」と、述べている。
現在のラグジュアリーEVの中には伝統的な内燃機関構造を採用しているものもあるが、「リリック」はその種のクルマではない。「リリック」に採用したキャデラックの新型モジュール式EVプラットフォームは、その解放的なパフォーマンスの基盤となっている。専用のEVアーキテクチャーを採用することで、従来型の車両構造に電気駆動システムを適応させる際の多大な物理的な制約を排除し、より長い走行距離、魅力あるドライビングエクスペリエンス、そして乗員スペースに新たな価値を提供している。
「リリック」にはアルティウム・バッテリーシステムが、車両の構造的な要素として組み込まれており、乗り心地やハンドリング、安全性の向上に貢献している。事実、このバッテリーパックの配置によって低重心化の実現と重量配分を50:50に近づけたことで、スポーティでレスポンスが良く、軽快な走りを可能にした。
さらに、「リリック」は主として後輪駆動(RWD)だが、パフォーマンスAWDもオプションで用意されている。モーターを車両後部に配置することで重量配分と俊敏性をさらに高めたことも、キャデラックが長年にわたり満足のいくパフォーマンスを追求してきたことを物語っている。さらにこの方式はホイールスピンを起こさずに舗装路により多くのトルクを伝達できるため、爽快な加速を実現し、さらにコーナリング能力も向上させる。パフォーマンスAWDを搭載したモデルでは、さらに一歩進んで、車両前部にセカンド・ドライブユニットを配置することで、チューニングの柔軟性を大幅に高め、車両のパフォーマンスを向上させることができる。
「リリック」は、GMの新型アルティウム・バッテリーシステムを搭載しており、約100kWhのエネルギーを供給する。
アルティウムに採用した最先端のNCMA(ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム)化合物は、正極にアルミニウムを使用しており、コバルト等のレアアース素材の使用を低減。実際に、GMのエンジニアは現在のGMバッテリーと比較してコバルト含有量を70%以上削減した。
この最先端のバッテリー化合物は、スマートなモジュール構造を可能にする大容量で平面的なパウチ型セルに封入されており、複雑さを低減し、冷却の必要性を簡素化している。さらにバッテリーの電子回路がモジュール内に直接組み込まれているため、現行のGMの電気自動車と比較してバッテリーパックの配線が約90%削減されている。
充電についても、「リリック」では、自宅か外出先であるかにかかわらず迅速かつ便利な充電オプションを用意し、直流(DC)急速充電では150kW以上での充電が可能となっている。
ドライバーが近づくと、「リリック」はドライバーを認識し、照明を使ったアニメーションで出迎え、同時に車内のシート、ミラー、エアコンディショナーの調整などをしてくれる。車内では、キャデラックの最高レベルのドライバーインフォメーション、インフォテイメント、コネクティビティが統合されている。
対角33インチの最新型LEDディスプレイは、ドライバーの視野全体に広がる大きな1つの画面に、ドライバーインフォメーションの詳細、インフォテイメント・コントロール、カメラビューが巧みに統合されている。この新型ディスプレイは現在の自動車業界では最高の画素密度を誇り、自動車業界の他のどの車両よりも64倍も多い10億色以上を表示できる。
バッテリーおよび充電のモニタリングは、一目でわかる簡単なグラフィックで表示される。このシステムは、オーナーの好みに応じて自宅や外出先での車両のエネルギー需要を明らかにするだけでなく、エネルギー消費量のモニタリングと予測の上で充電時期を提示してくれる。
新型デュアルプレーン拡張現実(AR)対応ヘッドアップディスプレイには、車速や方向などを表示するニアプレーンと、透過型ナビゲーションシグナルやその他の重要な警告を表示するファープレーンの2つの表示面を採用。
「スーパークルーズ」は、自動車線変更機能を含むハンズフリー運転支援システムがある。
スーパーバイズド(監視を伴う)リモートパーキングは、超音波センサーを使用して、ドライバーが車内にいるか車外にいるかにかかわらず、道路に対して平行に(縦列)、または直角に駐車操作を支援してくれる。
「リリック」のテクノロジーは、主に2つの方法で“音”にも対処している。それは、不要な音を遮断することと、乗員が聴きたい音を再大限に活用することだ。
キャデラックは、ノイズキャンセリング能力を向上させるため、マイクおよび加速度センサーをより多く搭載することで、アクティブノイズキャンセリングをひとつ上のレベルに引き上げる新型ロードノイズキャンセリング技術を初めて導入する。この新システムにより、キャデラックのパフォーマンスエンジニアとオーディオエンジニアは、タイヤのキャビティノイズの周波数域をターゲットにすることができ、車内のノイズレベルを低減させ、より静かな乗車体験を可能にしている。
「リリック」の音響システムは、AKG社との独占的なパートナーシップに基づき構築されている。キャデラックのリードオーディオデザインリリースエンジニアであるフセイン・カリルは、「『リリック』では、ドライバーを車の中からレコーディングスタジオへと誘うようなサウンドエクスペリエンスを提供したいと考えていました。AKGサウンドシステムを搭載することで、ラグジュアリーなお客様が期待する品質や信頼性に加え、こうした体験を提供することができます」と、述べた。
「リリック」は、ドライバーや乗員が好きな音楽を楽しめるよう、19個のAKGスタジオオーディオシステムのスピーカーを装備しており、非常に鮮明かつ緻密なサウンドを実現する。
キャデラックのグローバルデザイン担当エグゼクティブディレクターのアンドリュー・スミスは、「『リリック』は、キャデラックでなければ成し得ない電動化を可能にした、ブランドを象徴するスタイリングの次なる進化を表現しています。『リリック』は、その内側も外側も、デザインとテクノロジーを巧みに融合させ、あらゆるドライブの機会を演出することを目的としています」と、述べている。
張りのあるラインとクリーンなサーフェスを特徴とする「リリック」は、自信に満ち、現代的で、低くなだらかに傾斜するルーフラインとワイドスタンスによって俊敏性を強調するとともに、自信を感じさせる。流れるようなルーフスポイラーなどの細部には、高速道路での走行効率を高めるため、空力性能を考慮したデザインが施されている。
フロントで目を惹く「ブラッククリスタル」のグリルは、「リリック」の最もユニークで表情豊かなデザインエレメントのひとつです。またこのグリルはオーナーが車両に近づいたときに、目を惹く縦長のスリムなLEDシグネチャーライティングが、ドラマチックな照明演出で迎える躍動感のある機能の一端も担っている。リヤエンドには、スリムなLEDを組み込んだスプリットテールランプデザインを採用しており、同様に照明の演出の一部となっている。
室内を見ると、「リリック」の新しいEVアーキテクチャーがキャビンの広さやデザインの可能性を拡大していることがわかる。キャデラックのデザイナーは、これを機にインテリアにおける空間の使い方や、多くのインテリアの配置を見直した。
その結果、より広々としたミニマリスティックなデザインとなり、ドライバーや乗員のドライビングエクスペリエンスをより豊かにすると同時に、収納面でも優れた機能性を実現した。また、バックライト付きスピーカーグリルや、隠し収納部付きの湾曲したスクリーン、エクステリアと同じく巧妙に演出された照明機能など、繊細ながらこだわりのあるディテールで満たされている。

まだ、日本導入の詳細に関しては未定だが、このリリックの発表によって、キャデラックが未来へ踏み出したことは確かなようだ。

http://www.cadillacjapan.com

 

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