スズキ ジムニー長期レポート1:ジムニー争奪戦@トップギアオフィス

みなさんはこんな乱闘を目にすることなど、ないだろう?仕事終わりの5:27に、誰がスズキ ジムニーを家に持って帰るかで同僚と喧嘩が始まるのだ。ポルシェ、アストンマーティン、テスラなんかが普通に置いてあるトップギアの編集部だっていうのに、前例がないほどの熱量がある。そして驚いたことに、そのクルマの最高速度はかろうじて150km/hに届かないくらいのものなのだ。
この小さなスズキのクルマはどこか神秘的な雰囲気を纏っており、それによって18ヵ月待ちの順番待ちを生み、その結果、中古でも良いから待たずに買いたいという人のためのプレミア価格までもついてしまっているほど。そして機を伺っている人は、その中古にすぐ飛びつく。458 スペチアーレのように、このクルマには狂信者がいるということなのだ。
そういった、我慢できずに中古でジムニーを買おうとする人達と、毎晩不満をたれながら順番待ちに並ぶ人達の列の決して交わらない平行線も、トップギアの編集部には関係がない。
会社にあるジムニーの価格は、最も安い物で15,999ポン(220万円)ドだ。全てのモデルがデジタルラジオ放送、車線逸脱警報システム、そして4WDシステムを搭載している。だが、会社にあるのは、18,499ポンド(250万円)の最上級モデルSZ5で アロイホイール 衝撃吸収材 スマートフォンリンク機能を持ったものだ。さらに2,298ポンド(30万円)払えば、遊び心のあるレトロなフロントグリル、艶のあるサイドスカート、発色の良い、ブリスク ブルーの塗装にすることができる。
のちに誤算であったと言われていることだが、イギリスで唯一選ぶことのできるエンジン(どの仕様においても)は坂を上るのに適した100hpの1.5リッターエンジンだ。これではスリップしやすい道路をやすやすと走ることはできない。すぐに理解できると思うが、スズキのクルマは定期的な検査には耐えられない。しかし無秩序な高速道路の作法をあまりにも順守しすぎるのは、BAC モノを持ってきて、通学路を安全に走れないという理由で非難するようなもの。このクルマは舗装路に囲まれた自宅周辺から遠く離れた場所に適しているのだから。
その小さなボディは、ロンドンの交通状況と親和性が高い。よく考えてみてよ、渋滞の中をかいくぐって走ることや、意味がわかんないほど小さいスペースに駐車しなきゃならないときなんかにすごく助かるんだから。カメラやセンサーは無いが、サイドは厚く、かつ大きな窓があるので問題ない。その愛らしい見た目は時に、よくあるスポーツカーのスポイラーや、オラついてて攻撃的な走りなんかよりもずっと目立つ。
編集部に来たとき、ジムニーは既に走行距離が9,600km強に到達しており、ボディ表面のプラスチックに付いた無数の傷が、今までこのクルマがどれだけ酷使されてきたかを物語っている。そして、使われている素材が、いかにプレミアムとは程遠いものか。衝突回避システムや車線逸脱防止システムが過剰に作動していたり、ステレオがちっちゃくなっていたり、オートライトがイギリス政府のように優柔不断だったりと、これまでのところ、最も複雑な装飾が施されていることが、このクルマの説得力の低さを物語っている。私は、このクルマのそういった装備のほとんどをオフにしているけど。
ジムニーの根強い誠実さはその呼び名にある。それは力強いシンプルさを醸し出す。あなたが必要としているであろう、他の何にも取り込まれない芯の強さを。毎日終業後、必死になってジムニーを取り合う同僚の姿が、それを証明してくれている。
私はこのクルマと6か月間過ごす間に、たくさんのアドベンチャーを計画しているが、最初にどういった事をすべきなのかをしっかりと把握しておかなければならばならないということは承知している。

走行距離: 11,608km 燃費: 12.9km/L

グレード:
SZ5
エンジン:
1462cc 4気筒 全輪駆動 100hp, 129Nm
燃費:
12.5km/L,178g/km CO2
パフォーマンス:
0-100km/h 12.0秒 (推定), 145km/h
重量:
1135kg
価格:
18,499ポンド (250万円)/£20,797ポンド(280万円) テスト車両/月額3.4万円

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