8年ぶりに、プジョー 208がガソリンとエンジンの2つのパワートレインを搭載して新しくなり、発表された。すべて5ドアのHBとなり、1.2L直3ターボ、208の方は、スタイル/アリュール/GT ラインの3種類で、239.9/259.9/293万円。EVのe-208は、アリュール/GT ラインの2種類で、389.9/423万円。ガソリンは8月末から9月上旬、EVは10月頃のデリバリーを予定している。
プジョーでは、今回、Power of Choiceというスローガンを新型208において掲げている。つまり、動力源が異なっていてもデザインは共通であり、ドライビングプレジャーもスペース効率さえも共通なので、ユーザーのライフスタイルに合わせて、どちらかを選んでいただきたい、とのこと。新世代i-Cockpitたる3Dヘッドアップディスプレイ、より上級セグメントに搭載されている幾多ものADAS(先進運転支援システム)を備えた208は、注目を集めそうだ。とくに欧州では評価が高く、欧州のカーオブ・ザ・イヤー2020およびレッドドットデザインアワード2020を受賞している。
販売のほとんどを占めるであろうガソリンモデルのパワートレインは、PureTech 1.2リッターターボエンジンの進化型だ。このエンジンは世界各国の自動車評論家やジャーナリストの投票によって決められる、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーで2015年の登場以来5年連続で選出されている。とくに、3気筒のイメージを覆す低振動、低騒音とドライバーの意図に忠実なトルクデリバリーに定評がある。最高出力100ps、最大トルク205Nmを発揮し、GPF(ガソリン・パーティクル・フィルター)を装着し、排ガスのクリーン化とともに燃費を
JC08モードで約7%改善している。19.5km/ℓというJC08モードでの優れた燃費は、エンジン
はもちろんのこと、CMPとBセグメント最多段数(2020年7月現在)となる、電子制御8速オー
トマチックトランスミッションEAT8による相乗効果である。EAT8によりスムースで軽快、効率とレスポンスに優れた走りになる。
そして、注目の e-208は、100%電動パワートレインを搭載。電気モーターは最高出力136ps、最大トルク260Nm、搭載バッテリーは50kwhで同セグメントとして大容量なものとなっている。CO2排出量の削減の波に乗って、日本政府も2030年の電気を中心としたLEV(Low Emission Vehicle)の新車販売比率30%を目指すことを打ち出している。自然吸気ガソリンエンジンで2.6ℓ相当の最大トルク260Nmのゼロ回転から発生させ、瞬時の応答性を発揮することで刺激的なドライビング体験が可能だ。
e-208は3つのドライビングモードを用意している。
• Sport:パフォーマンスとフィーリングにプライオリティを置き、100kw/260Nm
• Nomal:日々の利用における快適性の最適化を図り、 80kw/220Nm
• Eco:航続距離の最大化を図る。 60kw/180Nm
また、ブレーキモードはふたつの選択が可能で、ドライバーはギアシフターの操作で望みの回
生ブレーキ強度を選ぶことができる。
• D:内燃機関でのエンジンブレーキ、アクセルオフの挙動をシミュレートし、自然な走行感
を重視
• B:エネルギー回生を強化。アクセルペダルだけでより積極的に減速をコントロール
インテリアでの特徴は、3次元表示となった3D i-Cockpit®だ。スタイルを除くグレードに装備される。すべての情報を見やすく、ドライバーの視界の中に注意深く配置。ステアリングホイールより上のゾーンは視覚を司っている。ステアリングホイール奥の3Dデジタルヘッドアップインストルメントパネルには、ホログラムによる情報投影が行われ3次元表示がなされている。
ステアリングホイールの横から下のエリアは、物理的なスイッチを配して実際に手で操作するゾーンとなる。ダッシュボードには508同様ソフトバッドが、中央部にはカーボン風の装飾が施されている。直感的な操作の人間工学に基づいたEAT8のシフトレバーはドライブ・バイ・ワイア式。ステアリングホイールに備わるパドルシフターは、オートマチックモードでもドライバーの意思に応じてマニュアルシフトを可能にする。
さて、e-208を選ぶ人にとって、何よりも気になるのが充電のしくみではないだろうか。搭載されているバッテリーは50kW。WLTP認証プロトコルに準拠し、最大340kmの航続距離を実現する。エアコンと連動した液冷式ヒートポンプによってバッテリーの温度を最適に管理し効率的な急速充電と長い航続距離そしてバッテリーの長寿命化を実現している。これらにより、気になるこのバッテリー寿命に関して8年間または160,000kmの走行が保証される。また、数週間放置しても通常はバッテリー容量が大きく低下することはない。
3つの充電モードがある。
• コンセント型普通充電
車輌に標準搭載されている3kW 15A 200Vケーブルにて充電。
100%充電:約18時間
50km充電:約4時間弱
• ウォールボックス型普通充電
6kw / 200Vのいわゆるウォールボックス型普通充電器での充電です。
100%充電:約9時間
50km充電:約2時間弱
• CHAdeMO(チャデモ)急速充電
50kw
80%充電:約50分
スマホのアプリを使った、eリモートコントロールもできる。
今回の新型208では、Power Of Choiceに通ずる考え方で、TCO(Total Cost of Ownership)がある。自動車としてEVとICEが分け隔てないという、プジョー 208 / e-208ならではのコンセプトだ。これはEVとICEで月々の所有コストを同程度に抑えることで、オーナーの好みに合わせた選択の自由を提案するもの。車輌価格、エネルギーコスト、保険代、メンテナンスコスト、税金、補助金、ローン金利など、EVが有利な項目、ICEが有利な項目を含め全体を計算し、双方がそれほど変わらないことを顧客に理解を促し、ガソリン車とEVを対等に検討してもらえるよう、意図している、という。
今後、残りのドライバー人生が何年間あるかによって変わってくると思うが、自分に合った車との付き合い方に関して今一度考えさせられるきっかけとなるのがこのプジョー 208/e-208の登場という風に思えるのだ。