これからも続くレクサスの挑戦
――これからのレクサス像についてお聞かせください。
「ラグジュアリーブランドとしてさらに目指しているのは、『エモーショナル=感情に訴える』ブランドであることです。そもそも車を買うという行為自体がエモーショナルですし、人生の中でもかなり大きなイベントであることは間違いないでしょう。ラグジュアリーブランドの場合はとくにその側面が強いと思います。
レクサスの品質の高さ、おもてなしの精神を反映していること、インテリアも素晴らしいなど、合理的な側面でお客様に訴えることができると思っています。
もう一つがドライビングダイナミクスです。ドライバーにとって優れたドライビング・プレジャーと、テクノロジーの進化とともに感情に訴えるものを提供したいです。ドライビングダイナミクスを前面に打ち出すことでドライバーの感覚に直接訴えかける、いわば五感に訴えるような商品とブランドにしていきたいと思っています。」
――モータースポーツへの参加も「エモーショナル」と関わっているのですか。
「はい。モータースポーツはエキサイティングで、見る人の感情に訴えるものですし、エモーショナルなものです。モータースポーツで実績を上げていけるブランドだと愛着が湧き、感情に訴えることができると思っています。
また、モータースポーツに参加することは、さまざまな環境やシナリオのもとで、車両テストも行えるので、今後の車両の研究開発にも役立てることができるのです。」
――レクサスインターナショナルの活動について教えてください。
「2012年6月に組織再編を行い、レクサスインターナショナルとして、グローバルブランディングについて本格的に取り組み始めました。その一つがモータースポーツへの参加であり、他にも、レクサス・デザインアワード、レクサスショートフィルム、インターセクト・バイ・レクサス、ライフスタイル提案型マガジンBEYONDなどたくさんの活動をしています。
車という商品だけにとどまらず、レクサスユーザーになっていただきたいお客様が関心を持っている分野に対してレクサスが関与する、そしてその行為を通じてその活動に係わる方々とコネクションを持つことができるということが重要だと思っています。各分野で最先端のことに取り組んでいる若い人たちやデザイナーの活動や作品に共感し、若い世代を育てる活動を続けたいと思っているのです。
インターセクト・バイ・レクサスは、2013年に1号店が東京にオープンしました。今年の後半にドバイ、来年にはニューヨークにも展開予定となっています。
このような取り組みは、車という商品だけではなく、ブランドの本質やストーリーについてお伝えするための活動です。さまざまな形でレクサスブランドを外に対して発信していきたいと思っています。
グローバルブランディングの活動は、レクサスインターナショナルがリードしています。しかし、各国がマーケティングを行い、積極的に各国市場に合わせたブランディングを行っているところに特色があると思います。必ずしも各市場で同じことをやらなくてはならないということではなく、レクサスインターナショナルがやることによって、一つのきっかけを提供するし、各国市場の担当者がそれに参加するという形で、さらに独自性あふれるイベントを各国市場で行うということになり、最適化が行われていくのです。」
――ブランド構築にあたって大事なことは何でしょうか。
「レクサスでは、車を買いに来た方に素晴らしい経験をしていただけるかが重要だと思っています。消費者が望むものは、日本市場だけでなくどこの国でも進化していくものだと思っていますので、それに沿ったかたちでお客様、または潜在的なお客様に提供できる経験の内容も進化させていかねばなりません。
お客様が求めていらっしゃるものや条件と同じもの、だけではなく、その期待を上回る経験を常に先回りして提供していかないとなりません。簡単なことではありませんが、私たちは努力を続けていきたいと思っています。」
――Davidさんが最もエモーショナルだと思っている車種はなんですか。
「レクサスはどれもエモーショナルで素晴らしいですが、強いて挙げるとすれば、RC FとNXです。RC Fは自分のドライビングテクニックよりも上手なドライバーになった気分、まるでレーサーにでもなったような感覚が味わえます。ステアリング、ブレーキング、トルクなど技術面でも卓越したものがあります。
また、私はアウトドアが大好きなので、NXはワクワクする一台です。街中を普通に運転することもできるし、自転車を積んで移動もできます。
レクサスにはライフスタイルに合った車種が揃っていますので、どんな方でもエモーショナルを感じられる一台が見つけられると思います。
私は、実際商品が市場に出る3年前にデザインを見ることができる立場ですが、今レクサスが好きと言ってくださるお客様なら、将来出てくる商品はもっと好きになるはずです。今が”LIKE”なら将来は”LOVE”になる素晴らしい商品が出てくると、自信を持って言えるのです」