レクサス LMの後席に拡がる、ワイドなパナソニック48インチディスプレイシステムについての説明会が行われた。LM以外への車種の適用はあるのか?
10月に発売されたラグジュアリームーバー、レクサスLM。内装の中でも話題になったのが、後席の48インチディスプレイシステムだ。パナソニック オートモーティブシステムズの後席48インチディスプレイシステムについて、パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 HMI システムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット 第一商品部の3名から解説の機会が設けられた。登壇者は部⾧の神戸 祐一(かんべ・ゆういち)氏、PM課
課⾧の⾧島 一将(ながしま・かずまさ)氏、商品開発三課 課⾧の柳沼 正宣(やぎぬま・まさのぶ)氏。
まずは、従来品の2枚分の画面サイズとなる、Pillar to Pillarの48インチ大画面液晶を開発した経緯について。画面サイズの最大化のため、液晶パネルメーカーと協業し、後席ディスプレイシステム内の意匠パネル/表示部の固定構造を、従来の液晶パネル周囲固定方式から背面固定方式へ変更することで狭額縁化を図った。車載部品に求められる強度への影響を考慮しつつ最適設計し、従来品より額縁幅を42%削減。これにより、車両デザインを損なうことなく、従来品2枚分の画面サイズとなるPillar to Pillarの48インチディスプレイの搭載を可能にしたのである。
そして、2画面表示機能も特徴の一つだ。アスペクト比32:9という横長ディスプレイの特徴を活かし、センター1画面モード(FHD)、左右別ソースを表示できる左右2画面モード(FHD×2)、さらに32:9の横長1画面モードと後席乗員の用途に応じた画面切り替えを可能とした。また、左右2画面モードでは、ワンタッチで左右画面の入れ替えも可能とした。HDMI端子も2系統搭載し、エンタメだけでなく、車室内で仕事をするユースケースにも適応できる。
しかし、なぜ、このようなワイド画面が可能となったのだろうか。本プロジェクトは、当初現行同等の26インチで開発をスタートしたが、さらなる大型化の要望に応えるため、新規ディスプレイモジュールの開発に挑戦した。そのため、その大型ディスプレイ開発や車両としてのシステム制約を突破するための関連部品との調整など、通常よりも短期間での開発が必要となり、品質担保に加え開発リードタイムの短縮が求められた。そこで、かねてより検討していたマネジメント手法であるCritical Chain Project Management(以下、CCPM)をトライアル導入。プロジェクトをタスクごとに分解し、プロジェクト日程への影響度からタスクの優先順位を明確化する。プロジェクト全体の進捗業況は赤/黄/緑の状態で可視化し、今やるべきこと(やらなくてもよいことの明確化)に集中することで全体最適を図り、2.5カ月のリードタイム短縮に成功した。
なお、LM以外の車種については、現段階では未定だが、ディーラーオプションなどの可能性も含め、検討していきたい、とのことである。