レクサスのブランド戦略に学ぶ富裕層マーケティング

デフレ下のロシアでも好調な理由

レクサスは、デフレ下のロシアでも販売増となった。2013 年は15,768 台、2014年は19,152台と21.4%増となっており、ロシアのラグジュアリーブランドの中では一番の伸び率となった。

――経済状況の不安定なロシアでレクサスが躍進した理由についてお聞かせください。

「ロシアは自動車の販売市場としては、ヨーロッパでは1位、グローバル市場ランキングでも4位と、成長性が見込めるものです。でも、ロシア経済はかなり変動が激しいので、次に何が起こるのかということを予想しにくいのです。現に、昨年はデフレ不況でした。しかし、経済の状況がこれだけ厳しいにも関わらず、レクサスの販売実績は非常に良好です。2013年に新しいISとGXが投入され、ESやRXの特別仕様車も販売成績が良く、2014年には20%増になりました。マーケットシェアも10%まで上がっています。2015年にはNXが出たこともあり、さらに勢いがついているということは間違いないでしょう。これはブランドの力とマーケティングの効果が十分にあったということだと思っています。

レクサスがロシアで好調だった理由の第一は、商品力の高さです。

ロシアは、気象条件や道路の整備状況が厳しい国です。それでもレクサスはさまざまな環境に対応できる車として高い評価を受けており、品質の高さ、耐久性、信頼性が評価されているというわけです。

また、ロシアの場合、交通渋滞の問題もあって、通勤にかなり時間がかかるということも挙げられます。車の中で過ごす時間が長いので、移動手段以上のもの、即ち車中ではラグジュアリーに過ごしたいという欲求も出てきます。例えばGXならシートがファミリーユースにも合っているうえ、厳しい環境にも耐えられるし、心地よさも味わえるということになるでしょう。いわば消費者が求めている機能にレクサスが応えることができ、自分のライフスタイルに合った車を選ぶことができるというところが、ロシアでのレクサスの販売好調要因のひとつだと思っています。

そして、レクサスはやはりラグジュアリーブランドであり、その品格、格の高さ、プレステージを認めてレクサスを買うユーザーがたくさんおられたのでしょう。プレステージとは、成功の象徴でもあるからです。

また、一般のお客様がショールームに行ったときの『おもてなし』の感覚が味わえることも、ロシアのユーザーにとっては、今まで馴染んできた他の自動車販売のスタイルと違うということも魅力になっていると思います。」

――ロシア国民にとって、レクサスのショールームは敷居が高くはないでしょうか。

「レクサスに興味がある人は、あくまでもラグジュアリーカーを求める顧客層なので、敷居が高いということはないと思います。ただ、ロシアの市場でレクサスを購入する層は、年齢層が世界市場の比較の中で若く、ロシアの場合には平均年齢が41才となっているというデータもありまして、若い方がラグジュアリーカーを買っている傾向が見られます。そこから類推しますとレクサスのショールームに足を運ぶことは、敷居が高いことはないでしょう。

ロシア含めて、レクサスが良い実績を上げている市場はとくにその傾向が強いのですが、ディーラーなどのビジネスパートナーが不断の努力をしていることも挙げられます。私は米国市場のほか、他の国の市場も見ていますがやはり、ビジネスパートナーの尽力が相当大きいことは実感しています。

ロシアもその好例です。昨年もネットワークを拡大して約50のディーラー網となっていますし、今年もさらに増やす予定です。もちろん商品やブランド力も強いということもありますが、最終的にお客様が店舗に入ってきて車を購入する、という行動につながる経験をより豊かなものにしていくのは、ディーラーの努力なのです。」

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