スポーツカー購入者は富裕層
――スポーツカーはどのような人に売れるとお考えですか。
スポーツカーのマーケットをみてみましょう。軽と小型/普通車などのカテゴリーでのスポーツカーでは当然商品価格帯が異なるということもあり、商品自体もそのユーザーも異なってきます。
NSXクラスのスポーツカーになるとこれは昔言われた「スーパーカー」に近いですね。フェラーリ・ランボルギーニ・・・と肩を並べるわけです。当然メインユーザーは、「富裕層」。
小型/普通車クラスのスポーツカーになると、車庫付きセカンド、サードカーとなるわけです。
マツダのロードスター、トヨタの86、スバルのBRZ、そうそうホンダのCR-Zなんかもここに入ります。こちらのユーザーもメインは、私からすれば「富裕層」に近い存在です。つまり、人生を豊かにする車を余分に買える人たちということですから、そういう羨ましいユーザーもそんなに多くおられるわけではないでしょう。
とはいえ最近は、30代〜40代にかけて、男女共に独身比率が上がっているそうですが、そういう人たちで車好きなら、使用用途が限定されるスポーツカーでもファーストカーに出来るかもしれませんね。
――可処分所得が多くないとスポーツカーにはなかなか乗れそうもないですね。
そう思います。さらに、軽になるとマーケット(ユーザー層)は広がります。つまり、地方へ行けば一人一台に近い保有のところもあり、一家四人で4台、なんてのも十分あるわけです。その時の典型的な例として、一台は小型/普通車となり、あとは軽で、となります。その中でお父さんが、「一台位毛色の変わった車があってもいいのでは?」と言い出して、「お父さんの通勤車にスポーツカーを買って若返る」というパターンは結構な数が存在するかもしれませんね。
――最近あまり流行らない言い方ですが「エンスー」の人、もしくは「クルマ狂い」は絶滅寸前というわけですか。
もちろんコアな「クルマ好き、スポーツカー好き」のユーザーさんは確かにおられます。ですが、残念なことに購入される方の数で言うと、極めて少ないのが現実です。
でも、人生「数」の論理だけでは寂しいし、スポーツカーは即なにをやっても売れないクルマというつもりはありません。
初代ユーノスロードスターを思い出してください。あの頃とは世の中の空気も異なりますが、当時これなら乗りたいと多くのユーザーが思って、みながこぞって買ったのです。
当時でもマーケットは無いとみなされていて、他のメーカーは2シーターオープンなんて出していませんでしたが、マツダがそれをはねのけたのです。
――マツダの英断が功を奏したんですね。