シトロエンから新型電気自動車「ë-C3」が日本市場に向けて発売されたのだ。Bセグメントのコンパクトなボディに、伝統の「魔法の絨毯」と称される極上の乗り心地を詰め込んだ意欲作だ。内燃機関を愛する我々トップギア読者にとっても、独自の哲学を貫くこのフランス製EVは決して無視できない存在なのだ。
我々トップギアの読者諸兄は、自動車という機械に対して並々ならぬ情熱とこだわりを持っているはずである。複雑なメカニズム、心震わせるエキゾーストノート、そして路面のアンジュレーションを正確にステアリングへ伝えるソリッドな足回りなど、そうした「熱い」要素を愛してやまないのだ。しかし、常にアドレナリンを分泌させながら走るだけが、自動車の奥深さではないのだ。時には、外界の喧騒から隔絶された、極上の癒やし空間を求めたくなる瞬間もあるはずなのだ。
そんな時、我々の頭に浮かぶブランドといえば、フランスのシトロエンをおいて他にはない。彼らは1919年の創業以来、独創的な発想で自動車の常識を塗り替え続けてきた生粋の変人(もちろん、最大級の賛辞として言っている)の集まりだ。あの伝説的なハイドロニューマチック サスペンションを生み出した彼らは、直線番長を作る気など毛頭なく、常に他者とは異なるアプローチで「究極の快適性」を追求してきたのだ。そんな彼らが送り出す最新のBセグメントEVが、今回発表された「CITROËN ë-C3 (シトロエン イー シースリー)」なのだ 。
Stellantis ジャパンは、この新型EVを全国のシトロエン正規ディーラーにて発売した。この車のベースとなっているのは、2017年の第3世代導入以来、日本でもトップセールスを記録し、2025年11月に第4世代へとフルモデルチェンジを果たした新型C3である。ハイブリッドモデルと共通仕様のマルチなエネルギーに対応するプラットフォームを採用することで、実用性を一切損なうことなく、電動化をより身近な選択肢として提案しているのだ。
気になる心臓部には、最高出力83kW(113ps)、最大トルク125Nmを発生する交流同期電動機を搭載。スーパースポーツのように首の骨を折るような加速こそしないが、車両重量1,470kgのボディを街中で軽快かつスムーズに走らせるには、全くもって十分すぎるスペックだ 。床下に敷き詰められたリチウムイオン電池の総電力量は44kWhで、WLTCモードでの一充電走行距離は388kmを確保している。これなら週末のドライブから日々の買い物まで、航続距離への不安を感じることなくこなせるはずなのだ。充電に関しても抜かりはなく、CHAdeMO方式の急速充電(最大100kW)に対応し、バッテリー残量20%から80%までをわずか約26分で充電可能という高い充電利便性を誇っているのだ。
しかし、我々が最も注目すべきは、やはり「シトロエンらしさ」が残っているかどうかという点だ。結論から言えば、彼らの快適性への異常なまでの執念は、この小さなEVにもしっかりと受け継がれている。路面からの衝撃を効果的に吸収する「プログレッシブ ハイドローリック クッション (PHC)」サスペンションを標準装備し、シートにはBセグメントの枠を完全に超えた最高水準の乗り心地を提供するアドバンストコンフォートシートを採用しているのだ 。重量のあるバッテリーを積むEVは足回りが硬くなりがちだが、シトロエンは巧みなセッティングによって、特有の上質で快適なドライビング体験へと導いてくれる。
安全装備についても妥協はない。アクティブセーフティブレーキ、レーンキープアシスト、ドライバーアテンションアラートといった先進の運転支援機能を標準装備しており、日常のドライブに確かな安心をもたらしてくれる。全長4,015mm、全幅1,755mm、全高1,590mmというコンパクトなディメンションは、日本の狭い路地でも持て余すことなく、日常使いでの扱いやすさを極めている。
エクステリアは、最新のデザイン言語とブランドロゴを纏い、よりモダンで力強いスタイリングへと進化を遂げている。用意されるボディカラーは「ブルー モンテカルロ」、「ブライト ブルー」、「ルージュ エリクシール」、「ブラン バンキーズ」の全4色なのだ 。フロントバンパー下部とリアドア後部にはボディと異なる色のカラークリップが配置され、多彩なスタイリングで個性を楽しむことのできる、遊び心ある仕様だ 。
グレード展開は2種類で、快適さを提供するベーシックモデルの「PLUS (プラス)」と、洗練された上質装備を備え、ツートーンルーフでモダンな印象を際立たせたハイグレードモデルの「MAX (マックス)」が用意されている。メーカー希望小売価格は、「CITROËN ë-C3 PLUS」が3,999,000円(税込)、「CITROËN ë-C3 MAX」が4,250,000円(税込)となっている。さらに、この車はCEV補助金の対象となっており、たとえば東京都の電気自動車等の普及促進事業を利用して個人が購入する場合、国からの490,000円と地方自治体からの450,000円を合わせて、最大940,000円もの補助を受けることが可能だ 。このEVおよびPHEVの購入時の金銭的負担軽減を目的に設定された手厚い制度を活用すれば、他のモデルと比べても驚くほど身近な価格で、最新のBEVを選択することができる。
我々車好きは、どうしてもスペックシート上の数字や、サーキットのラップタイムばかりに目を奪われがちだ。しかし、日常の大部分を占める市街地での移動において、本当に我々を幸せにしてくれるのは、絶対的な速さではなく、精神的な余裕をもたらす「快適性」なのだ。シトロエン「ë-C3」は、エンジンの振動もエキゾーストノートもない静寂なEVというキャンバスに、伝統のハイドロの血統を受け継ぐサスペンションで「至福の乗り心地」という絵を描き出している。個性あふれるデザインと快適性を追求した設計でクルマのある暮らしに新たな価値をもたらすという、シトロエンの変わらぬ使命は、電動化時代においても健在だ。ガレージの片隅に、この小さな魔法の絨毯をそっと停めておくのも、決して悪くない、いや、むしろ極めて知的な選択なのだ。
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