【TAS 2026】「モリゾウさんは嫌な人だ」 ダイハツが親会社トヨタに挑んだ“下剋上”の軽トラ喧嘩

親子喧嘩は犬も食わないと言うが、トヨタとダイハツのそれは別だ。「軽トラ」をテーマにした仁義なき戦いが幕張で勃発。ダイハツが涙目で作り上げた「本気すぎる」モンスター軽トラは、もはや感動的ですらある。

「親子喧嘩」という名の公開処刑(あるいは愛)
東京オートサロンの会場で、最も血生臭く、かつ最もハートフルな場所はどこか? 間違いなくTOYOTA GAZOO Racingとダイハツの隣り合ったブースだ。

ここで繰り広げられたのは「喧嘩3番勝負」の第1戦、通称「親子喧嘩」。親であるトヨタ(モリゾウこと豊田章男会長)と、子であるダイハツが、軽トラックをベースにしたカスタムカー対決を行ったのだ。

事の発端は、ダイハツの星加副社長がモリゾウ氏に「ダイハツにとって大事な車は何か」と問われ、「軽トラです」と即答したことだという。そこから話はどう転がったのか、「じゃあ軽トラで勝負だ」となったらしい。

ステージ上でダイハツの田中本部長は言い放った。「モリゾウさんって、本当に嫌な人なんです」
会場は爆笑に包まれたが、その言葉には実感がこもっていた。なんでも、エンジンの供給を渋るダイハツに対し、モリゾウ氏は「じゃあスズキに頼むからいいよ」と脅しをかけたとか。

そんなプレッシャーの中で、認証不正問題で沈んでいたダイハツの現場は奮起した。「あれは別腹です」と言いながら、業務外の時間を使ってでも、この喧嘩を買ったのだ。

西部劇の馬か、災害時の救世主か
モリゾウ氏は軽トラを「西部劇の馬のような存在」と評した。生活の足であり、相棒であり、なくてはならないインフラだ。

トヨタ側(ルーキーレーシング)が作った軽トラは、GRカローラの純正マフラーを流用し、後ろに座席を追加した「遊び心全開」の仕様だった。

対するダイハツが持ち込んだのは、「ハイゼット トラック ジャンボ スタークライマー」。これが凄まじい。
コンセプトは「働く・遊ぶ・助ける」。なんとキャタピラー付きの荷箱を搭載し、ウインチで積み下ろしができる。これは単なるキャンプ道具ではない。災害支援の現場で、瓦礫を乗り越え、物資を運ぶための本気の装備だ。

さらに、45度の坂を登れるように「ローモード」付きのトランスファーを新開発。足回りは4インチリフトアップされ、大径タイヤを履く。トヨタが「遊び」にフォーカスして作ったのに対し、ダイハツは「メーカーの意地と社会的責任」を全部乗せしてきた。結果、投票箱にはダイハツへの票が吸い込まれていく。これは、いじめられっ子の逆襲を見るようで痛快だった。

しれっと置かれた「FRコペン」の衝撃
さて、軽トラの喧嘩に目を奪われがちだが、ダイハツブースの奥にはもっと危険な爆弾が隠されていた。「K-OPENランニングプロト2」だ。
一見すると、少し幅広なコペンに見える。だが、スペックシートを二度見してほしい。「縦置きエンジンのフロントミッドシップ」「FR(後輪駆動)」。
おい、正気か? 軽自動車のFRオープンスポーツを作るだと?

初代コペンも現行コペンもFF(前輪駆動)だ。それをわざわざ縦置きエンジンにして、プロペラシャフトを通して後輪を駆動させる。これはもう、趣味の領域を超えている。「作ってみる、乗ってみる、試してみる」というスタンスらしいが、ここまで完成度の高いプロトタイプを見せられて、「ただの実験です」で済むと思っているのか。

もしこれが市販化されれば、日本の軽自動車規格は世界最強のスポーツカーカテゴリーになる。ダイハツは、軽トラで「実用」を極め、このプロトタイプで「夢」を極めようとしているようだ。

デコトラ仕様からOOTDまで、カオスの極み
ダイハツブースのカオスぶりは止まらない。
「ハイゼット トラック PTO ダンプ 大発命(ダイハツメイ)」と名付けられた車両は、完全に往年のデコトラっぽい出で立ちだ。しかし、ただ派手なだけではない。荷台には歴代ハイゼットのパネルが設置され、持ち上げると「輪投げの的」になるという謎機能付きだ。創業以来の「お客様に寄り添う」という想いが、なぜ輪投げに行き着いたのかは不明だが、そのエネルギーには圧倒される。

一方で、「ムーヴ #ootd(オーオーティーディー)」のような、Instagram世代に向けたお洒落な提案もある。デニム調のインテリアに、ホワイトとブルーのツートンカラー。「今日の服装(Outfit Of The Day)」のように気軽に車を着替える感覚だ。

かと思えば、「タント カスタム クロメキ」や「ムーヴ クロメキ」のように、都会の夜に似合うダークトーンで統一した渋いモデルもある。

結論:ダイハツは元気だ、安心していい
一連の不祥事で、ダイハツは自信を失っていたかもしれない。
だが、このオートサロンで見た彼らはどうだ。親会社であるトヨタに「嫌な人」と軽口を叩き、本気の軽トラで勝負を挑み、FRのコペンを密造し、デコトラで輪投げをしている。
このカオスこそが、ダイハツの本来の姿だ。
彼らはただの「トヨタの子会社」ではない。世界最小のスポーツカーから、最強のオフロード・トラックまでを作れる、変態的な技術者集団なのだ。

モリゾウ氏が仕掛けた「親子喧嘩」は、見事にダイハツの野性を呼び覚ましたようだ。
軽トラ対決の結果がどうあれ、勝者は間違いなく、この熱いブースを目撃した我々観客である。

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