【TAS 2026】モーガン スーパースポーツ:0-100km/h 3.8秒の「動く重要文化財」。2300万円で買うのは車か、それとも“時間”か?

タイムトラベルはSFの話だと思っていたが、英国マルバーンでは量産工程の一部らしい。東京オートサロンに降臨したモーガンの新旗艦「スーパースポーツ」。見た目は戦前、中身は最新。この矛盾こそが、最高の贅沢だ。

最新のポルシェをカモれる「骨董品」
オートサロンの会場には、未来的なEVや、羽が生えたような改造車が溢れている。だが、そんなプラスチックの玩具たちが霞んで見えるほどの圧倒的な存在感を放つ一台があった。モーガンだ。

彼らが持ち込んだニューモデルの名は「スーパースポーツ」。なんとも直球なネーミングだが、モーガンに限っては許される。1909年から車を作り続けている彼らが言うなら、それは正真正銘のスポーツカーなのだから。
一見すると、いつものモーガンだ。優雅なフェンダー、丸いライト、そして空気力学を無視したかのような(しかし計算された)美しいグリル。だが、舐めてかかると痛い目を見る。

このクラシカルなボンネットの下に収まっているのは、BMW製の3.0リッター直列6気筒ツインターボエンジン(B58)だ。最高出力340ps、最大トルク500Nm。
「今の時代、300馬力なんて普通だろ?」と思ったそこの君、数字のトリックに騙されている。

重要なのは馬力ではない。「軽さ」だ。

最新のアルミ接着プラットフォーム「CXV」を採用したこの車の乾燥重量は、わずか1,170kg。現代のスポーツカーが安全装備と電子制御で肥満化していく中、モーガンは依然としてボクサーのように絞れている。

その結果、0-100km/h加速は3.8秒。これは最新のポルシェ 911 カレラと同等の数字だ。
風を遮るものが何もないオープンボディで体験する3.8秒は、密閉されたキャビンでのそれとは訳が違う。それは「加速」ではなく「恐怖」に近い快感だろう。

21世紀のコーチビルディング:木とアルミとゼンハイザー
モーガンの真骨頂は、その作りにある。彼らはこれを「21st Century Coachbuilding(21世紀のコーチビルディング)」と呼ぶ。
シャーシこそ最新のアルミ製だが、ボディのフレームには伝統通り「トネリコ(Ash wood)」の木材が使われている。冗談ではない、本当に木だ。職人が手作業で削り出し、アルミパネルを叩いて成形する。電子レンジでチンして作れるような大量生産車とはわけが違う。

しかし、インテリアに目を向けると、そこには奇妙な「現代」が同居している。
ゼンハイザーのプレミアムオーディオシステムが搭載され、あろうことかBluetooth接続やハンズフリー通話まで可能だという。オープンカーで走行中に優雅に通話ができるかは甚だ疑問だが(風切り音との戦いになるだろう)、その心意気は買いたい。

ダッシュボードには美しいアナログ時計のような計器類が並び、液晶画面はその間に控えめに鎮座している。テクノロジーには敬意を払うが、主役にはしない。この英国流の奥ゆかしさがたまらない。

革命的進化:ついに「荷物」が積める
そして、今回のスーパースポーツにおける最大のニュースをお伝えしよう。おそらく、古くからのモーガンオーナーが涙を流して喜ぶであろう進化点だ。
なんと、「トランク(Boot)」がついた。

「何を言っているんだ?」と思うかもしれないが、これまでのモーガンにとって、荷物を積む場所など助手席の膝の上か、リアに括り付けるラックしかなかった。

しかし、このスーパースポーツは違う。リモコンキー(そう、キーレスエントリーだ!)でロックを解除すると、リアデッキが開き、そこには一泊旅行の荷物が十分に入るスペースが現れる。

これでようやく、歯ブラシと着替えを持って、優雅なグランドツーリングに出かけられるわけだ。スーパーへの買い物にも行けるかもしれない(ネギがはみ出さないことを祈る)。

価格は2,300万円から。高いか、安いか?
日本での車両本体価格は2,310万円から。展示車両に至っては、ライラックのスペシャルペイントや18インチホイールなどのオプションを装備し、約2,700万円というプライスタグを掲げている。

高い? 確かに。だが、考えてみてほしい。
これは単なる移動手段ではない。熟練の職人が、あなたのためだけに手作りする工芸品だ。フェラーリやランボルギーニでさえ、ラインで流れてくる時代に、木を削って車を作ってくれるメーカーがどこにある?

しかも、この車は飾り物ではなく、最新のスポーツカーを信号ダッシュで置き去りにできる性能を持っている。
それを考えれば、これはバーゲンセールと言っても過言ではない(と、妻を説得できる自信があるならだが)。
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インタビュー
「クラシックなのは見た目だけ」—モーガンの新時代
この美しき野獣について、インポーターであるSCI株式会社の森田恭平氏に話を聞いた。
— 東京オートサロン初登場の「スーパースポーツ」、会場の反応はいかがですか?
森田氏:東京での展示は今回が初めてになりますが、非常に注目度が高いです。やはり、一見するとモーガンらしいクラシックなスタイルでありながら、中身はエアコンもオートマチック(8速AT)も備えた現代的な車だというギャップが驚かれています。直6エンジンを搭載して0-100km/h加速が3秒台ですから、パフォーマンスはスーパーカー並みです。
— 以前の「プラス6」などのモデルと比べて、決定的に違う点はどこでしょう?
森田氏:一番わかりやすい進化は「トランク」ですね。これまで古くからのファンの方々から「とにかく荷物が載らない」というお声をいただいていました。そこで今回のモデルには、小ぶりながらしっかりとしたトランクスペースを設けました。これで実用性が飛躍的に向上しています。
— 確かにモーガンで荷物が積めるのは革命ですね(笑)。これは限定モデルですか?
森田氏:いえ、限定車ではなくカタログモデルとして継続的に展開します。お客様のお好みに合わせて、内外装をフルオーダーで仕上げることが可能です。
— 実際にこの車を見たい、乗ってみたいという読者はどこへ行けばいいですか?
森田氏:良いニュースがあります。来週には板橋にモーガンとケータハムの拠点ができ、さらにその翌週には青山(最寄り駅は渋谷)に新しいショールームがオープンします。都心で常に実車をご覧いただける環境が整います。
— 青山で試乗も?
森田氏: はい。モーガンの「プラス4」や、この「スーパースポーツ」も試乗車兼広報車として用意する予定です。貸し出し中でなければ、いつでも実車を見たり、実際にステアリングを握っていただいたりすることが可能です。ぜひ、この独特の世界観を体験しに来てください。
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