書評:日本のオートバイの歴史 長きにわたり日本のオートバイの研究・調査に携わった著者による、名著

書評コーナーは、日本のオートバイの歴史。長きにわたり日本のオートバイの研究・調査に携わった著者による、名著だ。

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最盛期には120社以上と称される日本のオートバイメーカーは、技術的にも経営的にも、文字通り“食うか食われるか”の格闘を演じていたが、やがてホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社が中心となり、世界を制覇するまでに成長することになる。

まさに戦国時代などに比べても決して見劣りのしない、この“興亡ドラマ”の足跡を、大学で教鞭をとりながら、その研究・調査に携わった著者がわかりやすく紹介する。

本書は、1980年に山海堂が初版を刊行した『日本のオートバイ』が底本になっている。この本には、ほとんど知られていない過去の二輪車メーカーや業界のことが記されており、かつ、絶版だったことから三樹書房において再刊を企画。

著者の富塚清氏は東京帝国大学の工学部で発動機に関する権威で、氏の教え子には、プリンス自動車の中川良一氏、富士重工業の百瀬晋六氏、本田技研工業の中村良夫氏など、戦後の自動車メーカーの発展に貢献する技術者が数多くいるのだ。もともとは長距離飛行で世界記録を樹立した東大航空研究所の「航研機」のエンジンを担当するなどで、日本の航空技術を開拓、築きあげた一人である。しかし、戦後飛行機の研究ができなくなったこともあり、もともと好きなオートバイに熱中し、2サイクルエンジンの研究の第一人者としても活躍した人物だ。つまり日本のオートバイの開祖からその発展を実際に見て来たからこそ語れるそれぞれのメーカーの背景やエンジニアとしての視点からの特徴など、日本の各オートバイメーカーの栄枯盛衰を明確に記すことができたのであろう。日本のオートバイの歴史を知るに最もふさわしい1冊といえる。

なお、本書は2001年刊行の同書に、新たに当時の製品カタログなどを使用したカラー口絵(24頁)を収録した増補三訂版である。(内田俊一)

日本のオートバイの歴史 <増補三訂版>
本題:日本のオートバイの歴史 <増補三訂版>
副題:二輪車メーカー興亡の記録
著者:東京大学名誉教授 富塚 清
発行:三樹書房
定価:3,850円
ISBN978-4-89522-819-0

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