フォーミュラEのテクノロジーがフィードバックされた航続距離750kmのSUVクーペBEV、DS N°8

新世代フラッグシップモデルのDS N゜8(ナンバーエイト)が、フォーミュラE 東京のファンビレッジで日本およびアジア初披露された。DSのフラッグシップモデルは、航続距離750kmのSUVクーペBEV。日本での設定も気になるところだ。

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新世代フラッグシップモデルのDS N゜8(ナンバーエイト)が、フォーミュラE 東京のファンビレッジで日本およびアジア初披露された。DS Global Marketing Directorのバスチャン シュプ氏、DS Global Sales Directorのフィリップ ナルベブル氏が来日し、プレゼンテーションが行われたのである。

DSブランドは、職人技、フランスのインテリア、そしてコンフォート(快適性)に特化しており、コンフォート面ではサスペンションだけでなく、優れた断熱材による温度コンフォートやオーディオコンフォートも含まれる。N゜8は、750kmの航続距離を持ち、これはクラスをリードする性能であり、長距離走行に適している。車両サイズは4.8mのクーペだ。欧州では「Pallas」とハイエンドバージョンの「La Première」という2つのラインナップで展開される。ヨーロッパでは今夏の終わりから導入が開始され、その後グローバルに展開される。製造は6月中旬からグローバル(日本向け含む)で開始される予定で、場所はイタリアのメルフィ工場だ。価格は未定だが、日本での納車時期は、おそらく第4四半期になる見込みである。

このモデルを日本で披露する理由として、同会場で開催されていたフォーミュラEとの連携が挙げられている。DSは10シーズンにわたりフォーミュラEに参戦し、プレミアムブランドとしては初となり、世界選手権で2度優勝している。フォーミュラEで得た知識、特に電力のソフトウェア管理や回生ブレーキの技術を市販車にフィードバックしているというから、発表の場としては、ぴったりというわけだ。750 kmの航続距離は、大型バッテリーだけでなく、空力設計によっても実現されている。直感的には四角く見えるデザインだが、実際には空力性能に優れている。空力設計の具体例として、フロントに可動式フラップがあり、冷却の必要性に応じて開閉し、高速道路では閉じることで空気抵抗を減らす。また、フロントやリアのシャープな角度、ダイヤモンドを模したデザインも空力に貢献している。光るフロントロゴが特徴で、最近欧州で認可されたこの機能をDSはいち早く取り入れている。特徴的なライトシグネチャーがフロントとリアにあり、これがブランドアイデンティティとなり、遠くからでもDS車と認識できるとしている。先日発表されたDS4の新しいバージョンであるDS N°4も、同様のフロントデザインとライトシグネチャーを採用している。N゜8は、グループの新しい電動プラットフォームであるSTLA Medium 'EVO'を使用した最初のモデルだ。

インテリアについても触れられ、新しいX字型のステアリングホイールはより人間工学に基づいたデザインだ。中央にはフローティングプラットフォームと、完全にカスタマイズ可能な大型スクリーンを備えたインターフェースがある。シート内部にはスピーカーが内蔵されており、フランスのオーディオブランドであるFocalとの提携によるElectra 3Dオーディオ体験を提供する。

空力設計の一環として、フラッシュ式のドアハンドル(グリップ)が挙げられており、これらは通常自動的に閉じ、空気抵抗を減らす役割を担っている。SUVクーペと表現したが、車体形状については、セダンとSUVのどちらに分類すべきか難しい新しいタイプであり、高いシートポジションはバッテリースケートボード構造によるものだが、SUVの形状では750 kmの航続距離は達成できなかったため、セダンのような形状が採用されている。フラッグシップモデルとして、この車はブランドのイメージにとって重要だ。デザインの特異性として、ボンネットの延長が挙げられており、これは1930年代のブランドを参考にしている。

製造場所はイタリアのメルフィ工場で、Jeepと共有され、バッテリーはフランスで製造される。DS3はフランス、DS4/ N°4はドイツ、DS7もフランスで生産されており、他のブランドと生産拠点を共有している。N゜8のデザイン言語、特にライトシグネチャーは、将来のDSモデルにも引き継がれる予定だ。このデザインは、2021年に公開されたAERO SPORT Loungeというコンセプトカーで初めて示されたものである。

シュプ氏は、フランス大統領公用車としてのDSの長い歴史(1955年のオリジナルDS以来、ほとんどの大統領がDSを公用車として使用)について言及した。このN゜8も大統領に披露され、彼は非常に満足していたとのことだ。大統領仕様は、フランスの職人によるより洗練された特注インテリア(加熱機能付きテキスタイル、プリーツ素材など)を備えている。ストローで作られた(特殊技術で覆われた)車だったという。顧客向けの個別カスタマイズプログラムは現在提供されていないが、対応可能なパートナーを紹介できるとしている。大統領はDS7 E-Tenseの特装ロングバージョン(冷蔵庫、仕事用テーブル付きの特別インテリア)を日常使用している。

ヨーロッパでの価格帯は、おおよそ60,000ユーロ(975万円)から90,000ユーロ(1,465万円)になる見込みで、現時点ではこれ以上の価格帯のモデルは計画していない。「N゜8」という名称は、無限のサインを意味し、DS7との関連性も踏まえつつ、新しいレンジを導入するのに良い番号だと考えられている。

先述したように、プラットフォームはSTLA Medium 'EVO'プラットフォームに基づいており、これはマルチエネルギー対応可能だが、N゜8はこのプラットフォームを使用したグループ初の完全電動モデルだ。「現在は100%電動のみが計画されていますが、市場と需要をモニタリングし、他のパワートレインを追加するかどうかを検討する可能性はあります」と、シュプ氏は語ってくれた。

気になるのが日本仕様であるが、DSのプロダクトマネージャーを務める大堀 義弘氏に伺ったところ、ガラスルーフは標準装備で、日本仕様のインテリアはナッパレザーのブラウン一色のみとなる。ブラウンはこれまでのDSモデルで最も人気のある色とのことだ。外装色は5色展開。この試作車の内装色はグローバル販売されない特別なカラーだという。日本での納車時期は、おそらく第4四半期になる見込みだ。欧州市場での反響は非常に良く、注目度が高いとのこと。反響が良い理由として、DSブランドのフラッグシップモデルであること、新世代のBEVであること、そしてBEV専門チームが初めて開発したこと、STLA Medium 'EVO'プラットフォーム初のモデルであることなどを挙げてくれた。

日本での期待も非常に高いとのことだが、日本国内のBEV市場シェアはまだ小さい(2%前後)状況に対し、欧州などグローバルでは急速に伸びている(欧州は約2割)という現状もある。充電性能については、急速充電のChademoにも対応し、どの急速充電器でも使用可能であることを確認している。これはステランティスグループ全体のBEVインフラ戦略とも連動している。

日本でのターゲット顧客層は、フラッグシップモデルで価格帯も上がるため、既存のモデルよりも上のカテゴリーの層になると大堀氏は語った。「純粋なフレンチプレミアムブランドとして、人とは違うものや感性を持つ方に特に興味を持ってほしいです。EVを選ぶ方は先進的な考え方を持つ人が多く、DSの個性的なデザインと相性が良いと思われます。フランス文化との関連性が重視されており、シャネルなどのブランドやファッション、香水といった表現を理解する層に入りやすいのではないでしょうか。デザインのインスピレーションもフランス文化から得ており、内装デザインにはシャネルやエルメスなどハイブランドを手掛けたデザイナーも関わっています。フランス文化からのインスピレーションというストーリーはアピールポイントとして活用したいですね。純粋なフランス車であること、認知度の高いフランスブランドとの繋がりは強みになるでしょう。DSブランドは女性からの人気が高いという調査結果が出ており、女性層へのアピールも重要視されています」

N゜8はブランド全体の知名度を上げ、既存のDS3やDS4への興味にも繋がることが期待され、ブランドを盛り上げる象徴的なモデルとしての役割も担っている。価格設定については、プレミアムカーでありながらも、モデルによってはお得感も意識されているというので、日本での価格設定も楽しみにしていよう。

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