「とまれ」の白線文字が最高にクールジャパンだったフォーミュラE、東京E-PRIX

最終ラップはマセラティと日産がデッドヒートを繰り広げた東京E-Prix。「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」のようなストリートの雰囲気と、電気自動車のフォーミュラマシンという最先端のテクノロジーが合わさり、クールジャパンらしさを醸し出した。

マセラティ MSGレーシングのマキシミリアン ギュンターが、岸田文雄首相と小池百合子東京都知事も挨拶に訪れた中、日産フォーミュラEチームのオリバー ローランドのリードを振り切って東京E-PRIX初優勝を飾った。これにより、フォーミュラEはシーズン10でまた1人のレースウィナーを追加し、すでに接戦を繰り広げるラインアップに歴史的な瞬間を刻んだというわけだ。

ギュンターは、スリリングな技術と戦略の末に、フォーミュラE史上初めて日本で開催された東京E-Prixで優勝を飾った。24周目に戦略的に前に出たギュンターの勝利は、チームにとってシーズン9のジャカルタ以来の勝利であり、彼にとってシリーズ通算5勝目となった。

しかし、ギュンターが勝利に至る道のりは、楽勝だったわけではない。というのも、ポールシッターのオリバー ローランドとの激しい競争に直面したからだ。このドイツ人ドライバーは巧みにローランドのスリップストリームに入り、レース終盤の決定的な追い上げのためにエネルギーを温存。熱狂的な日産サポーターの前でトップを奪還しようとするローランドの懸命な努力にもかかわらず、ギュンターは最終ラップで3回のアタックを阻止し、ポジションを守りきった。

東京E-Prixでも、シーズン10の開幕戦から5レースで異なる5チームが優勝するという、今シーズンのトレンドが継続された。このレベルの競争はチャンピオン争いを激化させ、上位3人の差は1秒以内、集団全体が10秒以内に収まることも少なくない。

アンドレッティ フォーミュラEチームのジェイク デニスは、タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチームのアントニオ フェリックス ダ コスタとパスカル ウェーレインを抑えて3位でゴール。ウェーレインは現在、ドライバーズワールドチャンピオンシップでリードしている。

ABTクプラ フォーミュラEチームのニコ ミューラーは6位を確保し、ニック キャシディは19番グリッドから追い上げて7位でフィニッシュした。エド モルタラは当初7位でフィニッシュしたが、エネルギーの使い過ぎで失格となった。

第5戦東京E-Prixを終えて、ジャガーTCSレーシングは100ポイントでチーム世界選手権のトップに立ち、タグ・ホイヤー ポルシェが83ポイントでそれに続いている。ドライバーズ選手権では、ウェーレインがキャシディに2ポイント差をつけてミサノに向かう。

マキシミリアン ギュンター/マセラティMSGレーシング 7号車:

「ここでレースができるなんて素晴らしい。素晴らしい街だし、素晴らしい国だ。文化も大好きだし、とても歓迎されていると感じている」

「素晴らしいサーキットだし、とてもチャレンジングでテクニカルなコースだ。そして、初めての東京E-Prixで勝利することは、とても大きな感動だ。一般的に、今週末の私たちの成果に本当に誇りを持つことができると思う。すべてのセッションでトップ3に入り、常に上位をキープし、そして優勝トロフィーを手にすることができた」

「私たちはレースをかなりうまく実行できたし、戦略も良かった。いくつかの良い動きをして上位に進んだし、そして最後のラップまでオリーと戦った。かなり激しい戦いだった。決して簡単ではなかったけれど、ターン10で彼を驚かせたと思う」

オリバー ローランド/NISSANフォーミュラEチーム 22号車:

「セーフティカーが出る前は、彼を後方に保持し、エネルギーを過剰消費しないように管理することができたが、セーフティカーの後、彼らのエネルギー目標はかなり下がったことがわかっていた。ここではエネルギーターゲットに対するラップタイムのデルタが非常に厳しいため、もし私がもう少し長く走り続けていたら、おそらくより多くの人に追い抜かれていただろう」
「彼はしっかりとした仕事をしたと思う。もしもう一度やれるとしても、何を変えるのかわからない。できることは最大限にやったと思うけど、悔しいのは他の選択肢もあったということ」

「(予選ポールポジションについては)ガレージに大ボスがいて、期待されていることを理解しているという要素もあったと思う。日産チームの応援団は信じられないくらい素晴らしかった」

ジェイク デニス/アンドレッティ フォーミュラEチーム 1号車:

「ここ2、3カ月はちょっと苦戦していて、マシンの中にも自分に合わない変更があった。良い日もあれば悪い日もあって、今週末はおそらく初めてクルマとの "一体感 "を感じることができた。今日の5位はポールポジションのような気分だった。予選であそこまで順位を上げられるとは思っていなかったが、決勝ではいつも速かった」

最もクールジャパンだった要素

初開催となったフォーミュラE東京E-Prixでは、『ワイルド・スピード』シリーズで有名な俳優であり、熱心な自動車愛好家でもあるサン カンが最新鋭のGEN3マシンのステアリングを握り、衝撃的な瞬間が訪れた。カンの自動車と日本車文化に対する根強い情熱は、東京のストリートサーキットの爽快なカーブを巧みに操り、記念すべき初ドライブを飾った。このイベントは、俳優のエミリア ハートフォード、尊敬するレーシングアイコンのエマーソン フィッティパルディ、佐藤琢磨、角田裕毅など、著名なセレブリティやモータースポーツ界のレジェンドたちの参加によってさらに盛り上がり、この記念すべき機会に華やかさと威信を添えた。今回は、2万人もの人々が集まったという。

だが、最もクールジャパンを感じさせたのは、道路上にある「とまれ」や「有料駐車車両」の白線文字。サン カンが走ったこともあり、映画「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」のようなストリートの雰囲気と、電気自動車のフォーミュラマシンという最先端のテクノロジーが合わさり、近未来的でもあった。トップギア・ジャパン 060も、海外から見た日本の自動車文化を具現化した特集になっているので、そちらもぜひ合わせて楽しんでいただきたい。

来年5月、また東京でバトルが繰り広げられるというから、今から楽しみだ。

写真 Formula E

【日本特集】次期GT-R RX-7 LFA MR2/ケータハム プロジェクトV/日本のボルボオーナー:トップギア・ジャパン 060





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