新型アストンマーティン ヴァンキッシュ 電動化時代でもV12エンジンにこだわる

新型アストンマーティン ヴァンキッシュが日本でもお披露目された。835ps、1,000Nととてつもないパワーを宿した3代目のヴァンキッシュだが、電動化時代の今、あえてV12にこだわった理由とは?

【KINTO】


APACリージョナルプレジデントのグレゴリー アダムス氏の挨拶から、新型アストンマーティン ヴァンキッシュの発表会が始まった。

アストンマーティンハウス青山で行われたプライベートイベントでベールを脱いだこの新型車は、アストンマーティンの次世代スポーツカーレンジの頂点に立つモデルとして、ブランドの象徴的なV12エンジンを搭載し、圧倒的なパフォーマンスとラグジュアリー性を兼ね備えている。価格は未定だが、納車は2024年第4四半期からが予定されている。

ヘッド・オブ・Q・スペシャルプロジェクトセールスのサム・ベネッツ氏は、この新型車が「アストンマーティンロードカーレンジの新たなフラッグシップ」であり、「ブランドのモータースポーツ活動で得られた知見と伝統が注ぎ込まれている」と語った。

新型車の心臓部には、アストンマーティンの伝統を受け継ぎ、新たに自社開発されたV12エンジンが搭載され、DBSやDBX707など先代モデルを凌駕する835psの圧倒的なパワーと1,000Nmのトルクを発生させ、ハイブリッド技術や電動化を排除し、純粋な内燃機関の力を探求する。0-100km/h加速3.3秒、最高速度は345km/h。このようなかつてないパフォーマンスと効率は、内燃プロセスの全工程に磨きをかけてはじめて実現され、それでいて尚 世界の各市場の最新の排ガス規制を満たしている。ベネッツ氏は、このエンジンが「完全に新設計」であり、「新世代のエレクトロニクスにより、ドライバーはこれまで以上に自然かつエキサイティングなドライビングエクスペリエンスを得ることができる」と強調した。

さらに、ビルシュタイン DTX ダンパー、エレクトロニック・リア・ディファレンシャル、AML専用の21 インチピレリ P Zero タイヤなど、ヴァンキッシュのドライビングエクスペリエンスを高めている。

エクステリアは、フルカーボンファイバーボディを採用することで軽量化とエレガントかつ力強いデザインを実現。ロングノーズショートデッキの伝統的なクーペスタイルを踏襲しながらも、DB5を彷彿とさせるリアエンドのデザインなど、モダンな要素も取り入れている。

インテリアは、2シーターレイアウトを採用し、最新世代のアストンマーティン車載テクノロジーを搭載。ドライバー重視のコックピットには、高解像度スクリーンや専用設計のラゲッジスペースなど、快適性と実用性を兼ね備えた装備が充実している。

アストンマーティンとV12エンジンとの密接な関係は1998年の「プロジェクトVantage」から始まった。それは市販車に近いコンセプトカーとして5.9リッターV12エンジンを搭載し、後に初代Vanquishとなるモデルのデザインと、先進的なカーボンファイバーおよびアルミニウムのシャシー構造を予告するものだった。

プロジェクトVantageを発表してわずか1年後に、アストンマーティンはDB7 Vantageを発売する。アストンマーティン初のV12エンジン搭載量産モデルであった420bhpのマシンにはクーペとヴォランテの両方のボディスタイルが用意され、大人気を博して販売は2003年まで続く。同じ頃、2001年に発売され大絶賛された460bhpのV12 Vanquishも生産されていた。

その後、パフォーマンスの大幅な向上と、それに見合ったシャシー、ブレーキ、エアロダイナミクスのアップグレードによって、527PS、321km/hのV1 2Vanquish Sが誕生。2004年発売で2007年まで生産が続いたこのモデルは、アストンマーティンの最もアイコニックなモデルとしてのVanquishの位置付けを確立し、総販売台数は2500台を超えた。

次の後継モデルは、アストンマーティンのもう1つの偉大なモデル、DBSへの回帰となったのである。受賞実績のある接着アルミニウム製のVHプラットフォームを土台に、筋肉質のボディワークにカーボンファイバーを広範に活用した新型DBSは2007年から2012年の間に生産され、アダプティブダンピング、カーボンセラミック・ブレーキ、マニュアルシフトとパドルシフトが選べるATなどを備えていた。

Vanquishの名は、2012年に華々しく戻ってくる。2代目は、今では伝説となった5.9リッターV12エンジンを搭載し、575PSの最高出力を誇っていた。(VHの構造の進化で積荷効率が向上したおかげで)室内スペースもラゲージスペースも広くなったVanquishは、快適性とラグジュアリー感が向上すると同時に、パフォーマンスとハンドリングも強化されていた。この傾向は、2016年に発売されたさらに強力な600PSのVanquishSでも続いていく。

2018年にはDBS Superleggeraが登場。荒々しい美しさを持ったカーボンボディのこの新型フラッグシップは、完全に新しい自社開発の5.2リッター・ツインターボV12エンジンに8速のオートマチック・トランスアクスルを組み合わせていた。驚異的な725PS、900Nmのトルクを発揮するアストンマーティンのこの新型スーパーGTは、真に比類ないパフォーマンスで、0-100km/h加速はわずか3.3秒、最高速度は340km/hに達した。

最後の生産年に、アストンマーティンは限定エディションのDBS 770 Ultimateでこのフラッグシップ・モデルのパフォーマンスと魅力をさらに高めた。エンジン出力を770PSにアップし、よりシャープな動きを実現できるようにシャシーをチューニングされたUltimateは、それまでの基準のレベルをさらに上げて歴代モデルを超え、DBSの花道を華々しく飾った。

V12の物語の第1章が幕を開けてから四半世紀以上がたち、ウルトラ・ラグジュアリー・ブランドであるアストンマーティンの111年の歴史の中で最も強力で実力と魅力のある量産のフラッグシップ・モデルとして、3代目Vanquishが新しい走りの時代の到来を告げる。

ベネッツ氏を囲んでQ&Aセッションが行われた。
―電動化が進む時代に、新型ヴァンキッシュがV12にこだわった理由
アストンマーティンでは、V12エンジンはアストンマーティンの象徴であり、コアな価値観を表すものです。います。V12エンジンは、アストンマーティンをアストンマーティンたらしめる重要な要素です。できる限り長く、V12エンジンを旗艦モデルとして継続していく予定です。

―最後のV12エンジンではなく、今後も続く予定か
将来の具体的な製品計画についてはコメントできませんが、アストンマーティンはV12エンジンの提供に引き続き取り組むとともに、将来的には電動化とガソリン動力を組み合わせたドライブトレインも導入する予定です。

―新型ヴァンキッシュ開発にあたり、顧客からどのような要望があったのか?
お客様からは、よりラグジュアリーなものを求める声がありました。同時に、トルクやトップスピードなど、すべての性能指標で高い数値を望む声もありました。スーパーラグジュアリーでありながら非常に高性能な車を目指しました。また、多くのお客様が日常的に使用することを考慮し、ユーザビリティも重視しました。

―ヴァンキッシュという名前について
ヴァンキッシュという名前はアストンマーティンにとって象徴的です。その歴史は1998年のプロジェクト ヴァンキッシュから始まりました。この名前は、ブランドの最高の性能とエンジニアリングの卓越性を表しています。

―アストンマーティンの製造チームの規模
小規模なチームです。年間約1000台を製造しており、一人一人が手作業で製造に関わっています。

―ヴァンキッシュのターゲットユーザー
2つのグループがあります。1つは従来のアストンマーティンユーザー(DBSやDBX、ヴァンテージなどの所有者)、もう1つは新規顧客です。ヴァンキッシュでは、既存顧客の忠誠心を維持しつつ、新しい顧客を引き込むことを目指しています。

―新しいV12エンジンを他のアストンマーティン車に搭載する予定
現時点ではヴァンキッシュ専用のエンジンです。

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