WEC 2024 第1戦 カタール決勝 1812km:TOYOTA GAZOO RacingがGR010 HYBRIDの2台がトップ10フィニッシュした。
3月2日(土)、中東カタールのルサイル インターナショナル サーキットで2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第1戦カタール1812kmの決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDは苦戦を強いられながらもチーム一丸となって最後まで走り抜き、6位と9位*で揃ってポイント獲得を果たした。
直前のプロローグテストや公式練習セッションで、苦しみながらもドライバー、エンジニアとメカニックは決勝でのパフォーマンス向上を目指し、ここルサイル インターナショナル サーキットでのGR010 HYBRIDのタイヤや重量配分に車両バランスと、クルマのパフォーマンスを最適化する作業に精力的に取り組んできた。
この懸命な作業とレース戦略のおかげで、小林可夢偉、マイク コンウェイ、ニック デ フリースのGR010 HYBRID 7号車がクルマのポテンシャルを最大限に引き出し、健闘の末に6位でフィニッシュ。貴重な選手権ポイントを獲得した。
ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン ブエミ、ブレンドン ハートレー、平川亮がドライブするGR010 HYBRID 8号車は厳しいスタートからの戦いを強いられたが、アルピーヌ、BMW、キャデラック、フェラーリ、イソッタ フラスキーニ、ランボルギーニ、プジョー、ポルシェとTGRを含め9マニュファクチャラー合計19台が激戦を繰り広げた10時間の長いレースを走り抜き、10位*でチェッカーを受けた。
強い日差しの照りつける中、現地時間午前11時にレースのスタートが切られると、気温以上に熱いバトルがスタート直後から展開。最前列2番手グリッドからスタートを切った7号車のコンウェイは、最初のコーナー進入時にオーバーステアに見舞われコースの外側へとラインを外し、7位へと後退。11番手スタートのブエミがドライブする8号車も、スタート直後の混乱の中で14位へと順位を落とすこととなった。
1周5.419kmで比較的コース幅の狭いルサイル サーキットで、ハイパーカーとGT3クラスあわせて37台が走行するため、周回遅れ車両のトラフィック処理は重要なポイントとなる。コンウェイとブエミは経験豊富な走りでトラブル無く周回を重ねていき、徐々に順位を上げていく。
スタートから2時間を迎える直前に、7号車はコンウェイからデ フリースへ、8号車はブエミからハートレーへとドライバーチェンジ。共にこのタイミングで左側のタイヤのみ新品へ交換し、ポジション争いへと戻った。チームはその次のピットインで右側のタイヤのみ交換し、通常とは異なる戦略を模索しながらのレースとなった。
デ フリースの健闘もあり、7号車はトップ6圏内に浮上し、スタートから4時間経過で小林へと交代。一方、8号車のハートレーは苦戦を強いられるスティントとなり、続いてステアリングを託された平川がトップ10入りのバトルを再開した。しかし、平川は続くピットストップで左リアタイヤの交換で時間をロスし、順位も落とすこととなってしまった。
レースが折り返しを過ぎると、スタートを担当したドライバーが再びステアリングをにぎり、コンウェイが6位争い、ブエミはポイント獲得圏内であるトップ10入りをかけての戦いを続けた。残り2時間で最後のドライバー交代を行い、7号車はデ フリース、8号車は平川が、日没後のライトに照らされたコース上でのバトルへと復帰した。
最後の1時間は各チームの様々な給油タイミングを考えたピット戦略が採られ、7号車のデ フリースは7位でファイナルラップを迎えましたが、前方を走るプジョー93号車がスローダウンしたことで、チェッカーの数メートル前でこれをかわし、7号車は6位でフィニッシュ。平川も着実な走りを続け10位*でチェッカーを受け、TGRは苦しい戦いの中で2台揃ってのトップ10フィニッシュ、2台共にポイント獲得を果たした。
TGRにとっては、2018年のシルバーストーン以来となる表彰台獲得を逃すという厳しいレースとなったが、チームは皆ポジティブにお互い声をかけ合い、より家庭的でプロフェッショナルなTGR WECチームとして今シーズンも一歩ずつ歩みを進め、4月21日(日)に行われる第2戦イモラ6時間で上位争いに返り咲くべく挑む。
*レース終了後、プジョー93号車が失格判定となったため、8号車は総合9位へランクアップ
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
残念ながら2024年シーズンの開幕戦は、終始パフォーマンスを探りながらの厳しい戦いとなってしまいました。現実的に見て今日は6位フィニッシュが精一杯でしたし、望んでいた結果ではありません。ここのコースと我々のクルマが合っていなかったのは明らかで、これほど今回のレースが我々にとってチャレンジングなものになるとは考えてもいませんでした。しかし、そんな困難なレースでもチームは全員が懸命に戦い、2台揃ってポイントを獲得できました。ドライバーはミスすることなく走り抜き、エンジニアやメカニックも素晴らしい仕事ぶりでした。このレースの内容を全て見つめ直し、イモラではもっと強くなって戻ってこられるよう頑張ります。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
とても大変なレースでした。上位争いをするペースは我々にはなく、レースの展開によって浮き沈みがあるような状況でした。競争力がある時もあれば、そうでない時もありました。レーススタート前は、ここカタールでどれだけ戦えるか未知数でしたが、ポイントを獲得できたのは良かったです。最後の最後に6位に上がれたのは幸運で、全体的に見ればまずまずの結果でしょう。更なる努力を続け、イモラではもっと上を目指したいと思います。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
10時間に及ぶレースでしたが、苦しい結果となりました。我々はレースペースでも上位を争うライバル勢に対し及ばなかったので、6位という結果には満足すべきでしょう。実力では6位には届いておらず、チェッカー直前でのちょっとした幸運のおかげによる6位だったのは確かです。ポイントが獲得できたのは良かったですし、これが今日我々のできるベストだったと思います。我々はこの週末に最大限のパフォーマンスを発揮する必要があり、それは達成できました。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
我々にとっては厳しいレースでしたが、そんな中でもなんとかポイントを獲得できました。パフォーマンスで及ばない分、全力を尽くして2台揃っての完走は果たせました。勝てなくても、できる限りのポイント獲得を目指し戦いました。厳しいレースウィークでしたが、今後も努力を続け、イモラでは強くなって戻ってきたいと思います。イモラでのレースはWECでは初となり、経験したことのないコースですが、ここカタールよりは間違いなく我々のGR010 HYBRIDに合っているはずですし、もっと良い結果を期待しています。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
チャレンジングなレースウィークで、最終日の今日も、特に我々8号車にとっては厳しい一日でした。我々のクルマはどちらも表彰台を争うだけのスピードはありませんでした。それでもチームは一丸となって戦い、2台揃ってポイント獲得を果たしました。ポイント獲得のために戦い続け、応えてくれたチーム全員を誇りに思います。今日は全力を尽くしたので、これからは次戦へ向けて集中します。
平川亮(8号車 ドライバー):
間違いなく本当に厳しいレースウィークで、予想以上に苦戦しました。良い結果を残すことができず本当に残念ですが、全員ができる限りの戦いをし、これが精一杯でした。イモラはコースレイアウトの面でもっと我々に向いていると思うので、次戦はさらに強くなって戻って来たいと思います。やるべきことは山積みです。
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